所得と感情的ウェルビーイング:対立の解決
Income and emotional well-being: A conflict resolved
Matthew A. Killingsworth, D. Kahneman, B. Mellers(2023)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 120(10), e2208661120
共同再分析により、所得に伴う幸福の頭打ちは最も不幸な約2割の人にのみ見られ、全体では所得とともに幸福が上がり続けることを示した。
要旨根拠:抄録
幸福の指標は所得の対数とともに上昇することが多いが、Kahneman & Deaton(2010)は感情的ウェルビーイング(日々の幸福感)が年収6〜9万ドルあたりで頭打ちになると報告した。一方、Killingsworth(2021)は経験サンプリング法(=日常の中で繰り返しその時の気分を尋ねる方法)により、幸福と対数所得の直線的な関係を示し、両者は対立していた。本研究は当事者同士の敵対的共同研究として経験サンプリングデータを再分析した。その結果、頭打ちのパターンは実在するが、幸福度の低い下位約20%の人々に限られ、他の層では補完的な非線形性が合わさって全体として直線的な関係が生じていた。食い違いは標準的な分析慣行や仮定に由来するとして、それらをより疑うべきだと提言している。
関係メモ——この研究のその後
- 論争W0108 Kahneman & Deaton(2010)の頭打ち説とW1163 Killingsworth(2021)の反証を、当事者同士の敵対的共同研究で再分析し、不幸な層でのみ頭打ちが生じると結論づけて両者を統合した。国際比較で頭打ちを論じたW1028 Jebb(2018)とも関連する
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 6本
- W0108 高所得は人生評価を高めるが感情的ウェルビーイングは高めない Kahneman(2010) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 3,013
- W0163 全員の所得を上げれば全員の幸福は増すのか Easterlin(1995) Journal of Economic Behavior & Organization 主要400 被引用 3,137
- W0263 所得・健康・ウェルビーイングの世界比較:ギャラップ世界調査からのエビデンス Deaton(2008) Journal of Economic Perspectives 主要400 被引用 1,728
- W0482 お金は主観的幸福感を高めるか Diener(2002) Social Indicators Research 主要400 被引用 1,464
- W1028 世界の幸福、所得の飽和点、転換点 Jebb(2018) Nature Human Behaviour 主要400 被引用 346
- W1163 経験的ウェルビーイングは年収7万5000ドルを超えても所得とともに上昇する Killingsworth(2021) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 226
後続研究(この論文を引用している)
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- 10.1073/pnas.2208661120
文献表記(APA第7版)
影響力の指標
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- Semantic Scholar 146(うち影響引用 7)・ OpenAlex 188
- 年あたり被引用
- 36.5
- FWCI
- 47.4(同年・同分野の平均の何倍引用されたか)
- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 専門家判断(古典・定番)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
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