幸せの名言集

ムハンマド(ハディース)の名言3選

イスラム教の預言者(570頃-632)の言行録

「兄弟に向かってほほえむことも、施し(サダカ)である」

Your smile for your brother is charity.

— ムハンマド(ハディース) ティルミズィー伝承

施しはお金や物に限らない。微笑み、良い言葉、道の障害物を除くこと ── 誰にでも今すぐできる行為が、正式な善行(サダカ)として数えられる。仏教の「無財の七施」と美しく対応する教え

心理学では
この名言は、ほほえみのようなごく小さなふるまいも、向社会的行動(他者のためになる行い)として数えている。Sandstrom & Dunn(2014)は、コーヒー店の客に、店員と目を合わせてほほえみ、短く言葉を交わすよう求める実験を行った。その結果、手早く用事を済ませた客よりも前向きな気分が高まり、人とのつながりの感覚(所属感)も強まることを示した。またOtakeら(2006)は、日本の大学生に一週間、自分がした親切を数えてもらう介入研究を行い、幸福感が高まることを見いだした。小さな善行に目を向けること自体が、次の親切を生み、心を満たす。レジの店員や廊下ですれ違う人に一度ほほえむことが、その日の施しになる。 参考:Sandstrom & Dunn(2014)「Is efficiency overrated?: Minimal …」 ↗/Otakeら(2006)「Happy People Become Happier throug…」
「まず、ラクダを繋げ。それから、アッラーに委ねよ」

Tie your camel first, then put your trust in Allah.

— ムハンマド(ハディース) ティルミズィー伝承

「ラクダを繋がずに神に委ねてよいか」と尋ねた男への預言者の答え。人事(繋ぐ)と信頼(委ねる=タワックル)は矛盾せず、順番の問題である ──「人事を尽くして天命を待つ」のイスラム版

心理学では
この名言は、変えられることには自ら手を打ち(一次的コントロール=状況を変える働きかけ)、変えられないことは受け入れる(二次的コントロール=受け止め方を整える働きかけ)という二段構えを表している。Rothbaumら(1982)は、この二つを人が安心を保つために補い合う仕組みとして整理した。Pargamentら(1988)は教会員への質問紙調査で、神と協力して問題に取り組む人ほど自尊心や自己統制感が高く、すべてを神任せにする人ほどそれらが低いという関連を報告している。心配ごとが浮かんだら、まず自分にできる一手を実行し、残りは手放すと決めることが心の軽さにつながる。 参考:Rothbaumら(1982)「Changing the world and changing th…」 ↗/Pargamentら(1988)「Religion and the Problem-Solving P…」 ↗
「隣人が飢えているのに、自分だけ満腹で夜を過ごす者は、真の信仰者ではない」

He is not a believer whose stomach is filled while the neighbor to his side goes hungry.

— ムハンマド(ハディース) ブハーリー等の伝承に基づく

個人の信仰の完成度を、祈りの回数ではなく「隣人の腹具合」で測るという規定。自分だけの救い・自分だけの幸福は、そもそも成立しないという共同体的幸福観の宣言

心理学では
この名言は、幸福を個人の内側で完結するものではなく、周囲の人々の暮らしと結びついた「相互依存的な幸福」としてとらえている。心理学では、向社会的行動(見返りを求めず他者のためになる行い)が、本人の幸福とも関連することが知られている。Dunnら(2008)は実験を行い、お金を自分ではなく他者のために使うよう指示された参加者のほうが、その日の幸福感が高まることを示した。またOishiら(2011)は、米国の長期にわたる全国調査を分析し、所得格差が大きい年ほど人々の幸福感が低く、その背景に他者への信頼感や公平感の低下があることを報告した。身近な人の困りごとに目を向け、食事や時間を分け合うことが、自分自身の満ち足りた夜にもつながる。 参考:Dunnら(2008)「Spending Money on Others Promotes …」/Oishiら(2011)「Income Inequality and Happiness」

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