幸せの名言集

アルベール・カミュの名言2選

フランスの作家・哲学者(1913-1960)。ノーベル文学賞

「山頂を目指す闘いそのものが、人の心を満たすのだ。シーシュポスは幸福なのだと想像しなければならない」

One must imagine Sisyphus happy.

— アルベール・カミュ 『シーシュポスの神話』(1942)結び

神罰により、転がり落ちる岩を永遠に山頂へ押し上げ続けるシーシュポス。カミュは、この不条理な反復を自覚して引き受けるとき、闘いそのものが充実になると論じた。報われない努力にも幸福は宿りうるという逆説の極点

心理学では
カミュの言葉は、幸福の源を結果ではなく過程への没入に置くもので、心理学のフロー(課題と力量が釣り合い、我を忘れて打ち込む状態)の考え方に重なる。Brickmanら(1978)は宝くじの高額当選者を調べ、大きな幸運を得た後も幸福感がさほど高くないことを示した。達成の喜びは、快楽順応(良い変化にも慣れてしまうこと)によって薄れやすいのである。一方、Csikszentmihalyi & LeFevre(1989)は働く人の日常を経験抽出法(一日に何度も、その時の気分を記録してもらう方法)で調べ、フローにある時ほど前向きな気分が高いことを見いだした。仕事でも家事でも、終わりを急ぐより、いま押している岩の手応えに注意を向けることが、日々の充実につながる。 参考:Brickmanら(1978)「Lottery winners and accident victi…」/Csikszentmihalyi & LeFevre(1989)「Optimal experience in work and lei…」 ↗
「真冬のさなか、私はついに、自分の内に不屈の夏があることを知った」

In the midst of winter, I found there was, within me, an invincible summer.

— アルベール・カミュ 随筆「ティパサに帰る」(1952)

『夏』所収

最悪の季節の中に、失われない内的資源がある

心理学では
この一節は、心理学でいうレジリエンス(逆境のなかでも心の働きを保ち、立ち直る力)を、本人が逆境のただ中で見いだす瞬間を描いている。Bonannoら(2002)は、配偶者を亡くした高齢者を死別の前から追跡した。その結果、強い悲嘆が長く続く人よりも、比較的安定した心の状態を保ち続ける人のほうが多かった。またSeeryら(2010)の縦断研究では、これまでに中程度の逆境を経験してきた人ほど、逆境をほとんど経験していない人や非常に多く経験した人よりも、心の健康が良好であった。つらい季節には、困難を乗り越えてきた過去の自分を思い出すことが、内なる夏を確かめる手がかりになる。 参考:Bonannoら(2002)「Resilience to loss and chronic gri…」 ↗/Seeryら(2010)「Whatever does not kill us: Cumulat…」

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