「私が猫と遊んでいるとき、実は猫のほうが、私を相手に遊んでいるのではないと、どうして言えるだろうか」
When I play with my cat, who knows whether she is not amusing herself with me more than I with her?
— ミシェル・ド・モンテーニュ 『エセー』第2巻12章「レーモン・スボン弁護」
人間は万物の主人だという思い込みを、飼い猫との遊びのひと場面でひっくり返した有名な一節。視点を固定せず、相手の側から世界を見直してみる知的な柔軟さの見本
- 心理学では
- この一節は、心理学でいう視点取得(相手の立場から状況を見ること)と認知的柔軟性(物の見方を切り替える力)を、ユーモアを交えて示している。Grossmann & Kross(2014)の実験では、自分の悩みを他人の悩みのように距離を置いて考えるよう促されると、他者の視点や自分の知識の限界を認める賢明な推論が増えた。またSamson & Gross(2012)の実験では、嫌な場面をやさしいユーモアで捉え直すと、皮肉なユーモアを使った場合よりも否定的な感情がやわらぎ、前向きな感情が増した。思い通りにならないときは「相手から見たら自分はどう映るか」と一度ひっくり返して眺めてみる。それが、こわばった気持ちをほどき、余裕を取り戻す助けになる。 参考:Grossmann & Kross(2014)「Exploring Solomon’s Paradox: Self-…」 ↗/Samson & Gross(2012)「Humour as emotion regulation: The …」 ↗