2026.08.04

はぴテク相談室:「我慢するのがストイック」だと思ってた話

相談者

はぴテクさん、最近ちょっと疲れてまして…。仕事で理不尽なことがあっても、感情を出さずにグッと我慢するようにしてるんです。「ストイックに生きよう」って決めたので。でも全然幸せになれる気がしなくて。

はぴテクさん
はぴテクさん

なるほど、我慢を頑張っておられるんですね。実はそのお悩み、ちょうどぴったりの最新研究があります。11,726人を調べた研究で「ストイック」には2種類あることが分かってきたんです。

相談者

2種類?ストイックはストイックじゃないんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

日常語の「ストイック」は、感情を押し殺して耐えること。実はこちらは、これまでの研究で幸福度を下げると言われています。でも本家の「ストア哲学」は全然違うもので、こちらは幸福度の高さと関連していたんです(r = .43、中くらいの強さの関連です)。

相談者

えっ、本家は別物なんですか。本家のストア哲学って何をするんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

一言でいうと「感情を消す」のではなく「自分の考えと行動を整える」練習です。例えば研究で使われた質問には「ネガティブな考えが浮かんだら、それは状況の一つの解釈にすぎないと自分に言い聞かせる」なんて項目があります。

相談者

我慢じゃなくて…解釈を見直す、ってことですか。

はぴテクさん
はぴテクさん

そうです。「理不尽だ!」という怒りをフタして押し込むのが日常語のストイック。「待てよ、この『理不尽だ』は私の解釈で、別の見方もあるかな?」と一歩引いて眺めるのがストア哲学。フタと吟味、似てるようで真逆なんですね。

相談者

たしかに私がやってたのはフタの方です…。どうりで苦しいわけだ。

はぴテクさん
はぴテクさん

しかもこの研究、面白い発見がもう一つあって。ストア哲学の中でも「どの部分」が幸福と結びつくかを調べたら、一番強かったのは「毎日、自分の考えに気づいて吟味する習慣」でした。逆に「コントロールできるのは自分の判断と行動だけ、という考えに同意している」だけだと、幸福度とほぼ関連なし(r = .12)。

相談者

えっ、いい考え方を「知ってる」だけじゃダメなんですか?

はぴテクさん
はぴテクさん

そうなんです。「同意より実践」。頭で分かっていることと、毎日使っていることは別物みたいです。筋トレの理論を知ってても筋肉がつかないのと同じですね。

相談者

耳が痛い…。じゃあ具体的には、何を実践すればいいんでしょう?

はぴテクさん
はぴテクさん

研究の質問項目が、そのまま実践メニューになりますよ。例えば「朝、今日の課題にどう向き合うか少し考える」「大事な決断の前に『ここで本当に大事なことは何か?』と自問する」「困ったときは『理想の賢い人ならどうするか』を考えてみる」。どれも1日数分でできます。

相談者

それならできそうです。でも、そうやって淡々と生きてると、なんだか冷たい人間になりそうで怖いんですが…。

はぴテクさん
はぴテクさん

それが一番の誤解ポイントです!この研究で、ストア度が高い人ほど強かった性格の強みは何だったと思いますか?実は「希望」と「感謝」がトップだったんです。冷たいどころか、前向きさと一番相性が良かった。

相談者

ストイックな人ほど希望にあふれてる!?イメージと真逆ですね。

はぴテクさん
はぴテクさん

研究者の解釈では、ストア哲学が育てるのは「結果が思い通りになる」という楽観ではなく「何が起きても自分は対応できる」という、自分の姿勢に根ざした楽観。運任せの希望より折れにくいんですね。他者への思いやりもストア哲学の柱の一つで、人類みんな仲間、という項目まであるんですよ。

相談者

我慢の哲学どころか、ずいぶん温かい哲学なんですね。あと一つ気になるのが、理不尽な状況そのものはどうすれば…。上司は変えられないですし。

はぴテクさん
はぴテクさん

そこはストア哲学の有名な考え方「コントロールの二分法」の出番です。上司の言動は変えられない。でも、それをどう解釈して、どう行動するかは自分次第。ただし、さっきの結果を思い出してください。この考えに「うんうん」と頷くだけでは効果は薄い。理不尽が起きたその瞬間に「これは変えられる側?変えられない側?」と仕分ける練習を、毎回やることが大事です。

相談者

知識としてではなく、その場その場で使う道具にする、と。

はぴテクさん
はぴテクさん

その通りです。ただ一つ正直にお伝えすると、この研究は一時点の調査なので「ストア的実践をしたから幸福になった」のか「幸福な人がストア的になりやすい」のかは、まだ確定していません。あくまで「関連がある」段階です。

相談者

なるほど。それでも、我慢でフタをする今のやり方よりは、試す価値がありそうです。

はぴテクさん
はぴテクさん

ですね。明日の朝、まず「今日の課題にどう向き合うか」を3分考えるところから始めてみてください。我慢の量を増やすのではなく、吟味の回数を増やす。それが本家ストア流です。

相談者

ストイックの看板は下ろさずに、中身だけ本家に入れ替えます!ありがとうございました。

■ 今日のまとめ

  • 「ストイック」には2種類ある。感情にフタをする我慢(日常語)は幸福度の低さと、考えを吟味するストア哲学(本家)は幸福度の高さと関連していた
  • カギは「同意より実践」。良い考え方を知っているだけでは幸福とほぼ関連せず、毎日の吟味の習慣こそが幸福と強く結びついていた
  • ストア哲学は冷たくない。希望・感謝との関連が最も強く、育つのは「何が起きても対応できる」という自分に根ざした前向きさ

■ 出典・注意事項

  • Karl, J. A., & LeBon, T. (2026). Stoicism, well-being, and character strengths: evidence from a large sample using the Stoic Attitudes and Behaviours Scale (SABS). The Journal of Positive Psychology. https://doi.org/10.1080/17439760.2026.2704805

  • 一時点の相関研究のため、因果関係(ストア的実践→幸福)は確定していません。逆方向や相互の影響もありえます

  • データはすべて自己報告式で、サンプルは欧米中心・高学歴に偏っている可能性が指摘されています

  • 対話中の実践例は、研究で使われた尺度(SABS)の項目を基にした紹介であり、効果が検証された介入プログラムではありません

投稿者によるコメント・補足(1件)
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論文の紹介はこちら
本当のストイックさは幸せにつながる
https://archive.happytech.co.jp/posts/2026-08-04-1785862920/

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