研究の系譜と論争 ・ 日本 ・ 系譜19
生きがい研究の系譜
神谷美恵子(1966)の『生きがいについて』を源流に、前田ら(1979)のモラール・スケール、古谷野ら(1989)の生活満足度尺度が高齢者の主観的幸福感測定を整え、近藤・鎌田(1998, 2003)が生きがい感スケール(K-I式)を、熊野(2006)が生きがいと類似概念の構造を示した。
長谷川ら(2003)の地域差、関ら(2001)と岩佐ら(2005)の生命予後研究、Sone et al.(2008)の大崎研究(英語)が生きがいと死亡率の関連を確立した。英語圏では近年 ikigai が概念として注目され、Kono & Walker(2019)、Wilkes et al.(2022)などが続いている。
解説に出てくるが一覧の外にあるもの:Sone et al.(2008)→もう一方の一覧 W1477 Sone(2008)、Kono & Walker(2019)→もう一方の一覧 W2157 Kono(2019)、Wilkes et al.(2022)→もう一方の一覧 W2177 Wilkes(2022)、神谷美恵子(1966)
この系譜の論文(年順・8本)
- 1979J559 老人の主観的幸福感の研究――モラール・スケールによる測定の試み 前田(1979) 社会老年学 主要100 高齢者の主観的幸福感をモラール・スケールで測定する試みを行い、日本の高齢者研究における幸福感測定の基礎を築いた。
- 1989J563 生活満足度尺度の構造――主観的幸福感の多次元性とその測定 古谷野(1989) 老年社会科学 主要100 高齢者の主観的幸福感を多次元的に捉える生活満足度尺度を検討し、日本で広く使われる生活満足度尺度Kの基礎を示した。
- 1998J122 現代大学生の生きがい感とスケール作成 近藤(1998) 健康心理学研究 主要100 被引用 18 大学生の生きがい感を測る4因子31項目の尺度を作成し、生きがい感を「存在価値の自覚・現状満足・生きる意欲」と定義した。
- 2001J046 歩行時間,睡眠時間,生きがいと高齢者の生命予後の関連に関するコホート研究 関(2001) 日本衛生学雑誌 主要100 被引用 33 農村の高齢者を約7年半追跡し、1日1時間以上の歩行、7時間以上の睡眠、生きがいが死亡リスクを下げることを示した。
- 2003J091 高齢者における「生きがい」の地域差 長谷川(2003) 日本老年医学会雑誌 主要100 被引用 20 農村と都市近郊で高齢者の生きがい保有率に差はなく、健康度自己評価・知的能動性・社会的役割が共通の関連要因であることを示した。
- 2003J235 高齢者向け生きがい感スケール(K-I式)の作成および生きがい感の定義 近藤(2003) 社会福祉学 主要100 被引用 14 日本の高齢者の生きがい感を測る16項目のK-I式スケールを作成し、生きがい感を操作的に定義した。
- 2005J098 都市部在宅中高年者における7年間の生命予後に及ぼす主観的幸福感の影響 岩佐(2005) 日本老年医学会雑誌 主要100 被引用 18 都市部在宅の中高年者で、主観的幸福感が低いほど7年間の生命予後が不良であり、男女とも幸福感が死亡の予測因子となることを示した。
- 2006J079 生きがいとその類似概念の構造 熊野(2006) 健康心理学研究 主要100 被引用 20 生きがいの中心は人生肯定・目標・人生の意味・充実感などであり、主観的幸福感やQOLとは異なる概念であることを示した。
系譜図でこの流れの論文だけが浮かび上がり、左から右へ年代順に並びます。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 名言集生きがいを最も感じるのは、自分のしたいことと義務とが一致したときである神谷美恵子
- 名言集幸せかどうかは、わかんない。でも、楽しいか楽しくないかで言ったら、楽しい甲本ヒロト
- 調査・報告書地球幸福度指数(ハッピー・プラネット・インデックス)幸福感と寿命を、環境への負荷で割り、「地球にやさしく幸せに生きている国」を比べる指数。
- 発達マップ生きがい5つの発達段階で比べた表・人生の歩み
- 調査・報告書幸福度に関する研究会報告――幸福度指標試案(内閣府 経済社会総合研究所 幸福度に関する研究会, 2011)主観的幸福感を中心に、経済・健康・関係性の3本柱で日本の幸福度指標を試作した政府の報告。
- 幸せに効くこと平均寿命(国レベル)長く健康に生きられる国ほど、国民の幸せもたぶん高い
- 禅語百選生死事大 無常迅速生きて死ぬという一大事を前にして、時は矢のように過ぎていく。ぐずぐずしている暇はない。
- 思想マップケイパビリティ・アプローチ善き生とは、自分が価値あると考える生き方を実際に選べる実質的自由(ケイパビリティ=できることの幅)の広がりである(センとヌスバウムの理論)
内容の近さをAIで自動計算して選んでいます。保存版コレクションの一覧 →