ウェルビーイングの調査・報告書

国際比較調査隔年データ:公開

欧州社会調査(ウェルビーイング・モジュール)

European Social Survey (Personal and Social Wellbeing module)(ESS)

欧州社会調査 欧州研究インフラコンソーシアム(ESS ERIC)

欧州で2年ごとに行う社会調査。幸福感を毎回尋ね、詳しいウェルビーイング調査も数回実施。
対象
15歳以上
対象の国・地域
31か国(第11回・2023/24年で)
方法
横断調査
頻度・期間
隔年(2002年〜2023年)
幸福の測り方
幸福感(「全体として、あなたはどのくらい幸せですか」0〜10)と生活満足度(0〜10)を毎回。ウェルビーイング・モジュール(第3回2006/07、第6回2012/13、第12回2025/26)で快楽的・エウダイモニア的・社会的ウェルビーイング、うつ尺度CES-D8
データの入手
公開 ess.sikt.no/ ↗

どんな調査か

欧州社会調査(European Social Survey、ESS)は、欧州の人々の態度・信念・行動を測る学術的な国際比較調査である。運営するのは欧州社会調査 欧州研究インフラコンソーシアム(ESS ERIC)で、2013年に欧州研究インフラコンソーシアム(ERIC)の地位を与えられた。調査は2002年に始まり、2年ごとに欧州の国々で15歳以上を対象に行われている。毎回、幸福感と生活満足度をどちらも0〜10で尋ねており、主観的ウェルビーイング(本人が感じる幸福や満足)の国際比較データとして使える。データは誰でも無料で使える形で公開されている。

何をどう測っているか

毎回共通の「コア質問票」に、回ごとに入れ替わる特集的な質問群である「交替モジュール」を2つ加える構成である。コア質問票では「全体として、あなたはどのくらい幸せですか」という幸福感と、生活満足度をそれぞれ0〜10で尋ねる。第3回(2006/07年)と第6回(2012/13年)には「個人的・社会的ウェルビーイング」の特別モジュールが入った。このモジュールは、気分の良さなどの快楽的な幸福だけでなく、自律・没頭・人間関係・目的意識といった「よく生きている感覚」を指すエウダイモニア的な幸福、社会とのつながりに関わる社会的ウェルビーイング、うつ症状を測る尺度CES-D8を含む。第12回(2025/26年)でも同モジュールを繰り返し、マインドフルネス、思いやり、社会の調和、レジリエンス(立ち直る力)の項目を加える。調査の流れは、モジュール設計チームの公募、元となる質問票の開発、翻訳、標本設計、データ収集、各国の状況の把握、データ処理と保管、データと資料の公開、データ品質の評価という段階で示されている。公開データには、標本の偏りを補正するための事後層化ウェイトも用意されている。

これまでの歩み

第7回(2014年実施)は2016年5月26日に第2版データが公開され、イスラエル、リトアニア、ポルトガル、スペイン、英国の5か国が加わって統合データファイルが21か国分になった。この回の特別モジュールは「移民に対する態度とその背景」と「健康における社会的不平等とその決定要因」で、第2版では事後層化ウェイトと出自(ancestry)の変数も追加された。第8回(2016年実施)は2017年10月31日に18か国分の初版が公開され、2008年以来の再実施となる「福祉への態度」と、ESS史上初めての「気候変動とエネルギーへの態度」が交替モジュールとなった。第9回(2018〜2019年実施)は2019年10月31日に19か国分の第1版が公開され、初回公開の国数としては2013年10月の第6回以来もっとも多かった。特集テーマは「人生のタイミング」と「正義と公正」である。第10回(2020〜22年)は新型コロナウイルス対策の影響で実査が2020年9月から2022年5月までに延び、2022年6月23日の初回公開は参加32か国のうち対面面接で集めた10か国分にとどまり、各国任意の「COVID-19モジュール」も設けられた。第11回(2023/24年)は2025年11月21日に最終データ(Edition 4.0)が公開され、エストニアとウクライナが初めて加わって30か国分となり、ウクライナのデータは第6回以来はじめて統合ファイルに戻った。第12回(2025/26年)のデータは2027年1月に初めて公開される予定である。

分かってきたこと

幸福感と生活満足度は2002年から途切れずに測られている

交替モジュールのテーマは回ごとに移民、健康格差、福祉、気候変動、人生のタイミング、正義と公正などと入れ替わってきた。その一方で、幸福感と生活満足度は毎回の共通質問として含まれ続けている。このため、同じ質問で欧州の主観的ウェルビーイングを長期にわたって比べられる。各回の公式発表はデータ公開の告知であり、幸福度の集計結果そのものは示していない。

ウェルビーイングを多面的に測る特別モジュールがある

第3回と第6回の「個人的・社会的ウェルビーイング」モジュールは、快楽的な幸福、エウダイモニア的な幸福、社会的ウェルビーイング、うつ尺度CES-D8を同時に測った。第12回では同じモジュールを繰り返したうえで、マインドフルネス、思いやり、社会の調和、レジリエンスの項目を加える。幸福を一つの数字だけでとらえず、複数の側面に分けて測る設計である。

