第7章 | 禅問答・言葉を超えて | 6語
答えのない問いを味わう
「仏とは何ですか」「麻が三斤」。「達磨大師が来た意味は」「庭の柏の木」。禅には、師匠が弟子に投げかける、答えのない問いや、意味の分からない答えが数多く伝わっている。これを「禅問答」、正式には「公案(こうあん)」という。頭で意味を探そうとするほど、かえって遠ざかる。しかし、意味づけをやめて言葉そのものを味わうと、不思議な親しさが立ち上がる。この章には、「喝」の一声、「片手の音」、そして一筆の「円相」まで、代表的な禅問答を集めた。
95
喝
かつ
「カーッ」と発する一声。言葉による説明を断ち切り、相手の分別を一撃で吹き飛ばす禅の手段。臨済はこれを四種に分けた。
96 隻手音声
せきしゅおんじょう(せきしゅのおんじょう)
「両手を打てば音がする。では片手の音を聞いてみよ」。白隠が創案した、日本禅を代表する公案。
97 麻三斤
まさんぎん
「仏とは何か」と問われて洞山が答えた「麻が三斤」。意味を探ろうとするあらゆる思考を拒む、禅問答の典型。
98 庭前柏樹子
ていぜんのはくじゅし
「達磨が西から来た意味は何か」と問われて趙州が答えた「庭の柏の木」。真理は目の前にある。
99 日面仏 月面仏
にちめんぶつ がちめんぶつ
病床の馬祖が「ご気分はいかがですか」と問われて答えた言葉。千八百歳の仏も一日一夜の仏も、どちらも仏。長い命も短い命も、今この瞬間に等しく尽くされている。
100 一円相
いちえんそう
筆で一気に描かれた一つの円。言葉を超えた悟り、欠けるところのない全体性、始まりも終わりもない真理を、一画で表す。