幸せの名言集

ヘレン・ケラーの名言7選

米国の著作家・社会活動家(1880-1968)。視覚と聴覚の障害を乗り越えた

このうち1件は「出典に諸説あり」です。ヘレン・ケラーの言葉として流通していますが、一次資料での確認が難しいものです。

「人生は大胆な冒険か、無か、そのどちらかだ」

Life is either a daring adventure or nothing.

— ヘレン・ケラー 『開かれた扉』(1957)

安全の追求は幻想であり、挑戦こそが人生

心理学では
この名言は、心理学でいう成長志向(未知の経験に踏み出し、自分を広げようとする構え)の大切さを語っている。Gilovich & Medvec(1995)は、人々が人生で何を後悔しているかを調べた一連の研究を整理し、短期的には「やって失敗したこと」が悔やまれる一方、長い目で見ると「やらなかったこと」のほうが強い後悔として残ることを示した。またKashdan & Steger(2007)の日記研究では、好奇心をもって新しいことに向き合った日ほど、人生の意味や満足感を高く感じていた。ただし大きな挑戦に不安が強いときは、小さな一歩から始めるとよい。迷ったときは「やらなかった後悔」を思い浮かべ、新しい道を一つ選ぶことが、充実した日々につながる。 参考:Gilovich & Medvec(1995)「The experience of regret: What, wh…」 ↗/Kashdan & Steger(2007)「Curiosity and pathways to well-bei…」
「世界で最も素晴らしく美しいものは、目で見たり手で触れたりできない。心で感じるものだ」

The best and most beautiful things in the world cannot be seen or even touched. They must be felt with the heart.

— ヘレン・ケラー 『私の住む世界』ほか

最良のものは感覚ではなく心で受け取る

心理学では
この名言は、心理学でいう「知覚された社会的つながり(人と結ばれているという主観的な実感)」の大切さと重なる。幸福を左右するのは、関係の数や形よりも、つながりを心でどう感じているかである。Kokら(2013)は成人を対象に、他者の幸せを願う慈悲の瞑想(ラビングカインドネス瞑想)を数週間続ける実験を行った。その結果、日々の肯定的感情とともに人とのつながりの実感が高まり、それが心身の落ち着きにかかわる迷走神経の働きの向上にも結びつくことが示された。目に見えない温かさを感じ取る力は、練習で育つのである。毎日数分、大切な人の顔を思い浮かべてその幸せを願うことが、心で受け取る豊かさを広げる助けになる。 参考:Kokら(2013)「How Positive Emotions Build Physic…」 ↗
「一人でできることは僅かだが、力を合わせればできることは多い」

Alone we can do so little; together we can do so much.

— ヘレン・ケラー(とされる) 発言として流通

※帰属に諸説あり

協働は個の限界を超える

心理学では
この名言は、集合的効力感(「自分たちなら力を合わせてやり遂げられる」という集団としての確信)という考え方に通じる。Gullyら(2002)のメタ分析(多くの研究を統合する手法)では、効力感の高いチームほど成果も高く、その関連はメンバーが互いに頼り合う仕事ほど強かった。またWoolleyら(2010)は、複数の小集団にさまざまな課題に取り組んでもらう研究を行った。その結果、集団の成績は、最も優秀な一人の知能よりも、発言の機会が均等であることやメンバーが相手の気持ちを読み取る力と強く関連していた。日々の仕事や暮らしでは、誰もが声を出せる場をつくることが、一人では届かない成果につながる。 参考:Gullyら(2002)「A meta-analysis of team-efficacy, …」 ↗/Woolleyら(2010)「Evidence for a Collective Intellig…」 ↗
「顔を太陽に向けていれば、影は見えない」

Keep your face to the sunshine and you cannot see a shadow.

