この号の内容
19か国の第1版データを公開
ESS第9回の第1版データは2019年10月31日に公開された。データは2018年後半から2019年初頭に19か国で集められた。SAS・SPSS・STATAの3形式でウェブサイトからダウンロードでき、オンライン分析ツール(Online Analysis Tool)上でも閲覧・取得できる。
📖 報告書では:公式ニュース「Round 9 data now available」(2019年10月31日)第1段落
参加国と国数の多さ
収録国はオーストリア、ベルギー、ブルガリア、キプロス、チェコ、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、オランダ、ノルウェー、ポーランド、セルビア、スロベニア、スイス、英国の19か国である。初回公開に含まれた国数は、2013年10月に第6回(2012/13)の最初のデータが公開されて以来もっとも多い。
📖 報告書では:公式ニュース「Round 9 data now available」収録国の段落・末尾近くの段落
人生のタイミングを再び問う
第9回では、人生の出来事のタイミングに関する質問を第3回(2006/07)から繰り返した。人々が自分の生涯をどう組み立て、どんな戦略で人生を計画するかについての考えを捉えることが目的である。結婚、子どもをもつこと、退職の計画といった主要な出来事について、何歳が最も若い年齢・最も遅い年齢であるべきと考えるかのデータが得られる。
📖 報告書では:公式ニュース「Round 9 data now available」Timing of Lifeの段落
正義と公正は初めての調査
「正義と公正」は回答者の所得という文脈で問われ、経済的・教育的な格差の拡大に人々がどう対処していると感じているかについて、初めて調査データを提供する。広く受け入れられる政治・社会制度の構築、移民の社会への統合、生態的・社会的な持続可能性の確保に関する質問も含まれる。
📖 報告書では:公式ニュース「Round 9 data now available」Justice and Fairnessの段落
150項目超の主質問票
主質問票は150を超える調査項目からなる。第8回で初めて入ったEU加盟の国民投票でどう投票するかという質問が、今回も繰り返された。メディアと社会的信頼、政治、主観的ウェルビーイング、社会的排除、宗教、国民的・民族的アイデンティティ、人間の価値観尺度、幅広い社会人口学的項目といったESSの定番質問も含まれる。
📖 報告書では:公式ニュース「Round 9 data now available」主質問票の段落
付随データとウェイトの扱い
今回の公開には、19か国すべてについて、面接者に対する質問票のデータと、測定方法の検証用テストデータ(多特性多方法=MTMM、同じ内容を複数の聞き方で測って質問の精度を調べる設計)も含まれる。事後層化ウェイト(標本の偏りを人口構成に合わせて補正する重み)は、第2版データの公開時にあわせて提供される。
📖 報告書では:公式ニュース「Round 9 data now available」収録国の段落の後・末尾の注記
この号の調べ方
対象はオーストリア、英国など欧州の19か国で、データは2018年後半から2019年初頭に集められた。主質問票は150項目を超え、幸福感(「全体として、あなたはどのくらい幸せですか」を0〜10で答える)や生活満足度(0〜10)などの主観的ウェルビーイングを定番質問として含む。この回の特集(ローテーション)テーマは人生のタイミングと正義と公正であり、ウェルビーイング・モジュール(快楽的・エウダイモニア的・社会的ウェルビーイングを詳しく測る特集)の回ではない。
この号から言えること
- 人生のタイミングは第3回(2006/07)と同じ質問の再実施であり、結婚・出産・退職計画の「適齢」観が約12年でどう変わったかを比べられる素材になる。
- 正義と公正は初実施で、所得を軸に、経済・教育格差の拡大への受け止め方を欧州規模で測る最初のデータである。
- 主観的ウェルビーイングの定番質問が入っているため、幸福感・生活満足度を、格差や公正感、人生設計の考え方と並べて分析できる。
読むときの注意
公式ページはデータ公開の告知であり、幸福感や生活満足度の平均値、国別順位などの結果は示していない。第1版は19か国分の初回公開で、事後層化ウェイトは第2版公開時まで提供されないため、国の比較や全体値の算出には注意が要る。