どんな調査か
こども・若者総合調査は、こども家庭庁が3年ごとに行う、全国の10〜39歳を対象とした意識と生活の調査である。こども基本法に基づく「こども大綱」(2023年12月22日閣議決定)は、良質なデータに基づく施策づくりと、こどもに着目したウェルビーイング(心身ともに満たされた良い状態)指標の検討を求めている。本調査はこれを受け、大綱の数値目標や指標の進み具合を確かめ、こども・若者のウェルビーイングを測る指標群を検討するためのデータを集めることを目的とする。前身は内閣府の「こども・若者の意識と生活に関する調査」(2022年度)で、2023年4月にこども家庭庁へ移管された。最新の2025年度(令和7年度)調査は2026年4月に公表され、9,648人が回答した。
何をどう測っているか
調査は全国の市区町村を11地区と都市規模で計65層に分け、10〜39歳人口に応じて300地点を割り振り、各地点で66〜67人を選ぶ層化二段無作為抽出法で対象者を決めている。2025年度の標本は20,000人(10〜14歳2,754人、15〜39歳17,246人)で、郵送で依頼してオンライン回答も受け付け、2025年11月25日から12月12日に実施した。有効回答は9,648人(有効回収率48.2%)で、うち10〜14歳1,636人(59.4%)、15〜39歳8,012人(46.5%)であり、オンライン回答が6,761人と郵送回答2,887人を上回る。10〜14歳と15〜39歳では別々の調査票を使い、人生観・幸福感・居場所、他者との関わり方、社会参加・将来像、困難に直面した経験、相談・支援を尋ねる。生活満足度は「0点(全く満足していない)」から「10点(非常に満足している)」までの11段階で聞き、居場所は自分の部屋・家庭・学校・地域・インターネット空間(15〜39歳は職場を加えた6つ)が「ほっとできる場所、安心できる場所」かを尋ねる。孤独感は「どの程度孤独と感じるか」を直接聞く質問と、UCLA孤独感尺度(孤独を間接的な質問で数値化する尺度)を参考にした3項目(話せる人がいない、取りのこされている、ひとりぼっち)を1〜4点で合計する間接質問の両方で測る。前回との比較は、二群の比率の差の検定で5%水準の有意差があり差が大きい箇所を中心に解説している。
これまでの歩み
2022年度調査は内閣府が2022年11月に全国の10〜69歳を対象に実施し、2023年3月に「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」として公表した。この号の中心テーマは「居場所」で、安心できる場所や相談できる人がいる場所を多く持つ若者ほど「今、自分が幸せだと思う」「今の自分が好きだ」と答える割合が高い傾向を示し、ひきこもり状態にある人の推計割合も報告した。2023年4月に調査はこども家庭庁へ移管された。2025年度は名称を「こども・若者総合調査」とし、対象を10〜39歳に絞って実施した。報告書は第3部で生活満足度・暮らし向き・場の数・困難の数と他の項目との関連を分析し、さらに「今の自分が好きだ」「どこかに助けてくれる人がいる」「安心できる場所の数が1つ以上ある」など、こども大綱の別紙1・2に関わる6指標を前回調査と比較している。
分かってきたこと
幸福感と自己肯定感は前回より上向いた
「今、自分が幸せだと思う」に肯定的に答えた人は10〜14歳で94.6%、15〜39歳で86.3%で、2022年度の94.2%・84.4%を上回った。「今の自分が好きだ」は10〜14歳で83.1%(2022年度78.6%)、15〜39歳で67.5%(同60.0%)に増えた。将来に明るい希望があるとする人も10〜14歳84.4%、15〜39歳68.8%で、2022年度の82.0%・66.4%より高い。「社会のために役立つことをしたい」と思う人も10〜14歳91.6%(同88.2%)、15〜39歳85.0%(同83.0%)である。
年齢が上がると満足度や心の健康の評価は低い
生活満足度の平均は10〜14歳が8.0点、15〜39歳が6.5点である。7点以上の割合は10〜14歳で82.6%に対し、15〜39歳では57.1%にとどまる。心の健康が「よい」「まあよい」とする人は10〜14歳69.7%、15〜39歳47.7%で、自由時間が足りていると感じる人も83.3%と62.1%で差がある。15〜39歳では「自分自身に満足している」が56.6%で、「今、自分が幸せだと思う」の86.3%より低い。
落ち込みや困難を経験した人が大きく増えた
10〜14歳で、ものごとがうまくいかず落ち込んだ経験があるとした人は79.7%で、2022年度の67.8%から増えた。15〜39歳で、社会生活や日常生活を円滑に送る上での困難を経験したとする人は59.5%で、2022年度の45.1%から大きく増えた。立ち直った経験がある人は10〜14歳で91.9%、15〜39歳で71.6%であり、そのきっかけは10〜14歳では「友だちの助け」61.9%と「家族や親せきの助け」61.0%、15〜39歳では「家族や親戚の助け」56.1%が最も多い。15〜39歳が相談先に求めることは「相手が同じ悩みを持っている、持っていたことがある」が51.3%で最多である。
居場所は家庭と自分の部屋に集中し、地域やネットは弱い
家庭を居場所と感じる人は10〜14歳で91.9%、15〜39歳で86.9%と高く、自分の部屋も8割を超える。一方で地域は10〜14歳60.1%、15〜39歳50.1%、15〜39歳の職場は44.3%である。15〜39歳で地域の人に「何でも悩みを相談できる人がいる」は11.2%、インターネット上の他者では15.0%にとどまる。安心できる場所が1つ以上ある15〜39歳は2022年度・2025年度ともに98.1%で、困ったときに助けてくれる人がいる場が1つ以上ある人は96.3%(2022年度97.1%)である。
生活満足度は人・健康・暮らし向きと強く結びつく
15〜39歳の分析で、生活満足度7点以上の割合は、尊重してくれる人が1人以上いる人で58.5%、いない人で33.0%である。心の健康が「よい」人は「よくない」人より7点以上の割合が約53ポイント高く、身体の健康では約39ポイント高い。安心できる場所の数が多い人ほど7点以上の割合が高く、0個では2割弱、6個では7割半である。暮らし向きが「下」の人では16.1%、「中の下」30.5%、「中の中」60.9%、「中の上」と「上」は79.2%で、主観的な暮らし向きが高い人ほど満足度が高い傾向がある。