ウェルビーイングの調査・報告書

2023年版テーマ:個人の特性(年齢・性別など)と境遇(健康・障害・婚姻状態など)によるウェルビーイングの格差

Personal well-being in the UK: April 2022 to March 2023(2023年11月、年次版はこの後休止)

英国国家統計局(ONS)

英国国家統計局(ONS)が2023年11月7日に公表した、英国の個人のウェルビーイング(主観的な幸福)の年次統計である。2023年3月までの1年間で、4つの指標すべてが前年より悪化した。生活満足度は7.54から7.45へ下がり、不安は3.12から3.23へ上がった。コロナ禍の初期に下がり、2022年3月期に持ち直した後の再びの低下であり、いずれもコロナ前の水準を下回ったままである。この号は、健康状態・障害・婚姻状態・学歴などによる差を詳しく示し、生活満足度との結びつきが特に強い要因として主観的な健康状態と婚姻状態を挙げている。

この号の内容

4指標すべてが前年より悪化

2023年3月期の平均は、生活満足度7.45(前年7.54)、人生でしていることに価値があると感じる程度7.73(同7.77)、昨日の幸福感7.39(同7.45)、昨日の不安3.23(同3.12)で、いずれも10点満点である。不安は数値が高いほど状態が悪いことを示すため、4指標すべてが悪化したことになる。報告書によれば、コロナ禍の初めに評価が下がり、2022年3月期にいったん改善した後、今回再び下がった。平均値はいずれもコロナ前の水準を下回ったままである。

📖 報告書では:第2節「Personal well-being in the UK」、図1

幸福度が低い人の割合も増加

「低い」状態とは、生活満足度・人生の価値・幸福感で0〜4点、不安で6〜10点と答えた場合を指す。生活満足度が低い人は5.7%(前年5.1%)、人生の価値の感覚が低い人は4.5%(同4.1%)、幸福感が低い人は8.9%(同8.5%)、不安が高い人は23.4%(同22.5%)であった。ただし幸福感の前年からの変化は統計的に有意ではない(偶然の誤差の範囲を超えるとは言えない)。4指標とも、低い状態の人の割合はコロナ前(2019年3月期)より高いままである。

📖 報告書では:第2節「Adults reporting low levels of personal well-being across the UK」、図2、第5節「Glossary(Thresholds)」

国・地域別では統計的に有意な低下はイングランドのみ

イングランド、ウェールズ、北アイルランドでは生活満足度・人生の価値・幸福感が下がって見え、スコットランドはわずかに改善した。不安は4か国すべてで上がった。ただし統計的に有意な変化が確認されたのはイングランドだけである。報告書は、他の3か国ではデータが少なく推計が不確かなことを理由の一つに挙げている。イングランド内では、北西部(0.11ポイント低下)、ヨークシャー・アンド・ザ・ハンバー、イースト・ミッドランズ、イースト・オブ・イングランド(いずれも0.15ポイント低下)で生活満足度が有意に下がった。なお図4の北アイルランドの不安の平均は、当初3.30と掲載されたが、2.91に訂正されている。

📖 報告書では:第2節「Personal well-being by country and region」、図3・図4、冒頭の訂正告知(2023年11月13日)

健康・障害・性別・年齢による差

自分の健康を「とても悪い」と答えた人は、生活満足度が低い割合が43.5%、幸福感が低い割合が46.5%、不安が高い割合が57.4%であった。「とても良い」と答えた人では、それぞれ1.4%、3.8%、14.8%にとどまる。障害のある人では、生活満足度が低い人が13.4%、不安が高い人が35.8%で、障害のない人(2.6%、18.2%)を大きく上回った。不安が高い人の割合は女性26.6%、男性20.0%で、女性のほうが有意に高い。年齢別では、50〜54歳と55〜59歳で生活満足度が低い人がともに7.9%と多く、不安が高い人の割合も50〜54歳が25.1%で最も高かった。

📖 報告書では:第3節「Personal well-being and individual characteristics and circumstances」(Sex/Age/Health status/Disability status)

