幸せの名言集

ヴィクトール・フランクルの名言7選

オーストリアの精神科医(1905-1997)。ロゴセラピー創始者。強制収容所からの生還者

「私たちが人生に何を期待できるかではなく、人生が私たちに何を期待しているかが問題である」

— ヴィクトール・フランクル 『夜と霧』

「人生は私に何を与えてくれるのか」と問うのをやめ、「人生は私に何を求めているのか」へと問いを180度転回させる発想。どんな絶望的な状況にも、そこで自分にしか果たせない課題(意味)が待っている、と考える

心理学では
フランクルのこの言葉は、意味を「人生から受け取るもの」ではなく「人生の求めに応えるもの」ととらえ直す発想であり、心理学では自己超越的な目的(自分を超えた誰かや何かの役に立とうとする目標)として研究されている。Yeagerら(2014)は高校生や大学生を対象とした実験で、「学ぶことが人や社会の役に立つ」と考える機会を設けると、退屈な課題にも粘り強く取り組めるようになることを示した。また、Hill & Turiano(2014)は米国の成人を長期にわたって追跡し、人生の目的を強く感じている人ほど、その後の死亡リスクが低いことを報告している。行き詰まったときこそ「いま自分に求められていることは何か」と問い直すことが、目の前の一歩を踏み出す力になる。 参考:Yeagerら(2014)「Boring but important: A self-trans…」 ↗/Hill & Turiano(2014)「Purpose in Life as a Predictor of …」 ↗
「愛は、人が人として到達しうる、究極にして最高のものである」

The salvation of man is through love and in love.

— ヴィクトール・フランクル 『夜と霧』(1946)

極限状況の中で見出された愛の真実

心理学では
フランクルが収容所で妻の面影を心に描いて支えとしたように、この言葉は愛着理論でいう「愛着対象の心的表象」(大切な人を思い浮かべるだけで得られる安心感)の力と重なる。Masterら(2009)は、女性に痛み刺激を与える実験で、恋人の写真を見ている間は見知らぬ人の写真を見ている時よりも痛みが和らぐことを示した。またLambertら(2013)は、相関研究と実験を組み合わせ、帰属感(自分は誰かとつながっているという感覚)が人生の意味の感覚を高めることを報告している。愛は苦しみを和らげると同時に、生きる意味を与えるものである。つらい日には大切な人の顔や言葉を思い起こすことが、心の支えになる。 参考:Masterら(2009)「A Picture's Worth」 ↗/Lambertら(2013)「To Belong Is to Matter」
「愛とは、人をその本質において捉えることのできる、唯一の方法である」

Love is the only way to grasp another human being in the innermost core of his personality.

— ヴィクトール・フランクル 『夜と霧』(1946)

収容所の行進の中、妻の面影との対話に救われた体験から記された定義。観察や分析は人の「性質」を捉えるが、その人が何者であり、何になりうるか ── 本質と可能性 ── は、愛によってしか見えない

心理学では
フランクルの言う愛は、心理学でいう「ミケランジェロ現象」(親しい相手が、その人の理想の自己を見いだし、それを形にするのを助ける働き)に重なる。Drigotasら(1999)は恋人や夫婦を対象に調査と縦断研究を行い、パートナーが自分の理想像に沿った見方や関わり方をしてくれる人ほど、実際に理想の自己へ近づいており、関係への満足度も高く、関係が長続きしやすいことを見いだした。Rusbultら(2009)はこれを、相手の可能性を信じる関わりが双方の成長と幸福を支える過程としてまとめている。身近な人の「今の姿」だけでなく「なりたい姿」に目を向け、それを言葉にして応援することが、互いの幸福を育てることにつながる。 参考:Drigotasら(1999)「Close partner as sculptor of the i…」 ↗/Rusbultら(2009)「The Michelangelo Phenomenon」 ↗
「ユーモアもまた、自己保存のための魂の武器である」

Humor was another of the soul's weapons in the fight for self-preservation.

