ウェルビーイングの調査・報告書

国内の公的調査毎年データ:公開

英国国家統計局 国民のウェルビーイング測定(個人のウェルビーイング)

Measuring National Well-being / Personal well-being in the UK (Office for National Statistics)(ONS4(個人のウェルビーイング4問))

英国国家統計局(ONS)

英国政府の統計局が、4つの質問で国民の主観的ウェルビーイングを毎年測り、自治体別にも公表する仕組み。
対象
成人(英国)
方法
横断調査
頻度・期間
毎年(2011年〜2026年)
幸福の測り方
ONS4(いずれも0〜10):生活満足度、人生でしていることに価値があると感じる程度、昨日の幸福感、昨日の不安
データの入手
公開 ons.gov.uk/datasets/wellbeing-local-auth… ↗

昨日の不安の平均の推移

英国全体(各年4月〜翌年3月、年は3月期の年)(点(0〜10、高いほど不安が強い))・各年版の公式資料から・上ほど良い
2.873.053.232.873.2319202223

2021年3月期の値は各年版の要約に無いため載せていない。年次報告は2023年3月期を最後に一時停止中。

どんな調査か

英国国家統計局(Office for National Statistics、ONS)が2011年から続けている「国民のウェルビーイング測定(Measuring National Well-being)」は、国の豊かさを経済だけでなく暮らしの質や社会の進歩からとらえる取り組みである。中心の一つが「個人のウェルビーイング(Personal well-being)」で、人々が自分の生活や気持ちをどう評価しているかを主観的な幸福として数字にする。ONSはあわせて、10分野・59の指標で国の進歩を示す「GDPを超えて(Beyond GDP)」の枠組みを公表している。GDP(国内総生産)だけでは見えない生活の質の変化を、国・地域・自治体の単位で追えるようにすることが目的である。

何をどう測っているか

個人のウェルビーイングは「ONS4」と呼ばれる4つの質問で測る。生活満足度、人生でしていることに価値があると感じる程度、昨日の幸福感、昨日の不安の4つで、いずれも0〜10点で答える。不安は点が高いほど不安が強く、他の3つは点が高いほど良い状態を表す。この4問は大規模な世帯調査である年次人口調査(Annual Population Survey)に組み込まれており、英国全体だけでなく、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの各国、地域、県、地方自治体の単位まで年次推計が公表される。年齢や性別、健康状態、婚姻状態などの個人の特性別の分析や、ウェルビーイングに最も影響しやすい特性の分析もデータとして提供されている。4問は簡潔なため、他の調査にも組み込みやすい。一方、より広い「国民のウェルビーイング指標」は10分野・59の指標から成り、ダッシュボードで個人・地域社会・国の各レベルの変化を一覧できる。

これまでの歩み

2019年10月の号(2018年4月〜2019年3月)では、英国全体の4指標はほとんど変化せず、幸福感の平均が7.52から7.56へわずかに上がっただけであった。この号は地域分析に力を入れ、スコットランドの島々など一貫して高い地域と、ロンドンの一部の区など一貫して低い地域を特定した。2020年7月の号(2019年4月〜2020年3月、ロックダウン直前まで)では、生活満足度・幸福感・不安が測定開始以来初めてそろって前年より有意に悪化し、不安の平均は2.87から3.05へ6.3%上がって過去最大の伸びとなった。2021年10月の号(コロナ禍の1年)では4指標すべてが悪化し、生活満足度は前年から0.27点下がるなど、変化幅は測定開始以来最大であった。2022年10月の号では一転して4指標すべてが改善し、不安・生活満足度・幸福感の前年比改善幅は測定開始以来最大だったが、どれもコロナ禍前の水準には戻らなかった。2023年11月の号では再び4指標すべてが悪化し、生活満足度は7.54から7.45へ、不安は3.12から3.23へ動いた。年次報告はこの後、年次人口調査のデータの質の問題で2024年10月から一時停止しており、2026年6月には59指標と四半期ごとの7つの主要指標で10分野を点検する「Beyond GDP」の号が公表された。

分かってきたこと

コロナ禍で記録的に揺れ、元の水準に戻っていない

2020年の号はロックダウン直前の時点で既に不安の平均が過去最大の伸びを示していた。2021年の号ではコロナ禍の1年に4指標すべてが悪化し、変化幅は測定開始以来最大であった。2022年の号では過去最大の改善幅で持ち直したものの、どの指標もコロナ禍前(2019年3月期)の水準には届かなかった。2023年の号では再び悪化し、いずれもコロナ前の水準を下回ったままである。

不安の平均はじわじわと上がっている

昨日の不安の平均(0〜10、高いほど不安が強い)は、2019年3月期の2.87から2020年3月期に3.05へ上がった。その後、2022年3月期は3.12、2023年3月期は3.23となっている。2026年の号では、2025年10〜12月に不安が高い成人は23.6%であった。

健康と婚姻状態が生活満足度と強く結びつく

2023年の号は、健康状態・障害・婚姻状態・学歴などによるウェルビーイングの差を詳しく示した。そのうえで、生活満足度との結びつきが特に強い要因として、主観的な健康状態と婚姻状態を挙げている。これは結びつきの強さを示すもので、どちらが原因かを示すものではない。

住む場所によって差がはっきり出る

2019年の号は、2013年3月期からの6年間で生活満足度と不安がどこで改善したかを地域別に示した。スコットランドの島々などはウェルビーイングが一貫して高く、ロンドンの一部の区などは一貫して低いことが特定された。同じ号では、国別で有意に変化したのは北アイルランドだけで、不安の平均が2.53から2.83に上がった。

