幸せの名言集

シェイクスピアの名言5選

英国の劇作家(1564-1616)

「物事に良いも悪いもない。考え方がそう決めるだけだ」

There is nothing either good or bad, but thinking makes it so.

— シェイクスピア 『ハムレット』第2幕第2場

ハムレットの台詞

価値判断は事実ではなく思考の産物である

心理学では
この台詞は、心理学の評価理論(感情は出来事そのものではなく、その受け止め方から生じるという考え)とよく重なる。認知療法がこの一節を好んで引くのも、同じ発想に立つからである。Gross & John(2003)は大学生などを対象にした相関研究で、出来事の意味をとらえ直す「認知的再評価」を日ごろ使う人ほど、前向きな感情が多く、幸福感も高いことを示した。さらにJamiesonら(2012)の実験では、人前でのスピーチ課題の前に、高まる動悸を「体が力を出す準備」と解釈するよう教わった人は、心臓血管の反応がより効率的になった。嫌な出来事に出会ったら「別の見方はないか」と一度問い直すことが、気持ちの切り替えにつながる。 参考:Gross & John(2003)「Individual differences in two emot…」/Jamiesonら(2012)「Mind over matter: Reappraising aro…」 ↗
「終わりよければ、すべてよし」

All's well that ends well.

— シェイクスピア 戯曲『終わりよければすべてよし』の題名。ことわざとしても流通

結末の良さが全体の意味を塗り替える

心理学では
この名言は、心理学でいう「ピーク・エンドの法則」(経験の記憶は、最も強い瞬間と終わりの印象に大きく左右されるという傾向)をよく言い当てている。Kahnemanら(1993)の冷水に手を浸す実験では、参加者は短い試行よりも、最後に水温を少し上げた時間を足した長い試行のほうを、もう一度受けるものとして選んだ。Redelmeierら(2003)は大腸内視鏡検査の無作為化試験で、検査の終わりを穏やかにすると、患者が振り返って感じる不快さが軽くなり、再検査も受け入れやすくなることを報告した。つらい一日や難しい会議でも、最後に小さな達成や感謝の言葉を置くことが、経験全体を前向きな記憶として残すことにつながる。 参考:Kahnemanら(1993)「When More Pain Is Preferred to Les…」 ↗/Redelmeierら(2003)「Memories of colonoscopy: a randomi…」 ↗
「何よりも、自分自身に忠実であれ。そうすれば、夜が昼に続くように、誰に対しても偽りのない者になる」

This above all: to thine own self be true.

— シェイクスピア 『ハムレット』第1幕第3場(ポローニアスの台詞)

自己への誠実さが他者への誠実さの土台になる

心理学では
この名言は、本来感(自分の価値観や感情に沿って生きている感覚)が他者への誠実さの土台になることを言い当てている。Kernis & Goldman(2006)は本来性を、自分を知ること、自分に関する情報をゆがめず受けとめること、価値観に沿って行動すること、親しい相手に正直で開かれていようとする関係的志向(人との関わり方の構え)の四要素でとらえ、自分への誠実さと人への誠実さを一続きのものとして描いた。Brunellら(2010)は恋人同士を対象とした研究で、本来性の高い人ほど相手への健全なふるまいが多く、関係への満足も高いことを示している。言葉を発する前に「本当はどう感じているか」と自分に問う習慣が、人との信頼を育てる。 参考:Kernis & Goldman(2006)「A Multicomponent Conceptualization…」/Brunellら(2010)「Dispositional authenticity and rom…」
「嫉妬にご用心。それは緑の目の怪物で、餌食にする者をもてあそぶのです」

O beware, my lord, of jealousy; it is the green-eyed monster.

— シェイクスピア 『オセロー』第3幕第3場(イアーゴーの台詞)

「green-eyed monster」の出典

嫉妬は抱く本人を食い荒らす

心理学では
この台詞が描くのは、嫉妬が相手より先に、抱く本人をむしばむ姿である。心理学では、疑いや比較の考えが頭の中で堂々めぐりする状態を反すう(同じ考えを繰り返し思い返すこと)と呼ぶ。Carson & Cupach(2000)は恋愛関係にある人を対象に質問紙調査を行い、嫉妬について反すうする人ほど、相手を責めたり探りを入れたりといった破壊的な反応をとりやすいことを示した。またSmithら(1999)の研究では、妬みやすい気質の人ほど抑うつが強く、人生への満足度が低いことが分かっている。嫉妬の芽に気づいたら、考えを紙に書き出して事実と想像を分けてみる。それだけでも、怪物に餌を与え続けないための助けになる。 参考:Carson & Cupach(2000)「Fueling the flames of the green‐ey…」 ↗/Smithら(1999)「Dispositional Envy」 ↗
「逆境の効用は甘い。それはヒキガエルのように醜く毒々しいが、頭に宝石を戴いている」

Sweet are the uses of adversity, which, like the toad, ugly and venomous, wears yet a precious jewel in his head.

— シェイクスピア 『お気に召すまま』第2幕第1場

追放された公爵の台詞

逆境は醜い姿の中に価値を隠し持つ

心理学では
この名言は、心理学でいう利得発見(つらい出来事の中に意味や恩恵を見いだすこと)や心的外傷後成長(逆境と向き合う中で人が成長すること)を言い当てている。Helgesonら(2006)は、病気などの逆境を経験した人を対象とする研究をメタ分析し、利得を見いだしている人ほど抑うつが低く、前向きな気分が高いことを示した。またSeeryら(2010)は全米の成人を追跡した縦断研究で、適度な逆境を経験してきた人ほど、逆境のない人より心の健康が良好であることを見いだした。ただし渦中では無理に意味を探さず、少し落ち着いてから振り返るとよい。苦しい経験の後に「ここで得たものは何か」と書き出すことが、醜い姿の奥に隠れた宝石に気づく助けになる。 参考:Helgesonら(2006)「A meta-analytic review of benefit …」/Seeryら(2010)「Whatever does not kill us: Cumulat…」

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