— ヴィクトール・フランクル 『夜と霧』(1946)

極限状況でも、ユーモアは人を守る

心理学では
フランクルの言うユーモアは、心理学ではユーモア・コーピング(つらい出来事をおかしみの視点でとらえ直し、心の負担を軽くする対処)にあたる。Vaillant(2000)は、ユーモアを「成熟した防衛機制」(現実から目をそらさずに苦痛を和らげる、健康的な心の守り方)の一つに位置づけた。Samson & Gross(2012)の実験では、不快な写真を見た参加者が温かみのあるユーモアで状況を解釈し直すと、否定的な感情が和らぎ、肯定的な感情が高まった。ただし皮肉や嘲笑のユーモアは温かいユーモアほどの効果を持ちにくいため、人を傷つけない笑いを選ぶとよい。苦しい場面でこそ一歩引いて「おかしみ」を探す習慣が、心の支えになる。 参考:Vaillant(2000)「Adaptive mental mechanisms: Their …」 ↗/Samson & Gross(2012)「Humour as emotion regulation: The …」 ↗
「それでも人生にイエスと言う」

— ヴィクトール・フランクル 同名の講演録(1946)。収容所で歌われた歌の一節に由来

書名として知られる

どんな状況でも人生を肯定する態度は選べる

心理学では
この言葉は悲劇的楽観主義(苦痛や喪失、死を避けられないものと認めたうえで、なお人生に意味を見出す構え)を表している。Fredricksonら(2003)は、米国同時多発テロの前後で大学生を追った縦断研究で、危機のさなかにも感謝や愛情を感じられた人ほど抑うつ症状が少なかったことを示した。Helgesonら(2006)のメタ分析でも、つらい出来事から得たものを見出す(ベネフィット・ファインディング)人ほど抑うつが低く、前向きな心の状態が高かった。苦しみを打ち消すのではなく、苦しみと並べてよいものを見る姿勢が要である。つらい日にも悲しみを否定せず、「それでも今日あったよいこと」を一つ書き留める習慣が、人生への肯定を育てる助けになる。 参考:Fredricksonら(2003)「What good are positive emotions in…」/Helgesonら(2006)「A meta-analytic review of benefit …」
「人間から全てを奪うことはできても、与えられた状況で自らの態度を選ぶという最後の自由だけは奪えない」

Everything can be taken from a man but one thing: the last of the human freedoms—to choose one's attitude in any given set of circumstances.

— ヴィクトール・フランクル 『夜と霧』(1946)

反応の選択の自由は最後まで残る

心理学では
フランクルの言う「態度を選ぶ自由」は、心理学では認知的再評価(出来事の意味づけを捉え直して感情を整えること)にあたる。Gross & John(2003)は大学生などを対象にした相関研究で、日頃から再評価を使う人ほどポジティブ感情や人生満足度が高く、抑うつが低いことを示した。さらにTroyら(2013)はストレスを経験した成人を調べ、自分では変えられない状況に置かれているときほど、再評価の能力が高い人は抑うつが低いことを見いだした。ただし変えられる状況では、捉え直しに加えて状況そのものへの働きかけを組み合わせるとよい。思うようにならない日こそ、「この状況にどう向き合うか」を自分で選ぶ一呼吸が、心の立て直しにつながる。 参考:Gross & John(2003)「Individual differences in two emot…」/Troyら(2013)「A Person-by-Situation Approach to …」 ↗
「幸福は追い求めることができない。それは何かの結果として、あとから生じるものでなければならない」

Happiness cannot be pursued; it must ensue.

— ヴィクトール・フランクル 『夜と霧』英語版序文(1959)

幸福は目標ではなく副産物である

心理学では
この名言は、心理学でいう「幸福追求のパラドックス」(幸福を強く求めるほど、かえって幸福感が下がりやすい現象)を言い当てている。Maussら(2011)の実験では、幸福の大切さを説く文章を読んで幸福を重視するよう促された人は、楽しい映画を見たあとでも幸福感が低かった。その背景には「思ったほど幸せになれない」という失望があった。幸福を直接の目標にすると、自分の気分を絶えず点検し、理想との落差に目が向きやすくなるのである。フランクルが説くように、幸福は意味のある仕事や人とのかかわりに打ち込んだ結果として訪れる。気分の採点をやめ、目の前の大切なことに没頭する時間を増やすことが、幸せへの近道になる。 参考:Maussら(2011)「Can seeking happiness make people …」 ↗

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