電気けいれん療法(ECT)
麻酔下で脳に通電しけいれんを誘発する重症うつの治療
幸せへの効果の大きさ
(推定) 実ECT vs 偽ECTで効果量−0.91(6試験)・薬物療法比−0.80(18試験、n=1144)からの推定。人生満足の統合なし
NA低減が主:抑うつSES −0.91[−1.27〜−0.54]。両側ECTの反応OR 8.91(ネットワークメタで最上位)。PAなし
- ほかの幸福度指標
- 記憶障害(逆向性健忘)等の認知副作用。重症・精神病性・自殺リスクの高いうつで第一選択となる
- なぜ効くのか
- 全般性けいれんによる神経伝達・神経栄養因子(BDNF)・海馬の神経新生の急速な変化
- 幸せの4因子
- なんとかなる なんとかなる(重症からの救命的回復)
こうすると更に効く
麻酔下で脳に通電してけいれんを起こす治療で、偽ECTや薬物療法と比べても大きな効果があり、特に両側電極の反応オッズ比は非外科的脳刺激のなかで最上位です(UK ECT Review Group, 2003; Mutz et al., 2019)。向いているのは、重症で食事も取れない、幻覚や妄想を伴う(精神病性)、自殺の危険が高いといった、時間をかけられない状況のうつです。治療後は再発予防のための薬物療法や心理療法を続けることが前提になります。
気をつけること
ランダム化試験の統合で因果の根拠はありますが、試験は古く小規模で、効果は短期のものです。逆向性健忘(治療前の記憶が抜ける)などの認知面の副作用があり、効果と副作用を天秤にかける判断が必要です。幸福を高めるための手段ではなく、重い状態からの救命的な治療として収載されている行です。重いうつの疑いがある場合は、迷わず精神科の専門医につながってください。
最初の一歩
本人や家族が重症のうつで困っているなら、精神科の主治医に「ECTは選択肢に入るか」と率直に聞いてみてください。実施できるのは麻酔科を備えた病院に限られるので、紹介を受ける形になります。
主要な研究
- Efficacy and safety of electroconvulsive therapy in depressive disorders: a systematic review and meta-analysis(UK ECT Review Group, 2003, Lancet)
- Comparative efficacy and acceptability of non-surgical brain stimulation for the acute treatment of major depressive episodes in adults: systematic review and network meta-analysis(Mutz et al., 2019, BMJ)
メモ:重症・治療抵抗性うつの短期効果。試験は古く小規模。幸福増進ではなく救命的治療として収載。認知副作用とのトレードオフ
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
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