どんな調査か
国民生活基礎調査は、厚生労働省が実施する基幹統計調査である。保健・医療・福祉・年金・所得など、国民生活の基礎的な事項を調べる。1986年から3年ごとに大規模調査を行い、その間の年には簡易な調査を行う。大規模調査の年には健康票で「こころの状態」を尋ねる。測定には、不安や抑うつの程度を測る尺度K6を使う。2025(令和7)年調査は14回目の大規模調査であり、標本がとても大きいため、年齢・性別や世帯の状況別に心の不調の広がりを比べられる。
何をどう測っているか
調査は世帯・健康・介護・所得・貯蓄の5種類の調査票で行い、全国の世帯と世帯員を対象とする。2025年の大規模調査の世帯票・健康票は約30万世帯・約65万4千人が対象で、2013年は約30万世帯・約74万人であった。「こころの状態」は12歳以上(入院者を除く)に、K6で尋ねる。K6は過去1か月の気分を6問で尋ね、各0〜4点、合計0〜24点で表す尺度で、点が低いほど心理的な負担が小さい。回答方法は従来の調査員調査(一部郵送回収)に、2022(令和4)年調査からオンライン調査が加わった。2022年は一部の都府県での導入で、そこで回収された調査票の35.5%がオンライン提出であった。2023年調査で全国に広がり、オンライン提出の割合は先行導入県で42.8%、それ以外の道府県で33.9%となった。
これまでの歩み
2013(平成25)年の第10回では、12歳以上のK6が「0〜4点」の人は67.3%で最も多く、65歳以上の者のいる世帯は44.7%、65歳以上の者の「子と同居」は40.0%まで下がった。2016(平成28)年の第11回は熊本県を除く集計で、世帯総数は4994万5千世帯、65歳以上の者のいる世帯は48.4%、平均世帯人員は2.47人であった。2019年の第12回では単独世帯が1490万7千世帯(28.8%)となり、世帯構造の中で最多となった。2020年調査は新型コロナウイルス感染症の流行に伴い中止された。2022年の第13回では、国連統計委員会のワシントングループが開発した質問セットに準拠する「日常生活における機能制限」(健康票の質問8)が新設され、オンライン調査も一部で始まった。2025年の第14回では世帯総数が5505万8千世帯、単独世帯が35.4%に達し、K6の「0〜4点」は71.1%となった。
分かってきたこと
心の不調は約1割、30代で最も高い
2025年調査で、12歳以上のうちK6が10点以上の人は9.8%である。内訳は10〜14点が6.9%、15点以上が2.9%である。一方、0〜4点の人は71.1%で最も多い。年代別では30〜39歳で10点以上が16.2%と最も高い。
心理的負担の小さい層の割合
K6が「0〜4点」の人の割合は、2013年が67.3%、2025年が71.1%である。どちらの年も、心理的な負担が小さい「0〜4点」が最も多い区分である。2016年・2019年・2022年については、今回参照できた抜粋にK6の結果が含まれていない。
一人暮らし世帯の増加と世帯の小規模化
単独世帯の割合は2019年28.8%、2022年32.9%、2025年35.4%と高まり、2019年以降は最も多い世帯構造である。平均世帯人員は2016年2.47人、2019年2.39人、2022年2.25人と縮んだ。児童のいる世帯は1986年の46.2%から、2016年に23.4%、2022年に18.3%へ減った。
高齢者のいる世帯が半数を超えた
65歳以上の者のいる世帯の割合は、2013年44.7%、2016年48.4%、2019年49.4%と上がった。2022年には50.6%と半数を超え、2025年は50.2%である。高齢者世帯のうち単独世帯の割合は、2019年49.5%、2022年51.6%である。2025年の高齢者世帯は全世帯の31.9%である。
所得と暮らし向き
2012年の1世帯当たり平均所得は537万2千円で、相対的貧困率は16.1%、子どもの貧困率は16.3%、生活が「苦しい」と答えた世帯は59.9%であった。2024年には平均所得が575万2千円、相対的貧困率が15.0%、子どもの貧困率が11.0%、生活が「苦しい」とする世帯が55.4%である。