この号の内容
4指標すべてが前年より改善
英国全体の平均は、生活満足度7.54(前年7.39)、人生でしていることに価値があると感じる程度7.77(同7.71)、昨日の幸福感7.45(同7.32)、昨日の不安3.12(同3.31)である。いずれも0〜10の尺度で、不安は低いほど良い。生活満足度・幸福感・不安の改善幅は2012年3月期の測定開始以来最大で、パンデミック下の2021年3月期に全指標が過去最大の悪化を記録した翌年にあたる。価値を感じる程度も0.07点上がったが、2015年3月期の0.08点上昇ほどではない。2020年3月期と2021年3月期に下がった平均は、2019年3月期の水準をまだ下回っている。なお2012年3月期〜2019年3月期は、満足度・価値・幸福感がおおむね毎年上昇し、不安は2015年3月期まで低下した後ほぼ横ばいだった。
📖 報告書では:「Main points」、「Personal well-being in the UK」図1
低い層が減り、とても高い層が増えた
評価が低い(満足度・価値・幸福感は0〜4、不安は6〜10)人の割合は、低い生活満足度5.1%(前年6.1%)、低い価値4.1%(同4.5%)、低い幸福感8.5%(同9.3%)、高い不安22.5%(同24.2%)と、すべて減った。反対に、とても高い(9〜10)人と不安がとても低い(0〜1)人は、生活満足度26.0%(同23.8%)、価値32.6%(同31.5%)、幸福感32.3%(同29.5%)、不安の低さ36.0%(同33.1%)と、すべて増えた。それでも、低い層はコロナ禍前(2019年3月期)より多く、とても高い層はコロナ禍前より少ないままである。
📖 報告書では:「Personal well-being in the UK」内「Levels of personal well-being」図2・図3、「Glossary」の「Thresholds」
最も多い回答は「8」と「0」
今回初めて、0〜10の各点数を選んだ人の割合が参考表で公表された(2022年3月期のみ)。英国の成人で最も多かった回答は、生活満足度・価値・幸福感のいずれも8点で、割合はそれぞれ32.8%、31.5%、24.9%である。不安で最も多かった回答は0点(26.6%)で、成人の4分の1超が前日にまったく不安を感じていなかったことを示す。
📖 報告書では:「Personal well-being in the UK」内「Personal well-being across the scale」
4カ国ではイングランドの伸びが最大
生活満足度は、イングランド(7.38→7.55、0.16点上昇)、北アイルランド(7.54→7.69、0.15点上昇)、ウェールズ(7.37→7.48、0.11点上昇)で上がった。スコットランドも7.38→7.45と上がったが、統計的に有意(偶然の誤差とは言えない差)ではない。価値を感じる程度で有意に上がったのはイングランドのみ(7.71→7.78)である。幸福感はイングランド(7.31→7.45)とウェールズ(7.31→7.43)で上がった。不安は4カ国すべてで下がり、最大は北アイルランドの0.26点低下(3.11→2.84)である。
📖 報告書では:「Personal well-being by country and region」図4・図5
地域別ではヨークシャーが目立つ
生活満足度はすべての地域で上がったが、南西部(South West)の上昇は有意ではない。最大の改善はヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー(Yorkshire and The Humber)の0.25点上昇(7.32→7.56)である。価値を感じる程度は同地域(0.16点上昇)と南東部(0.13点上昇)で有意に上がった。幸福感は北西部(0.16点)、ヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー(0.26点)、ウェスト・ミッドランズ(0.14点)、イングランド東部(0.16点)、南東部(0.12点)で有意に上がった。不安は全地域で下がったが、イースト・ミッドランズ、ロンドン、南東部の低下は有意ではない。
📖 報告書では:「Personal well-being by country and region」
自治体別は順位付けしない
地図とエクスプローラーの対話型ツールで、各自の地域のウェルビーイングを2012年3月期から見られる。ただし、自治体ごとの標本は小さく信頼区間(推計値の誤差の幅)が大きいため、自治体同士を順位付けしてはならないと報告書は明記している。推計は、同じ自治体の時系列比較や、人口規模・構成が似た自治体との比較のためのものである。北アイルランドの地方自治区のデータは、2015年の境界変更のため2012〜13年以降のみである。
📖 報告書では:「Personal well-being by local area」図6・図7
この号の調べ方
データは年次人口調査(Annual Population Survey, APS)で、2011年から英国の16歳以上の成人にONS4の4問を尋ねている。対象は英国の民間世帯に住む人の代表標本で、今回の期間は2021年4月〜2022年3月である。各問は0(まったくそうでない)〜10(完全にそうだ)で答え、加重平均と分布(低・中・高・とても高いの区分)を推計し、差の有意性は信頼区間で判定している。2022年夏の再加重により2020年3月期・2021年3月期の推計は改訂されており、本統計は英国統計局(UK Statistics Authority)から国家統計(National Statistics)に指定されている(2014年9月3日付の確認書簡)。
この号から言えること
- コロナ禍で過去最大の悪化をした翌年に、過去最大の改善が起きたが、平均も割合もまだコロナ禍前(2019年3月期)の水準に戻っていない。
- 平均だけでなく、評価が低い層の縮小(例:高い不安24.2%→22.5%)と、とても高い層の拡大(例:とても高い幸福感29.5%→32.3%)の両方が確認できる。
- 4カ国・地域の改善は一様ではなく、スコットランドの生活満足度や南西部など、上昇しても統計的に有意でない例がある。
- 自治体別データは順位表ではなく、同じ自治体の推移や似た自治体との比較に使うものである。
読むときの注意
電話調査では対面より前向きに答える傾向が確認されており、2020年3月以降APSはほぼ電話で実施されているため、それ以前との比較には調査方法の違いが影響しうる。介護施設など共同施設の居住者は対象外で、小さな集団の推計は信頼性が低く変動しやすい。また過去の推計は改訂されており、今回の公表値が以前の数値に置き換わる。