幸せの名言集

ミシェル・ド・モンテーニュの名言3選

フランスのモラリスト(1533-1592)

「私が猫と遊んでいるとき、実は猫のほうが、私を相手に遊んでいるのではないと、どうして言えるだろうか」

When I play with my cat, who knows whether she is not amusing herself with me more than I with her?

— ミシェル・ド・モンテーニュ 『エセー』第2巻12章「レーモン・スボン弁護」

人間は万物の主人だという思い込みを、飼い猫との遊びのひと場面でひっくり返した有名な一節。視点を固定せず、相手の側から世界を見直してみる知的な柔軟さの見本

心理学では
この一節は、心理学でいう視点取得(相手の立場から状況を見ること)と認知的柔軟性(物の見方を切り替える力)を、ユーモアを交えて示している。Grossmann & Kross(2014)の実験では、自分の悩みを他人の悩みのように距離を置いて考えるよう促されると、他者の視点や自分の知識の限界を認める賢明な推論が増えた。またSamson & Gross(2012)の実験では、嫌な場面をやさしいユーモアで捉え直すと、皮肉なユーモアを使った場合よりも否定的な感情がやわらぎ、前向きな感情が増した。思い通りにならないときは「相手から見たら自分はどう映るか」と一度ひっくり返して眺めてみる。それが、こわばった気持ちをほどき、余裕を取り戻す助けになる。 参考:Grossmann & Kross(2014)「Exploring Solomon’s Paradox: Self-…」 ↗/Samson & Gross(2012)「Humour as emotion regulation: The …」 ↗
「世界で最も偉大なことは、自分自身のものとして生きるすべを知ることである」

The greatest thing in the world is to know how to belong to oneself.

— ミシェル・ド・モンテーニュ 『エセー』第3巻

自分に固有の生を生きることが最大の技術

心理学では
モンテーニュのいう「自分自身のものとして生きる」は、心理学でいう本来感(自分らしくある感覚)や自己一致(目標が自分の価値観に根ざしている状態)に重なる。Sheldon & Elliot(1999)は、大学生を学期を通じて追った縦断研究で、自分の価値や関心から選んだ目標を追う人ほど努力が続き、目標を達成しやすいことを示した。さらに、その達成が幸福感の向上と結びつくことも明らかにした。Woodら(2008)も、自分に正直に生きている人ほど自尊心や人生満足度が高いという関連を報告している。日々の選択の前に「これは誰のための目標か」と問い直すことが、自分の人生を自分のものにする第一歩になる。 参考:Sheldon & Elliot(1999)「Goal striving, need satisfaction, …」/Woodら(2008)「The authentic personality: A theor…」
「我々の偉大で輝かしい傑作とは、適切に生きることである」

Our great and glorious masterpiece is to live appropriately.

— ミシェル・ド・モンテーニュ 『エセー』第3巻13章

人生最大の作品は、生き方そのものである

心理学では
モンテーニュのいう「適切に生きる」は、心理学のエウダイモニア(自分の価値に沿って生き、持ち味を発揮することで得られる充実)に重なる。Ryff(1989)は、幸福を快い気分だけでなく、人生の目的や人格的成長なども含む「心理的幸福感」として捉え直した。さらにStegerら(2008)は、大学生に毎日の行動を記録してもらう日誌研究を行った。その結果、人を助ける、目標に向けて努力するといった意義ある行動が多い日ほど、生きる意味や前向きな気分が高かった。人生という作品は、特別な偉業よりも一日ごとの振る舞いで形づくられる。今日の小さな選択を自分が大切にしたい価値に沿わせることが、その作品の一筆になる。 参考:Ryff(1989)「Happiness is everything, or is it?…」/Stegerら(2008)「Being good by doing good: Daily eu…」 ↗

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