— ヘレン・ケラー 随想より

注意を光に向ければ、影は視界から消える

心理学では
この名言は、心理学でいう「注意の配置」(何に目を向けるかを選んで感情を整える働き)を言い表している。Gross(1998)は感情調整のモデルの中で、注意の向け先が、感じる感情を左右する入り口になると整理した。Isaacowitz(2005)は視線計測を用いて若い成人が画像を見る様子を調べ、楽観的な人ほど不快な画像を長く見つめない傾向があることを示した。ただし健康や安全にかかわる知らせは、一度しっかり確かめてから光の側へ目を戻すとよい。一日の終わりにうまくいったことを思い返す習慣が、心を太陽へ向け直す助けになる。 参考:Gross(1998)「The Emerging Field of Emotion Regu…」 ↗/Isaacowitz(2005)「The Gaze of the Optimist」 ↗
「幸福の一つの扉が閉じるとき、別の扉が開く。しかし私たちは閉じた扉ばかり見て、開かれた扉に気づかない」

When one door of happiness closes, another opens; but often we look so long at the closed door that we do not see the one which has been opened for us.

— ヘレン・ケラー 『我が宗教』ほか

喪失への固着は次の機会を見えなくする

心理学では
この名言は、反すう(失ったものを繰り返し考え続けること)が注意を過去に縛り、Snyder(2002)の希望理論でいう経路思考(目標へ至る別の道を思い描く力)を妨げる様子を言い当てている。Wroschら(2003)は、若者やがんの子をもつ親などを対象とした調査で、かなわない目標から気持ちを離し、新しい目標に取り組み直せる人ほど、侵入的な思考やストレスが少なく、主観的幸福感が高いことを示した。閉じた扉を手放す力と、別の扉へ向かう力の両方が幸福と結びついているのである。失敗や別れのあとは、悲しみを認めたうえで「いま開いている扉は何か」を書き出すことが、次の一歩を見つける助けになる。 参考:Wroschら(2003)「Adaptive Self-Regulation of Unatta…」 ↗/Snyder(2002)「TARGET ARTICLE: Hope Theory: Rainb…」
「安全とは、大部分が迷信である。危険を避けることは、長い目で見れば、危険に身をさらすことより安全ではない」

Security is mostly a superstition. Avoiding danger is no safer in the long run than outright exposure.

— ヘレン・ケラー 『開かれた扉』(1957)

絶対の安全は存在しない。ならば挑戦を選べ

心理学では
この言葉は、体験の回避(不安を生む状況や感情を避けようとすること)が一時の安心と引き換えに不安を保ち、行動の幅を狭めるという心理学の見方と重なる。Kashdanら(2006)は日誌法を含む研究で、回避傾向の強い人ほど日々の肯定的な感情や出来事が少ないことを示した。Seeryら(2010)は米国の縦断調査で、適度な逆境を経てきた人は、逆境がほぼなかった人より苦痛が少なく、生活満足度が高いことを報告した。ただし逆境が重なりすぎる場面では、周囲の支えと組み合わせるとよい。小さな未知へ一歩踏み出す経験の積み重ねが、揺らぎにくい心につながる。 参考:Kashdanら(2006)「Experiential avoidance as a genera…」 ↗/Seeryら(2010)「Whatever does not kill us: Cumulat…」
「世界は苦しみに満ちている。しかし、それに打ち克った話にも満ちている」

Although the world is full of suffering, it is full also of the overcoming of it.

— ヘレン・ケラー 『楽天主義(Optimism)』(1903)

苦しみの存在と克服の存在は両立する

心理学では
この言葉は、心理学でいうレジリエンス(逆境から立ち直り、適応していく力)が、特別な人だけのものではないことを示している。Bonanno(2004)は、死別や事故などの強い喪失・トラウマを経験した人々を追った縦断研究を概観し、深刻な苦しみが長く続く人よりも、比較的早く日常の機能を取り戻す人のほうが多いことを示した。子どもの発達研究をまとめたMasten(2001)も、困難な環境からの回復は、家族や地域とのつながりといった身近な支えから生まれる「ありふれた魔法」であると論じている。つらい時期には、身近な人が苦境を越えてきた話に耳を傾けることが、自分の回復力を信じる助けになる。 参考:Bonanno(2004)「Loss, Trauma, and Human Resilience…」/Masten(2001)「Ordinary magic: Resilience process…」 ↗

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