「歩くことで、私は最良の思想に出会ってきた。歩いて追い払えないほど重い思いを、私は知らない」
I have walked myself into my best thoughts, and I know of no thought so burdensome that one cannot walk away from it.
— セーレン・キルケゴール 姪への手紙(1847)
「実存の哲学者」が日課の散歩について書いた言葉。どんなに重い憂鬱も、歩いているうちに軽くなっていく ── 心の問題を心の中だけで解決しようとせず、脚に手伝ってもらうという知恵
- 心理学では
- キルケゴールの言葉は、歩くことの二つの働きを言い当てている。一つは拡散的思考(アイデアを幅広く思いつく力)を促す働き、もう一つは反すう(同じ悩みを頭の中で繰り返し考え続けること)を断ち切る働きである。Oppezzo & Schwartz(2014)は大学生などを対象とした一連の実験で、座っているときより歩いているときのほうが独創的なアイデアが多く生まれることを示した。また、Bratmanら(2015)の実験では、自然の中を歩いた人は都市の道路沿いを歩いた人に比べて反すうが減り、反すうに関わる脳部位の活動も低下した。ただし気持ちが特に重い日は、緑のある道を選ぶとより効果的である。考えが行き詰まったときや心が沈んだときは、机を離れて少しでも外を歩くことが、気持ちを切り替える確かな一歩になる。 参考:Oppezzo & Schwartz(2014)「Give your ideas some legs: The pos…」 ↗/Bratmanら(2015)「Nature experience reduces ruminati…」 ↗