気持ちは横ばいでも、暮らしの指標には悪化がある

2026年の号では、個人のウェルビーイングは前年から変化がなく、2025年10〜12月に生活満足度が低い成人は4.9%であった。一方で、成人の約4人に1人(24.6%)が家計のやりくりが苦しいと答えている。健康寿命や主観的健康は長期的に悪化しており、主観的な幸福の数字だけでは暮らし全体を判断できないことを示している。

各年版(6)

  • 2026 Beyond GDP insights, UK measures of National Well-being: June 2026(2026年6月) この号を読む → 英国国家統計局(ONS)が2026年6月8日に公表した「GDPを超えて(Beyond GDP)」の号である。生活の質と社会の進歩を、毎年公表する59の国民のウェルビーイング指標と、四半期ごとに公表する7つの主要指標から10分野に分けて点検している。個人のウェルビーイングは前年から変化がなく、2025年10〜12月に生活満足度が低い成人は4.9%、不安が高い成人は23.6%であった。一方で、成人の約4人に1人(24.6%)が家計のやりくりが苦しいと答え、健康寿命や主観的健康は長期的に悪化している。
  • 2023 Personal well-being in the UK: April 2022 to March 2023(2023年11月、年次版はこの後休止) この号を読む → 英国国家統計局(ONS)が2023年11月7日に公表した、英国の個人のウェルビーイング(主観的な幸福)の年次統計である。2023年3月までの1年間で、4つの指標すべてが前年より悪化した。生活満足度は7.54から7.45へ下がり、不安は3.12から3.23へ上がった。コロナ禍の初期に下がり、2022年3月期に持ち直した後の再びの低下であり、いずれもコロナ前の水準を下回ったままである。この号は、健康状態・障害・婚姻状態・学歴などによる差を詳しく示し、生活満足度との結びつきが特に強い要因として主観的な健康状態と婚姻状態を挙げている。
  • 2022 Personal well-being in the UK: April 2021 to March 2022(2022年10月) この号を読む → 英国国家統計局(ONS)が2022年10月31日に公表した、2021年4月〜2022年3月(2022年3月期)の個人のウェルビーイング年次推計である。最大の話題は、ONS4と呼ばれる4つの指標(生活満足度、人生でしていることに価値があると感じる程度、昨日の幸福感、昨日の不安)がすべて前年より改善したことである。不安(0.18点低下)、生活満足度(0.15点上昇)、幸福感(0.13点上昇)は、2012年3月期に測定を始めて以来最大の前年比改善幅だった。ただし、どの指標もコロナ禍前(2019年3月期)の水準にはまだ戻っていない。
  • 2021 Personal well-being in the UK: April 2020 to March 2021(2021年10月) この号を読む → 英国国家統計局(ONS)が2021年10月15日に公表した、2020年4月〜2021年3月の英国の個人のウェルビーイングの年次推計である。対象期間はコロナ禍の1年にあたる。公式の要約によれば、ONS4と呼ばれる4つの指標(いずれも0〜10点)はすべて悪化した。前年からの変化幅は測定開始以来最大である。
  • 2020 Personal well-being in the UK: April 2019 to March 2020(2020年7月) この号を読む → 英国国家統計局(Office for National Statistics、ONS)が2020年7月30日に公表した、2019年4月〜2020年3月の英国の「個人のウェルビーイング」の年次推計である。対象期間は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応として英国全土のロックダウンが始まる直前までにあたる。最大の話題は、生活満足度・幸福感・不安の平均が、2011年の測定開始以来初めてそろって前年より有意に悪化したことである。なかでも不安の平均は2.87から3.05(10点中)へ6.3%上がり、過去最大の伸びとなった。
  • 2019 Personal well-being in the UK: April 2018 to March 2019(2019年10月) この号を読む → 英国国家統計局(ONS)が2019年10月23日に公表した、2018年4月〜2019年3月の「個人のウェルビーイング」の統計報告である。英国全体では4指標にほとんど変化がなく、幸福感の平均が7.52から7.56へわずかに上がっただけだった。国別で有意に変化したのは北アイルランドだけで、不安の平均が2.53から2.83に上がった。いちばんの読みどころは地域分析である。2013年3月期からの6年間で生活満足度と不安がどこで改善したかを示し、スコットランドの島々などウェルビーイングが一貫して高い地域と、ロンドンの一部の区など一貫して低い地域を特定している。

どう読む・どう使う

自治体単位まで推計が公表されているため、地域ごとの生活の質を比べたり、自分の住む地域の状況を確かめたりする材料になる。ONSのダッシュボードでは59の指標を10分野に分けて一覧でき、GDPだけでは見えない国の進歩を点検する政策議論に使える。健康状態や婚姻状態など個人の特性別のデータもあり、どのような人々のウェルビーイングが低い傾向にあるかを把握する研究に役立つ。4問は簡潔で他の調査にも組み込みやすいため、独自の調査で同じ質問を使い、英国の結果と並べて読むこともできる。

読むときの注意

英国の調査であり、日本は含まれない。年次人口調査のデータの質の問題で、年次の個人ウェルビーイング報告は2024年10月から一時停止しており、2023年11月の号(2023年3月期)が最新の年次版である(四半期の推計は継続)。幸福感と不安は「昨日」について尋ねるため、曜日や季節の影響を受ける。各号の数字は特性や地域との結びつきを示すもので、それ自体が因果関係を示すものではない。

確認日:2026-10-07。URL・数字は公式の資料で確かめたものです。解説は、公式ページと報告書本文に書かれていることだけをもとにAIが書き、数字が元資料にあることを照合しています。

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