この号の内容
30か国の幸福度ランキング
「とても幸せ」と「まあ幸せ」の合計を「幸せ」とすると、30か国平均は71%である(とても幸せ16%、まあ幸せ55%)。首位はインドの88%で、「とても幸せ」だけで51%を占める。2位はオランダの86%、3位はメキシコの82%である。最下位はハンガリーの45%で、ここから順に上へ韓国50%、トルコ49%、日本60%と続く。ハンガリーの45%は、2011年の調査開始以来2番目に低い値である。最も低かったのは、2021年のトルコの42%である。
📖 報告書では:p.2、p.4「Where are we happiest?」、p.5(国別の4択の内訳グラフ)
14年前より幸福度は低下
2011年の初回調査に参加した20か国のうち、15か国で幸せと答える人が減った。最も大きく下がったのはトルコで、89%から49%へ40ポイント低下した。これに韓国(71%→50%、−21ポイント)、カナダ(−18ポイント)、米国(85%→69%、−16ポイント)が続く。オーストラリアも86%から71%へ15ポイント下がった。一方、スペインは63%から72%へ11ポイント上昇し、2けたの上昇を示した唯一の国である。報告書はスペインについて、失業率が2011年の23%から2024年には11%に下がったことを併記している。
📖 報告書では:p.3「We are less happy than 14 years ago」、p.4、付録p.14「Happiness over time: 2011 - 2025」
幸せの理由は家族、不幸の理由はお金
生活のどの領域が幸せ・不幸せにつながっているかを、上位3つまで選んでもらった。幸せと答えた人が選んだ理由は、30か国平均で「家族・子ども」36%、「感謝され愛されていると感じる」35%、「人生を自分でコントロールできている感覚」25%、「心の健康」25%、「経済状況(家計)」24%の順である。不幸せと答えた人では「自分の経済状況」が58%で突出しており、2位の「心の健康」30%、3位の「体の健康」25%、4位の「自国の経済状況」23%を大きく引き離す。幸せの理由は国によって異なる。タイとスウェーデンでは経済状況が、ブラジルでは心の健康が最も多く挙げられている。
📖 報告書では:p.3「Finances biggest impact on happiness」、p.4、p.6、付録p.15–16、国別はp.18・p.20
お金と幸福の関係
所得が低い人ほど、幸せと答える割合が低い傾向がある。幸せと答えた人は低所得層で62%、中所得層で71%、高所得層で75%である。不幸せと答えた人の割合は、低所得層38%、中所得層29%、高所得層25%となる。不幸の最大の理由は、どの所得層でも「自分の経済状況」である(低所得62%、中所得60%、高所得54%)。幸せの最大の理由は、低所得層では「感謝され愛されていると感じる」(38%)、中・高所得層では「家族・子ども」(36%、38%)である。報告書は、お金があれば幸せになるとは限らないが、少ないほど不幸になりやすいとまとめている。
📖 報告書では:p.4「It's an old question, but does money bring happiness?」、p.9「Does money bring happiness?」
60〜70代が最も幸せ
年代別に幸せと答えた人の割合は、20代72%、30代71%、40代70%、50代68%と下がっていき、50代が最も低い。60代では75%、70歳以上では76%に上がり、成人期で最も高くなる。女性は18〜59歳でほぼ一定の水準を保ち、60代で最も幸せになる。男性は20代に比較的高く、中年期に下がったあと再び上昇する。Z世代では男性が女性より幸せと答える割合が高い。他の世代では男女差はほとんどない。
📖 報告書では:p.3「For the under 60s, the best is yet to come」、p.7「At what age are we happiest?」、p.8「Gen Z men happier than Gen Z women」
今の暮らしと5年後の見通し
関連して、イプソスの消費者信頼感調査(Consumer Confidence survey)のデータも示されている。「現在の生活の質は良い」と答えた人は平均42%で、インドが74%で最も高い。「5年後の生活の質は今よりずっと良くなる」と答えた人は平均53%で、コロンビアが79%で最も高い。報告書によれば、中南米とスペインは現在の生活を良いと答える人は少ないが、将来には前向きである。欧州では現在には満足していても、先行きには悲観的な人が多い。例えばオランダは、現在が良いとする人が62%なのに対し、5年後に良くなるとする人は37%で、差はマイナス25ポイントである。
📖 報告書では:p.10「Good days to come?」、p.11、p.12
日本の結果
この号の調べ方
イプソスのオンライン調査基盤グローバル・アドバイザー(Global Advisor)で実施した。インドのみ、IndiaBusという調査基盤を使い、約1800人を対面、約400人をオンラインで調査している。期間は2024年12月20日〜2025年1月3日で、30か国の成人計23,765人が回答した。年齢の範囲は国によって異なり、多くの国では16〜74歳である。標本数は日本が約2000人、米・英・独など11か国が各約1000人、ハンガリー・韓国・トルコなど17か国が各約500人、インドが約2200人である。データは各国の国勢調査に合わせて重み付けされている。誤差の目安(信用区間)は、1000人の標本で±3.5ポイント、500人で±5.0ポイントである。
この号から言えること
- 幸せの理由は国・年代・所得によってばらつくが、不幸せの理由は所得層や国を問わず「自分の経済状況」に集中している。
- 2011年から比較できる20か国のうち15か国で幸福度が下がった。トルコ(−40ポイント)や米国(−16ポイント)の低下と、スペイン(+11ポイント)の上昇は対照的である。
- 年齢との関係はU字型で、50代が最も低く(68%)、60代以降が最も高い(75〜76%)。
- 日本は幸福度が中位以下の27位であるうえ、現在の生活の質の評価も、5年後の見通しも調査国で最下位である。
読むときの注意
ブラジル、メキシコ、インドネシア、トルコなど12か国の標本は、一般の人口より都市部・高学歴・高所得に偏っている。インドも都市部の一部を代表するにすぎない。そのため、これらの国の結果は「つながっている層」の見方として読む必要がある。また、30か国平均は人口規模で調整していない単純平均であり、幸せ・不幸せの理由は該当者だけに尋ねた上位3つの選択である。所得や年齢と幸福の関係は傾向を示すものであり、原因を示すものではない。