婚姻状態・子ども・学歴による差

別居中の人は、生活満足度が低い割合が12.0%で、離婚した人(9.2%)、死別した人(8.3%)、独身の人(6.7%)、既婚の人(3.3%)より高かった。別居中の人で不安が高い割合は30.6%で、既婚の人の20.5%を上回る。19歳未満の扶養する子と暮らす親は、生活満足度が低い人が4.4%で、子のいない人の6.2%より少なかった。一方、不安が高い人の割合は23.5%と23.3%でほぼ同じである。学歴(資格)がない人は、生活満足度が低い割合が14.0%、不安が高い割合が30.3%で、他のどの学歴の人より悪い状態の割合が高かった。

📖 報告書では:第3節「Marital status and dependent children」「Highest level of qualification」、図7

生活満足度と最も強く結びつく要因

ONSは回帰分析(他の条件をそろえたうえで、各要因と生活満足度の結びつきの強さを測る手法)を行った。その結果、結びつきが大きい要因は主観的な健康状態と婚姻状態で、次いで就業状態と学歴が中程度であった。健康が「良い」と答えた人の生活満足度は、「とても悪い」人より30.0%、「悪い」人より16.6%高い。既婚またはシビル・パートナーシップ(法的に認められた同性などのパートナー関係)の人は、死別した人より7.3%、独身の人より8.1%高かった。一時的な病気で働いていない人は、雇われて働く人に比べて生活満足度が低い傾向が8.9%強く、退職者は高い傾向が4.4%強かった。報告書は、この分析は因果関係を説明できないと明記している。

📖 報告書では:第3節「Most important factors affecting life satisfaction」、図8、第6節「Why we undertake a regression analysis」

この号の調べ方

データは年次人口調査(Annual Population Survey、APS)による。英国の16歳以上の成人に、2011年から同じ4つの質問(ONS4)を尋ねている。回答は0(まったくない)〜10(完全に)の11段階で、最新の人口統計に合わせて重み付けした平均値と分布を示す。対象期間は2022年4月〜2023年3月である。回帰分析は北アイルランドを含まないグレートブリテンが対象で、通常の最小二乗法とプロビット回帰(順序のある回答を扱う手法)の両方で確かめている。2020年3月以降、調査は主に電話で行われている。

この号から言えること

  • コロナ後にいったん回復した英国の個人のウェルビーイングは、2023年3月期に4指標すべてで再び悪化し、コロナ前の水準に戻っていない。
  • 幸福度の格差がとりわけ大きいのは主観的な健康状態で、健康が「とても悪い」人の57.4%が強い不安を抱えている。健康は4指標すべてと強く結びつく唯一の要因である。
  • 婚姻状態も生活満足度と強く結びつき、別居中の人ほど悪い状態の割合が高い傾向がある。
  • 年次版はこの号の後に休止された。APSの回答率などの問題で、地方自治体別の数値を出せなくなったためである。英国・国・地域レベルの推計は四半期ごとに公表が続く。

読むときの注意

地方自治体別の推計は標本が小さく信頼区間が広いため、自治体どうしで順位をつけてはならないと報告書は明記している。回帰モデルが説明できるのは、人による違いの11〜22%にすぎず、示された関係は因果ではない。また2024年10月8日以降、APSに基づく統計は認定公式統計から外れて「開発中の公式統計」とされた。さらに図8の障害区分のラベル(平等法上の障害あり/なし)が逆になっていたことが2025年に訂正されている。

出典

主に参照した箇所:ONS統計速報ウェブ版:主な結果(Main points)、第2節・第3節、第5節(用語集)、第6節(データの測定)、第7節(強みと限界)、冒頭の訂正・告知。添付PDFは統計実務規範の案内ページで、本文の内容は含まない。。この記事は、上の公式資料に書かれていることだけをもとにAIが書き、記事中の数字が元資料にあることを照合しています(2026-10-12取得)。正確な値や文脈は原典で確かめてください。

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