どんな調査か
「国民生活に関する世論調査」は、内閣府政府広報室が全国の18歳以上の日本国籍を有する人を対象に毎年行う世論調査である。内閣府は政府の施策に関する国民の意識を把握する目的で世論調査を実施し、その結果を公式サイトで公開している。この調査は、今の暮らしへの満足度、日頃の生活での充実感、悩みや不安、今後の生活の見通し、働き方や価値観、政府への要望を尋ねる。長期時系列データ(CSV形式)も公開されており、生活満足度は1964年からの変化をたどれる。幸福そのものを直接測る尺度ではないが、日本人が自分の暮らしをどう評価してきたかを長い期間で知るための基本資料である。
何をどう測っているか
2025年8月調査では、全国18歳以上の日本国籍を有する人から5,000人を無作為に選んで調査票を郵送し、2,938人から有効な回答を得た。中心となる質問は「現在の生活に対する満足度」で、「満足している」「まあ満足している」「やや不満だ」「不満だ」の4段階で答える。結果の「満足」は「満足している」と「まあ満足している」の合計、「不満」は残る2つの合計である。満足度は生活全体だけでなく、所得・収入、資産・貯蓄、住生活、食生活、レジャー・余暇生活などの側面ごとにも尋ねる。このほか、日頃の生活で充実感を感じているか、悩みや不安を感じているかとその内容、今後の生活が良くなるか悪くなるか、政府に何を求めるかを聞く。同じ人を追いかける調査ではなく、毎回新たに対象者を選ぶ横断調査である。
これまでの歩み
調査は長く続いており、生活満足度の時系列は1964年から存在するが、1998年、2000年、2020年など調査が行われなかった年がある。2016年7月調査から対象年齢を18歳以上に引き下げ、2021年からは調査方法を郵送法に切り替えた。令和4年10月調査(2023年2月16日掲載)では、「満足」が51.8%と前回の55.3%から下がり、「不満」は47.8%(前回44.3%)に上がった。この回は所得・収入や資産・貯蓄など多くの面で満足が下がった一方、レジャー・余暇生活の満足は上昇し、政府への要望で「物価対策」が前回の32.9%から64.4%へほぼ倍増した。令和6年8月調査(2025年1月9日掲載)では「満足」が前回の49.0%から52.0%に上がり、「不満」(47.4%)を上回った。令和7年8月調査(2025年12月12日掲載)では「満足」50.0%、「不満」49.7%とほぼ半々に分かれ、政府への要望では「物価対策」が73.1%(前回66.1%)で最も多かった。
分かってきたこと
生活全体の満足は「ほぼ半々」で推移
近年の調査では、現在の生活に「満足」とする人はおおむね5割前後にとどまる。令和4年10月調査は51.8%、令和6年8月調査は52.0%、令和7年8月調査は50.0%であった。令和7年調査では「不満」が49.7%で、評価がほぼ二分されている。令和6年調査の内訳は「満足している」7.2%、「まあ満足している」44.8%で、強く満足する人は1割に満たない。
お金の面への満足が際立って低い
側面別に見ると、所得・収入と資産・貯蓄への評価が一貫して厳しい。令和6年調査では資産・貯蓄に不満とする人が70.7%、所得・収入に不満とする人が64.5%であった。令和7年調査でも満足は所得・収入34.5%、資産・貯蓄29.2%と低い。これに対し、住生活(66.3%)や食生活(61.6%)の満足は高く、暮らしの側面によって評価に大きな差がある。
約8割が悩みや不安を抱え、老後が最大の関心事
日頃の生活で悩みや不安を感じている人は、令和4年調査78.0%、令和6年調査78.2%、令和7年調査78.1%と、約8割で安定している。内容では老後の生活設計が最も多く、令和4年調査で63.5%、令和7年調査で63.9%であった。令和6年調査では、自分の健康、老後の生活設計、今後の収入や資産の見通しが上位を占めた。
先行きの見通しは悲観が楽観を大きく上回る
今後の生活について、令和4年調査では「同じようなもの」が62.0%、「悪くなっていく」が27.9%であった。令和6年調査では「悪くなっていく」が31.2%で、「良くなっていく」の7.1%を大きく上回った。生活全体の満足が5割前後ある一方で、将来については悲観的な見方が強い。
政府への要望で「物価対策」が急増
政府に求めることとして「物価対策」を挙げる人は、令和4年調査で前回の32.9%から64.4%へとほぼ倍増した。令和7年調査ではさらに73.1%(前回66.1%)へ上昇し、要望の中で最も多い。物価への関心の高まりは、所得・収入や資産・貯蓄への満足の低さと並んで、近年の調査結果の特徴である。