どんな調査か
「国民の生活の質(국민 삶의 질/Quality of Life Indicators in Korea)」は、韓国の国家統計機関が国民の暮らしの質を多面的に示すためにつくった指標体系と報告書である。作成主体は国家データ処(旧 統計庁、KOSTAT)と国家データ研究院(旧 統計開発院)である。所得・消費・資産、雇用・賃金、住居、健康、教育、余暇、家族・共同体、市民参加、安全、環境、主観的ウェルビーイングの11領域・71指標で構成される。報告書は2017年に初版が出て以降、毎年刊行されている。最新の『国民の生活の質2025』は、2026年3月5日に発刊の報道資料が公表された。2020年版は、生活満足度がOECD33か国中32位という低い水準にあることを、作成の背景に挙げている。
何をどう測っているか
指標は、行政データのほか、社会調査や生活の質調査など複数の調査から集めている。11領域にはそれぞれ複数の指標がある。2019年版の時点では、71指標のうち29が主観的指標であった。「主観的ウェルビーイング」領域は、生活満足度、肯定的感情、否定的感情の3指標からなる。生活満足度は0〜10点で自分の生活全般を評価する質問である。各指標は、前の時点と比べて「改善」「悪化」「変化なし(同一)」のいずれかに判定される。公式サイトでは四半期ごとに指標を更新しており、たとえば2026年第3四半期(2026年10月2日)には71指標のうち8指標が更新された。
これまでの歩み
報告書は2017年に初版が出た。2020年版の『国民の生活の質2020』は初版から数えて3冊目にあたり、当時は統計庁所属だった統計開発院(SRI)が刊行した。2020年版は、2020年12月末時点の11領域・71指標で韓国社会の生活の質の現状と変化をまとめている。この年に更新された63指標のうち、40が改善し23が悪化した。その後も報告書は毎年刊行が続き、2026年3月には『国民の生活の質2025』の発刊が告知された。指標の四半期更新も続いており、2026年には第1四半期(4月3日)、第2四半期(7月6日)、第3四半期(10月2日)の更新が公表されている。
分かってきたこと
主観的ウェルビーイングの3指標がそろって悪化(2020年版)
2020年版でいちばんの話題になったのは、主観的ウェルビーイング領域の3指標がすべて悪化したことである。3指標とは、生活満足度、肯定的感情、否定的感情である。全般的な生活満足度は、2018年の6.1点から2019年の6.0点に下がった(10点満点)。報告書は、この水準がOECD33か国中32位と低いことを指摘している。
改善する指標が多数派だが、悪化も一定数ある
2020年に更新された63指標では、改善が40、悪化が23であった。公式サイトの更新状況(2026年7月6日基準)では、71指標のうち改善が42、同一が7、悪化が22である。どちらの時点でも、改善と判定された指標が過半を占める。一方で、悪化と判定された指標も2割から3割強ある。
客観的な健康水準の高さと、主観的満足の低さが並存する
2020年版の健康領域のOECD比較では、韓国の期待寿命はOECDで10番目である。健康寿命(2019年)は73.1歳で、日本に次いで2位であった。同じ報告書で、生活満足度はOECD33か国中32位である。この指標体系の特徴は、このような客観的な暮らしの条件と主観的な満足のずれを追える点にある。
関心を集める指標は雇用・孤立・環境など
公式サイトの「人気指標」では、失業率(748)が最上位である。続いて社会的孤立度(505)、月平均賃金(実質)(392)、雇用率(385)が並ぶ。その後に超微小粒子状物質(PM2.5)濃度(299)、児童虐待被害経験率(299)、大学卒業者就職率(262)が続く。直近(2026年9〜10月)には、1人当たり都市公園面積、加害による死亡率、児童安全事故死亡率、機関信頼度などが更新された。