どんな調査か
ユーロバロメーター(Eurobarometer)は、欧州委員会(コミュニケーション総局)が行う世論調査である。中心となる標準ユーロバロメーター(Standard Eurobarometer)は、EUへの信頼や政策の優先順位などと並んで、回答者に自分の生活への満足度を尋ねている。生活満足度を初めて調べたのは1973年で、標準ユーロバロメーターの最初の発表は1974年である。同じ形の問いを半世紀にわたって続けているため、欧州の生活満足度を長期にわたって追えることが最大の特徴である。調査データはGESIS(ドイツ・ライプニッツ社会科学研究所)が保存し、研究者向けに公開している。
何をどう測っているか
生活満足度は「全体として、あなたは自分の送っている生活に、とても満足/まあ満足/あまり満足していない/まったく満足していない」という4段階の問いで測る。0〜10の目盛りで答える形式ではなく、言葉で表した4つの選択肢から1つを選ぶ形式である。集計では「とても満足」と「まあ満足」を合わせた割合を「生活に満足している人の割合」として示す。調査は毎年行う横断調査であり、そのたびに別の人々に尋ねる。同じ人を追い続ける形式ではない。1回の調査は複数の設問ブロックで構成される。毎回尋ねる定番の継続設問のほかに、その時々の政策課題についての設問が加わる。データには「EB 102.2」「EB 103.3」のような回番号と、GESISのデータ番号(例:ZA8905)が付く。
これまでの歩み
生活満足度の問いは1973年に始まり、標準ユーロバロメーターは1974年に最初の発表を行った。欧州委員会によると、生活に満足している人の割合は1973年の79%から2024年の86%へ上がった。この間、2011〜2014年の経済危機と2021年3月のコロナ禍の時期には満足の割合が落ち込んだ。2021年ごろからは、設問の言い回しが一部変わり「日々の生活」という表現が使われている。2024年10月10日〜11月5日に実施したEB 102.2(データ番号ZA8905)は、定番の継続設問に加えて、欧州人の優先課題、欧州市民権、ウクライナ戦争へのEUの対応、メディア利用、EU予算を扱った。このデータは、同時期の特別ユーロバロメーターEB 102.1(ZA8904)とともに、2026年3月18日付で事前公開版(v1.0.0)としてGESISから公開された。2025年3月26日〜4月22日に実施したEB 103.3も、継続設問に加えて、優先課題とEU予算、欧州市民権、ウクライナ戦争へのEUの対応を柱としている。最新回のEB 104.1は2025年10〜11月に実施された。
分かってきたこと
生活に満足している人の割合は長期的に上がった
欧州委員会によると、生活に満足している人の割合は1973年の79%から2024年の86%へ上がった。約半世紀で7ポイントの上昇である。ただし、この割合は「とても満足」と「まあ満足」の合計である。もともと高い水準にあり、差が出にくい指標であることも押さえておく必要がある。
危機の時期には満足度が落ち込んだ
欧州委員会は、2011〜2014年の経済危機の時期に、生活に満足している人の割合が落ち込んだとしている。2021年3月のコロナ禍の時期にも同じように低下した。長期的には上昇していても、社会全体を揺るがす出来事の時期には数字に表れる。半世紀の時系列があることで、こうした動きを確かめられる。
同じ問いを続けてきたことが最大の価値である
ユーロバロメーターは、同じ形の生活満足度の問いを1973年から尋ね続けている。そのため、欧州の人々の生活満足度を長期にわたって比べられる。一方で、2021年ごろには言い回しが一部変わっている。長期の比較が完全に同じ条件で行われているわけではない。
生活満足度は幅広い政策テーマと並べて尋ねられている
標準ユーロバロメーターの近年の回は、定番の継続設問に加えて、その時々のテーマを扱っている。具体的には、欧州人の優先課題、欧州市民権、ウクライナ戦争へのEUの対応、メディア利用、EU予算などである。生活満足度は、こうしたEU政策への意識と同じ調査の中で尋ねられている。