幸せの名言集

セーレン・キルケゴールの名言3選

デンマークの哲学者(1813-1855)

「歩くことで、私は最良の思想に出会ってきた。歩いて追い払えないほど重い思いを、私は知らない」

I have walked myself into my best thoughts, and I know of no thought so burdensome that one cannot walk away from it.

— セーレン・キルケゴール 姪への手紙(1847)

「実存の哲学者」が日課の散歩について書いた言葉。どんなに重い憂鬱も、歩いているうちに軽くなっていく ── 心の問題を心の中だけで解決しようとせず、脚に手伝ってもらうという知恵

心理学では
キルケゴールの言葉は、歩くことの二つの働きを言い当てている。一つは拡散的思考(アイデアを幅広く思いつく力)を促す働き、もう一つは反すう(同じ悩みを頭の中で繰り返し考え続けること)を断ち切る働きである。Oppezzo & Schwartz(2014)は大学生などを対象とした一連の実験で、座っているときより歩いているときのほうが独創的なアイデアが多く生まれることを示した。また、Bratmanら(2015)の実験では、自然の中を歩いた人は都市の道路沿いを歩いた人に比べて反すうが減り、反すうに関わる脳部位の活動も低下した。ただし気持ちが特に重い日は、緑のある道を選ぶとより効果的である。考えが行き詰まったときや心が沈んだときは、机を離れて少しでも外を歩くことが、気持ちを切り替える確かな一歩になる。 参考:Oppezzo & Schwartz(2014)「Give your ideas some legs: The pos…」 ↗/Bratmanら(2015)「Nature experience reduces ruminati…」 ↗
「絶望とは、自分自身であろうとしないことである」

— セーレン・キルケゴール 『死に至る病』(1849)

自己からの逃避こそ絶望の正体

心理学では
キルケゴールのいう「自分自身であろうとしない」状態は、自己不一致(現実の自分と、理想や「こうあるべき」の自分とのずれ)や、本来感(自分らしくいられているという感覚)の欠如に重なる。Higgins(1987)は大学生を対象とした相関研究で、現実自己と理想自己のずれが大きい人ほど落胆や抑うつ的な感情を、義務自己とのずれが大きい人ほど不安や焦りを抱きやすいことを示した。またSheldonら(1997)は、友人や学生、働き手といった役割ごとに自分の性格を評定してもらい、役割によって自分が大きく変わる人ほど本来感も主観的幸福感も低いことを見いだした。人前で演じている自分に気づいたら、本音に沿った小さな選択を一つ重ねることが、心の立て直しにつながる。 参考:Higgins(1987)「Self-discrepancy: A theory relatin…」/Sheldonら(1997)「Trait self and true self: Cross-ro…」
「人生は後ろ向きにしか理解できない。しかし、前向きにしか生きられない」

Life can only be understood backwards; but it must be lived forwards.

— セーレン・キルケゴール 『日記』(1843)

意味は遅れて到着するが、生は待ってくれない

心理学では
キルケゴールの言葉は、心理学でいう「物語的アイデンティティ」(過去の出来事をつなぎ合わせ、人生を一つの物語として理解すること)の働きを言い当てている。McAdams & McLean(2013)の総説によれば、つらい経験に後から意味や成長を見いだして語る人ほど、幸福感や心の健康が高い。さらにAdler(2012)は、心理療法を受ける人の語りを縦断的に追った。その結果、「自分で人生を動かせる」という主体性の語りがまず強まり、心の健康の改善はその後に続いた。意味の理解は、生きることに遅れて追いついてくる。迷いながらでも一歩を踏み出し、ときどき日記などで歩みを振り返ることが、次の一歩を支える助けになる。 参考:McAdams & McLean(2013)「Narrative Identity」 ↗/Adler(2012)「Living into the story: Agency and …」 ↗

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