どんな調査か
Gallup世界世論調査(Gallup World Poll)は、米国の調査会社Gallupが2005年に始めた世界規模の世論調査である。140以上の国・地域を対象とし、世界の成人人口の95%以上をカバーする。Gallupは目的を「世界の差し迫った課題を理解し対処するために、信頼できる全国代表のデータを指導者に提供すること」と掲げている。GDPや失業率などの指標では捉えられない、人々の暮らしの質や日々の感じ方を測ることを狙いとする。人生の評価と前日の感情についての質問は、世界幸福度報告(World Happiness Report)の国別順位や、State of the Global Workplaceの元データになっている。
何をどう測っているか
調査は毎年行われ、15歳以上を対象に100以上の質問を145以上の言語で尋ねる。各国の標本は年約1,000人以上で、中国・ロシアなどは2,000人以上である。先進国では電話、途上国では対面で調査し、各国の全国代表になるよう重みを付ける。幸福に関わる中心的な質問は二つある。一つはキャントリルの梯子(0〜10の段のはしごにたとえて、自分の人生を最悪から最良まで評価する質問)である。もう一つは前日の感情で、笑ったか、楽しんだか、心配・ストレス・悲しみ・怒りを感じたかなどを「はい/いいえ」で尋ねる。質問領域は経済、市民参加、通信・技術、教育と家族、環境とエネルギー、食と住まい、政治、健康とウェルビーイング、治安、宗教と倫理、社会問題、仕事の各分野にわたり、Gallupは質問票設計・標本設計・データ収集・品質保証・データ処理と重み付けの各段階に90年以上の経験を注いでいると説明している。
これまでの歩み
World Pollは2005年に創設され、以来毎年実施されてきた。Gallupは20年以上にわたりこの調査で世界の指導者を支援してきたと述べている。統一した方法で毎年測ることで、COVID-19、ブレグジット、アラブの春のような時期に特有の出来事の影響を分析できるとしている。調査網は紛争地、遠隔地、言語の多様な地域、電話やインターネットが届かない地域の人々にも及ぶよう整えられてきた。現在は国連の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、金融包摂・食料不安・現代奴隷の三つの指標を追跡している。最近では20年分のデータをもとに、住まいへの見方の変化や制度への信頼の20年の振り返りなどの記事シリーズを公表している。
分かってきたこと
GDPでは測れない「暮らしの質」を国際比較できる
Gallupは、World PollがGDPや失業率では捉えられない生活の質や日々の感情を測ると位置づけている。各国が独自の方法で集めたデータは互いに比較できないことが多い。World Pollは標準化された方法を使うため、国同士の比較、国別ランキングの作成、模範例や外れ値の特定ができるとしている。
多くの国際指標の土台になっている
World Pollのデータは、世界銀行のFindex(金融包摂)、持続可能な開発ソリューション・ネットワークの世界幸福度報告、国連食糧農業機関のVoices of the Hungry、Walk Freeの世界奴隷指数などに使われている。ほかにも国連開発計画の人間開発報告、OECDのより良い暮らし指標(Better Life Index)、世界平和度指数、Wellcome Global Monitor 2020(メンタルヘルス)など、数多くの統計・指標の名前が挙げられている。幸福度の国際比較の多くが、この一つの調査に依拠していることになる。
20年分のデータから見える世界の変化
Gallupは20年分のデータをもとに、世界の傾向を伝える記事を公表している。記事の題名では、人生における自由に満足している人が世界的に増えたこと、自分の地域が少数派にとって良い場所だと答える人が増えたことが示されている。また、世界の多数派がメディアは自由に活動できると答えていることも題名で伝えられている。
幸福・感情・仕事に関する報告書群を生み出している
World Pollを元にした報告書として、State of the Global Workplace、世界幸福度報告2026、State of the World's Emotional Health(世界の感情の健康)、Global Safety Report(世界の安全報告)などが挙げられている。2026年に人々が指導者に伝えたい「世界で最も重要な問題」を扱う報告もある。一つの調査基盤から、人生評価、感情、職場、安全といった異なる角度の報告が出ている点に特徴がある。