経験的ウェルビーイングは年収7万5000ドルを超えても所得とともに上昇する
Experienced well-being rises with income, even above $75,000 per year
Matthew A. Killingsworth(2021)Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 118(4)
170万件超の瞬間報告から、日々の気分も人生評価も年収7万5000ドルを超えて所得の対数とともに上がり続けることを示した。
要旨根拠:抄録
過去の影響力ある研究は、日々感じる幸福(経験的ウェルビーイング)は年収7万5000ドルを超えると頭打ちになると報告していたが、その測定は回顧的な二択の質問に基づいていた。本研究は、日常の瞬間の気分と、立ち止まって人生を振り返ったときの評価(評価的ウェルビーイング)を区別したうえで、この問題を再検討した。米国の就労成人33,391人から得た1,725,994件の経験サンプリング報告(=スマートフォンでその場の気分をたずねる方法)を分析した。その結果、経験的・評価的ウェルビーイングの両方が所得の対数に比例して直線的に上昇し、高所得層でも低所得層と同じくらい傾きが急であった。7万5000ドル以上での頭打ちや、2種類のウェルビーイングが分かれる所得の閾値は見られなかった。豊かな国でも所得の増加が日々の幸福を高めうることを示唆している。
関係メモ——この研究のその後
- 論争W0108 Kahneman & Deaton(2010)の「感情的幸福は年収7万5000ドル付近で頭打ち」という主張に対し、経験サンプリングの大規模データで頭打ちは見られないと反論した。方法はW0146 Killingsworth & Gilbert(2010)の瞬間報告法に基づく
- 後続・発展W1246 Killingsworth, Kahneman & Mellers(2023)の敵対的共同研究で、頭打ちは最も不幸な約2割に限られると両者の結果が統合された
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 8本
- W0005 人生満足度尺度(Satisfaction With Life Scale) Diener(1985) Journal of Personality Assessment 主要400 被引用 31,990
- W0108 高所得は人生評価を高めるが感情的ウェルビーイングは高めない Kahneman(2010) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 3,013
- W0146 さまよう心は不幸な心 Killingsworth(2010) Science 主要400 被引用 2,437
- W0263 所得・健康・ウェルビーイングの世界比較:ギャラップ世界調査からのエビデンス Deaton(2008) Journal of Economic Perspectives 主要400 被引用 1,728
- W0482 お金は主観的幸福感を高めるか Diener(2002) Social Indicators Research 主要400 被引用 1,464
- W1028 世界の幸福、所得の飽和点、転換点 Jebb(2018) Nature Human Behaviour 主要400 被引用 346
- W2341 経済成長と主観的幸福感――イースタリン・パラドックスの再検討 Stevenson(2008) Brookings Papers on Economic Activity 主要400 被引用 539
- W0623 所得と主観的幸福感の関係:相対的か絶対的か Diener(1993) Social Indicators Research 被引用 1,197
後続研究(この論文を引用している) 1本
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- https://doi.org/10.1073/pnas.2016976118
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- 10.1073/pnas.2016976118
文献表記(APA第7版)
影響力の指標
- 著名度スコア
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- 被引用数
- Semantic Scholar 226(うち影響引用 10)・ OpenAlex 272
- 年あたり被引用
- 37.7
- FWCI
- 34.2(同年・同分野の平均の何倍引用されたか)
- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 専門家判断(古典・定番)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 名言集感情的な幸福は年収約7万5千ドルまでは所得とともに高まるが、それ以上では頭打ちになるダニエル・カーネマン
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