研究の系譜と論争 ・ 世界 ・ 系譜5
感謝介入の効果量
Emmons & McCullough(2003)が「感謝を数える」実験で幸福感の向上を示し、Seligman et al.(2005)の感謝の手紙、Lyubomirsky et al.(2005)の持続的幸福モデルが続いた。Wood, Froh & Geraghty(2010)のレビューの後、Davis et al.(2016)やDickens(2017)のメタ分析は効果が小さく、対照条件に何を置くかで結果が変わることを示した。
Cregg & Cheavens(2021)は抑うつ・不安への効果はさらに小さいと報告している。感謝の特性と幸福の相関(Wood et al., 2008)は安定しているが、短期介入の効果は控えめに見積もるのが現在の理解である。
この系譜の論文(年順・8本)
- 2003W0095 恵みを数えるか重荷を数えるか:日常生活における感謝と主観的幸福感の実験的検討 Emmons(2003) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 3,378 感謝していることを書き出す介入が、比較条件よりもポジティブ感情などのウェルビーイングを高めることを実験で示した。
- 2005W0039 頻繁なポジティブ感情の効用:幸福は成功をもたらすのか Lyubomirsky(2005) Psychological bulletin 主要400 被引用 7,237 幸福な人は多くの領域で成功しており、ポジティブ感情が成功の結果だけでなく原因にもなることをメタ分析で示した。
- 2005W0042 ポジティブ心理学の進展:介入の実証的検証 Seligman(2005) American Psychologist 主要400 被引用 5,621 インターネット上の無作為化比較実験で、5つの幸福介入のうち3つが幸福を高め抑うつを下げることを示した。
- 2008W0427 本来的なパーソナリティ:理論的・実証的な概念化と本来感尺度の開発 Wood(2008) Journal of Counseling Psychology 主要400 被引用 1,186 本来感を自己疎外・本来的な生き方・外的影響の受容の3因子で測る尺度を開発し、ウェルビーイングとの強い関連を示した。
- 2010W0192 感謝とウェルビーイング:レビューと理論的統合 Wood(2010) Clinical Psychology Review 主要400 被引用 1,979 感謝を人生の良い面に目を向ける習慣まで含めて再定義し、ウェルビーイングとの強く独自な関連を示した。
- 2016W0886 小さなことに感謝する:感謝介入のメタ分析 Davis(2016) Journal of counseling and psychology 被引用 429 感謝介入は心理的幸福感を小さく高めるが、心理的に能動的な比較条件より優れているわけではないことを示した。
- 2017W2340 感謝を用いてポジティブな変化を促す――感謝介入の有効性を検討する一連のメタ分析 Dickens(2017) Basic and Applied Social Psychology 主要400 被引用 245 38研究のメタ分析で、感謝介入は幸福感など多くの指標を改善したが効果のない指標もあり、利点は誇張されがちだとした。
- 2020W1253 感謝介入は有効なセルフヘルプか?:抑うつと不安の症状への影響に関するメタ分析 Cregg(2020) Journal of Happiness Studies 主要400 被引用 187 感謝介入が抑うつ・不安症状に与える効果をメタ分析し、その効果は小さく、臨床的な治療法としては限定的であることを示した。
系譜図でこの流れの論文だけが浮かび上がり、左から右へ年代順に並びます。
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