参加国と調査方法は回ごとに変化してきた

統合データファイルの国数は、第7回第2版の21か国、第8回初版の18か国、第9回第1版の19か国と回ごとに異なる。第11回ではエストニアが初めて加わり、ウクライナが第6回以来はじめて戻った。第10回では新型コロナの影響で実査期間が延び、初回公開は対面面接で集めた10か国分に限られた。第12回は対面と自記式(ウェブ・紙)の混合で行われる。

データは段階的に公開され、無料で使える

各回のデータは、まず一部の国の初版が出て、その後に国やウェイトが追加される形で公開されてきた。第11回については、公式サイトが参加した31か国すべてのデータと事後層化ウェイトが利用可能になったと伝えている。現在、すべてのデータと資料はESSデータポータルからのみ入手できる。

各年版(5)

  • 2023 ESS Round 11(2023〜2024年実施)最終データ公開(2025年11月) この号を読む → 欧州社会調査(European Social Survey、ESS)第11回(Round 11、2023/24年実施)の最終データが2025年11月21日に公開された。統合データファイル(Edition 4.0)には、エストニアとウクライナのデータが初めて加わり、ほかの28か国とあわせて30か国分が収録されている。いちばんの話題は、ウクライナのデータが第6回(2012/13年)以来はじめて統合ファイルに戻ったことである。この号の公式発表はデータ公開の告知であり、幸福度などの集計結果は示していない。
  • 2020 ESS Round 10(2020〜2022年実施)データ公開(2022年6月) この号を読む → 欧州社会調査(European Social Survey、ESS)が第10回調査(Round 10、2020〜22年)のデータを2022年6月23日に初めて公開した号である。初回公開は参加32か国のうち、対面面接でデータを集めた10か国分である。新型コロナウイルス対策の影響で実査期間は通常より長く、2020年9月から2022年5月までに及んだ。質問票には毎回実施するコア質問票と2つの交替モジュールに加え、各国が任意で実施する特別な「COVID-19モジュール」が含まれている。
  • 2018 ESS Round 9(2018〜2019年実施)データ公開(2019年10月) この号を読む → 欧州社会調査(European Social Survey、ESS)第9回(Round 9)の第1版データが、2019年10月31日に公開された号である。2018年後半から2019年初頭に19か国で集めたデータで、初回公開に含まれた国数としては、2013年10月の第6回(2012/13)初回公開以来もっとも多い。この回の特集テーマは「人生のタイミング」と「正義と公正」で、主観的ウェルビーイング(本人が感じる幸福や満足)も定番質問として含まれている。公式ページは公開の告知であり、調査結果の数値は載っていない。
  • 2016 ESS Round 8(2016年実施)データ公開(2017年10月) この号を読む → 欧州社会調査(European Social Survey、ESS)の第8回(Round 8、2016年実施)について、データと関連資料の初版が2017年10月31日(火)に公開されたことを伝える号である。初版には、2016年に現地調査を行った18か国のデータが収められている。この回の目玉は2つの交替モジュール(回ごとに入れ替わる特集的な質問群)で、2008年以来の再実施となる「福祉への態度」と、ESS史上初めての「気候変動とエネルギーへの態度」である。幸福感などの主観的ウェルビーイングは、2002年から毎回たずねている共通質問の一つとして含まれている。
  • 2014 ESS Round 7(2014年実施)第2版データ公開(2016年5月) この号を読む → 本号は、欧州社会調査(European Social Survey、略称ESS)第7回(2014年実施)のデータ第2版が2016年5月26日(木)に公開されたことを伝える告知である。いちばんの話題は、イスラエル、リトアニア、ポルトガル、スペイン、英国の5か国が新たに加わり、統合データファイルが21か国分になったことである。第2版には事後層化ウェイトと出自(ancestry)に関する変数も追加された。第7回の特別モジュールは「移民に対する態度とその背景」と「健康における社会的不平等とその決定要因」である。

どう読む・どう使う

研究者は、ESSデータポータルから無料でデータを入手し、幸福感や生活満足度を国・年・属性ごとに比べる分析に使える。第3回・第6回・第12回のウェルビーイング・モジュールを使えば、快楽的な幸福とエウダイモニア的な幸福、うつ症状などの関係を検討できる。ESSは「トップライン・ファインディングス(Topline Findings)」や「市民の態度を探り、公共政策に生かす(Exploring public attitudes, informing public policy)」といった刊行物シリーズ、人間の価値観尺度やウェルビーイングについての特別報告も出しており、政策担当者や一般読者が要点をつかむ入り口になる。移民、福祉、気候変動などの交替モジュールと組み合わせれば、社会的な態度と幸福感の関係を調べる教材にもなる。

読むときの注意

対象は欧州の国々であり、日本は含まれないため、日本との直接の比較には使えない。国によって参加する回が違うので、年をまたいで比べるときは各国がどの回に参加したかを確かめる必要がある。第10回は新型コロナの影響で実査期間が長く、第12回は対面と自記式の混合で行うため、回答方法の違いによる差が出る可能性がある。初回公開のデータは一部の国だけを含むことが多く、収録国数は版によって変わる点にも注意が要る。

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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