幸せの名言集

エピクロスの名言4選

古代ギリシャの哲学者(BC341-270)。静的な快を重んじた快楽主義の祖

「持っていないものを欲して、いま持っているものを台無しにしてはならない」

Do not spoil what you have by desiring what you have not.

— エピクロス 『バチカン写本』断片35

欠乏への注目は現在の豊かさを損なう

心理学では
この言葉は、足りないものに注意が偏る「欠乏への焦点化」を戒め、すでにあるものへの感謝(恵みに気づき、ありがたく思う心の働き)を勧めている。Larsen & McKibban(2008)は、大学生の持ち物について「持っているか」「欲しいか」を尋ねる相関研究を行った。その結果、欲しいものを持っている人だけでなく、持っているものをなお欲する人ほど幸福感が高かった。Emmons & McCullough(2003)の実験では、感謝できることを毎週書き留めた人は、煩わしい出来事を書いた人より人生を前向きに評価した。一日の終わりに今日あってよかったものを三つ思い浮かべる習慣が、手元の豊かさを守る助けになる。 参考:Larsen & McKibban(2008)「Is Happiness Having What You Want,…」 ↗/Emmons & McCullough(2003)「Counting blessings versus burdens:…」
「知恵が人生全体の幸福のために備えるもののうち、最も偉大なものは友情の獲得である」

Of all the means to insure happiness throughout the whole life, by far the most important is the acquisition of friends.

— エピクロス 『主要教説』27

友情こそ幸福の最大の資源である

心理学では
エピクロスのいう友情は、心理学でいう社会的つながり(信頼し支え合える人間関係)にあたる。Diener & Seligman(2002)は大学生を対象にした相関研究で、際立って幸福度の高い人ほど、友人や家族との関係が充実していることを見いだした。さらにHolt-Lunstadら(2010)は、多数の縦断研究を統合したメタ分析で、人間関係が豊かな人ほど長生きする傾向があることを示した。友情は日々の気分だけでなく、人生全体を支える資源である。忙しい日々でも友人に近況を尋ね、感謝を言葉にする時間をもつことが、その資源を育てることにつながる。 参考:Diener & Seligman(2002)「Very Happy People」/Holt-Lunstadら(2010)「Social Relationships and Mortality…」 ↗
「死は、私たちにとって何ものでもない。私たちが存在するとき死は存在せず、死が存在するとき私たちは存在しない」

Death is nothing to us.

— エピクロス 『メノイケウス宛の手紙』

最大の不安である死への論理的処方

心理学では
この論法は、死への恐れ(死の不安)を受け止め方の組み替えによって和らげる試みであり、認知的再評価(出来事の意味づけを見直すこと)の先駆けである。精神科医のYalom(2008)は、死の恐怖に苦しむ人々との臨床経験から、エピクロスの論法が不安を鎮める支えになると述べている。また、Menziesら(2018)は無作為化比較試験のメタ分析(複数の研究を統合する分析)を行い、認知行動療法などの心理的介入が死の不安を和らげる効果をもつことを示した。ただし、理屈だけでは落ち着かない夜には、身近な人と気持ちを語り合うことを組み合わせるとよい。漠然とした不安が湧いたときは、いま確かに存在している自分の一日に目を向けることが助けになる。 参考:Yalom(2008)「Staring at the sun: Overcoming the…」 ↗/Menziesら(2018)「The effects of psychosocial interv…」 ↗
「快とは、身体に苦痛がなく、魂に動揺がないことである」

Pleasure is the absence of pain in the body and of trouble in the soul.

— エピクロス 『メノイケウス宛の手紙』

快楽主義の祖が定義した快は「平静」だった

心理学では
エピクロスの言う快は、心理学でいえば興奮をともなう快ではなく、穏やかな落ち着き(低覚醒のポジティブ感情)や「心の平安」(内面の調和と安らぎ)に近い。Leeら(2013)は、台湾の大学生などを対象に心の平安を測る尺度を作った。そして相関研究によって、心の平安が高い人ほど幸福感が高く、穏やかな快の感情を感じやすいことを示した。またDienerら(1991)は、幸福感は強烈な喜びの大きさよりも、ほどよい快を感じる頻度と強く結びつくことを報告している。刺激的な楽しみを足していくより、睡眠や体調を整え、心配の種を一つずつ減らす。それが日々の満ち足りた感覚につながる。 参考:Leeら(2013)「The Construct and Measurement of P…」 ↗/Dienerら(1991)「Happiness is the frequency, not th…」

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