世界の論文 ・ A06 幸福の経済学(所得・失業・格差) ・ W1028
主要400 幸せそのもの 実証
世界の幸福、所得の飽和点、転換点
Happiness, income satiation and turning points around the world
Andrew T. Jebb, L. Tay, E. Diener et al.(2018)Nature Human Behaviour, 2(1), 33–38
ひとことで
所得による幸福の飽和点
世界の調査データから、幸福は所得とともに無限に上がるのではなく一定額で飽和し、その水準は地域で異なることを示した。
要旨根拠:抄録
所得と幸福の関係について、幸福は所得とともにどこまでも上がるのか、それ以上の所得では幸福が増えない点があるのかを調べた。世界の170万人以上を代表するギャラップ世界調査のデータで、人口統計的な要因を統制し、スプライン回帰で「所得の飽和点」を統計的に特定した。世界全体では、人生評価は年収9.5万ドル、感情的ウェルビーイングは6万〜7.5万ドルで飽和した。ただし地域による差が大きく、豊かな地域ほど飽和点が高かった。また一部の地域では、飽和点を超える所得はむしろ人生評価の低さと関連していた。幸福への慣れ(順応)や、お金が欲求の充足と物欲の高まりの両方を通じて幸福に影響することを示唆するとした。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤W0108 Kahneman & Deaton(2010)の年収7.5万ドルで感情的幸福が頭打ちになるという知見を、世界規模・地域別に検証した
- 論争W1163 Killingsworth(2021)が経験的幸福は7.5万ドルを超えても上昇し続けると反論し、W1246 Killingsworth, Kahneman & Mellers(2023)の共同研究で、頭打ちは不幸な少数層に限られると決着した
- W1389 McGuire(2022)が現金給付が幸福を高めることをメタ分析で示した
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 10本
- W0108 高所得は人生評価を高めるが感情的ウェルビーイングは高めない Kahneman(2010) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 3,013
- W0292 快楽の踏み車を超えて:ウェルビーイングの適応理論の改訂 Diener(2006) American Psychologist 主要400 被引用 1,854
- W0416 ウェルビーイング指標の弁別的妥当性 Lucas(1996) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 1,907
- W0482 お金は主観的幸福感を高めるか Diener(2002) Social Indicators Research 主要400 被引用 1,464
- W0600 文化と主観的ウェルビーイング Tov(2013) Social indicators research series 主要400 被引用 905
- W0342 所得とウェルビーイング Ferrer-i-Carbonell(2002) Journal of Public Economics 被引用 1,729
- W0591 お金持ちになれば幸せになれるか:焦点化の錯覚 Kahneman(2006) Science 被引用 1,189
- W0668 誰が誰と比べるのか?ヨーロッパにおける所得比較の構造 Clark(2010) Social Science Research Network 被引用 743
- W0942 健康への恩恵:ウェルビーイングが客観的健康アウトカムに与える影響のメタ分析的検討 Howell(2007) Health Psychology Review 被引用 606
- W1217 所得格差は社会的比較効果の強さと関連する:相対所得が生活満足度に与える影響 Cheung(2015) Journal of Personality and Social Psychology 被引用 283
後続研究(この論文を引用している) 5本
- W0189 主観的ウェルビーイング研究の進展 Diener(2018) Nature Human Behaviour 主要400 被引用 1,748
- W0444 主観的ウェルビーイング科学の進展と未解決の問い Diener(2018) Collabra: Psychology 主要400 被引用 946
- W1163 経験的ウェルビーイングは年収7万5000ドルを超えても所得とともに上昇する Killingsworth(2021) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 226
- W1246 所得と感情的ウェルビーイング:対立の解決 Killingsworth(2023) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 146
- W1389 低中所得国における現金給付が主観的ウェルビーイングとメンタルヘルスに与える影響の系統的レビューとメタ分析 McGuire(2022) Nature Human Behaviour 被引用 123
読む・引用する
- 論文ページ
- https://doi.org/10.1038/s41562-017-0277-0
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- DOI
- 10.1038/s41562-017-0277-0
文献表記(APA第7版)
Jebb, A. T., Tay, L., Diener, E., & Oishi, S. (2018). Happiness, income satiation and turning points around the world. Nature Human Behaviour, 2(1), 33–38. https://doi.org/10.1038/s41562-017-0277-0
影響力の指標
- 著名度スコア
- 40.7 / 100 スコアとは
- 被引用数
- Semantic Scholar 346(うち影響引用 20)・ OpenAlex 448
- 年あたり被引用
- 38.4
- FWCI
- 38.8(同年・同分野の平均の何倍引用されたか)
- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 専門家判断(古典・定番)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
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