どんな調査か
アクサ マインドヘルス・レポート(AXA Mind Health Report)は、フランスの保険グループであるアクサ(AXA)が、調査会社イプソス(Ipsos)と行う心の健康についての国際調査の報告書である。各国の18〜75歳の成人に心の状態を尋ね、その結果を独自の「マインドヘルス指数(AXA Mind Health Index)」で国別に比べる。指数は2021年に始まり、以後毎年発表されている。うつ・不安・ストレスなどの経験、助けを求める行動、職場の支援についても尋ねており、心の健康の現状を示すとともに、職場での支援の必要性を訴える目的も持つ。最新の2026年版は18の国・地域、約1万9,000人を対象とし、2026年6月2日に公表された。
何をどう測っているか
調査はオンラインで行われ、性・年齢・職業・地域の割り付けと重み付けをしたうえで集計している。中心となるのはマインドヘルス指数で、回答者の心の状態を4つの区分に分ける。最も良好な「フラーリッシング(社会的・心理的・感情的に最も良好な状態)」、まあまあの「ゲッティング・バイ」、停滞した「ランギッシング」、不調の「ストラグリング」である。この4区分の割合に加えて、国ごとの指数(点数)も算出し、国・地域どうしを順位づけして比べる。さらに、うつ・不安・ストレスなど心の不調の経験、助けを求めるかどうか、職場からの支援の有無などを尋ねる。毎年、別の回答者に尋ねる横断調査(同じ人を追いかけるのではなく、その時点の断面を切り取る調査)であり、2026年版の調査は2026年1〜2月に実施された。
これまでの歩み
マインドヘルス指数は2021年に始まり、2021〜2026年に毎年調査が行われている。第4版の2024年版(2024年3月6日公表)は「Mind Your Health in the Workplace」と題し、16か国の1万6,000人を対象に、職場とメンタルの関係に初めて焦点を当てた。この号では指数が前年より悪化し、「ストラグリング(不調)」が3ポイント増の15%となり、新型コロナ禍のさなかの2021年の水準に戻った。第5版の2025年版(2025年3月27日公表)は16か国・約1万7,000人を対象とし、若い世代の不調を最大の話題とした。2026年版は対象を18の国・地域、約1万9,000人に広げ、若者の不調に加えて、デジタル習慣と孤独、AIへの心の相談の広がり、職場の支援を主な論点に据えた。
分かってきたこと
心の状態は悪化の方向にある
2024年版では、最も状態の悪い「ストラグリング」が前年より3ポイント増えて15%となり、新型コロナ禍のさなかの2021年の水準に戻った。2025年版では、最も良好な「フラーリッシング」は全体の25%にとどまり、少なくとも一つの心の不調を抱える人は3人に1人で横ばいだった。2026年版では、「ランギッシング(停滞)」か「ストラグリング(不調)」に当たる人が前年より3ポイント増えて46%に達した。報告書はこれを「最も低い水準」と位置づけている。
若い世代ほど不調が目立つ
2024年版では、18〜24歳の39%が重度以上の不安・ストレス・抑うつに該当した。2025年版では、18〜24歳の57%が「ランギッシング」か「ストラグリング」に当たり、55歳以上の29%のほぼ2倍だった。2026年版でも若者の不調は主な論点の一つに挙げられている。年齢が若い層ほど心の状態がよくない傾向が、版を重ねて繰り返し示されている。
デジタル習慣・孤独・AIへの相談
2026年版は、デジタル習慣と孤独を主要な論点として取り上げた。あわせて、AIを心の相談に使う人の多さにも注目している。心の悩みの受け皿が人から技術へと広がりつつある状況を、調査の新しい切り口としている。
職場は支援の場として重視されている
2024年版は、職場とメンタルの関係に初めて焦点を当てた号である。2026年版でも職場の支援が主な論点の一つになっている。調査では職場からの支援についても毎回尋ねており、報告書は職場での支援の必要性を訴えている。