感謝とウェルビーイング:レビューと理論的統合
Gratitude and well-being: a review and theoretical integration.
A. Wood, Jeffrey J. Froh, A. Geraghty(2010)Clinical Psychology Review, 30(7), 890–905
感謝を人生の良い面に目を向ける習慣まで含めて再定義し、ウェルビーイングとの強く独自な関連を示した。
要旨根拠:抄録
本論文は、他者から助けを受けたときに生じる感謝だけでなく、人生のポジティブな面に習慣的に目を向け味わう傾向までを含む新しい感謝のモデルを提示する。そのうえで、感謝の個人差とウェルビーイングの関係について、精神病理、性格、人間関係、健康、主観的・エウダイモニア的ウェルビーイング(=快楽だけでなく意味や成長を含む良い生き方)などの研究をレビューした。感謝はどのように定義したウェルビーイングとも強く関連し、その関連は独自で因果的である可能性がある。感謝を高める臨床的介入は有望とされたが、ポジティブ心理学の文献が限界を見落としている点も指摘された。感謝が幸福につながる仕組みとして、スキーマの偏り、コーピング、ポジティブ感情、拡張-形成の原理が議論され、簡単な練習で幸福を高めうる臨床的意義が示された。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤W0095 Emmons(2003)の感謝介入実験とW0107 McCullough(2002)の感謝特性研究を統合した
- 後続・発展W0629 Algoe(2012)が感謝の関係構築機能(find-remind-bind)を理論化し、W1054 Ma(2017)が感謝と向社会性の関連をメタ分析した
- W0886 Davis(2016)とW1253 Cregg(2020)は感謝介入の効果が小さく、比較条件によってはさらに縮小することを示した
- 日本語版・翻訳J044 蔵永(2011)が日本人の感謝の構造を検討し、J561 相川(2013)が感謝を数える介入を日本で実施した
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 14本
- W0007 ポジティブ心理学におけるポジティブ感情の役割:拡張-形成理論 Fredrickson(2001) American Psychologist 主要400 被引用 15,016
- W0013 幸福がすべてか?――心理的幸福感の意味の探究 Ryff(1989) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 14,608
- W0016 主観的幸福感 Diener(1984) Psychological bulletin 主要400 被引用 14,738
- W0017 幸福と人間の潜在力について:快楽主義的・エウダイモニア的ウェルビーイング研究のレビュー Ryan(2001) Annual Review of Psychology 主要400 被引用 11,279
- W0042 ポジティブ心理学の進展:介入の実証的検証 Seligman(2005) American Psychologist 主要400 被引用 5,621
- W0044 ポジティブ感情は何の役に立つのか Fredrickson(1998) Review of General Psychology 主要400 被引用 6,229
- W0095 恵みを数えるか重荷を数えるか:日常生活における感謝と主観的幸福感の実験的検討 Emmons(2003) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 3,378
- W0098 ポジティブ心理学介入によるウェルビーイング向上と抑うつ症状の軽減:実践に役立つメタ分析 Sin(2009) Journal of Clinical Psychology 主要400 被引用 2,881
- W0107 感謝傾向:概念的・実証的な全体像 McCullough(2002) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 3,129
- W0112 ポジティブ感情は注意の範囲と思考‐行動レパートリーを広げる Fredrickson(2005) Cognition & Emotion 主要400 被引用 3,449
- W0111 幸福の追求:持続的な変化の構造 Lyubomirsky(2005) Review of General Psychology 主要400 被引用 3,220
- W0124 健康の基本的側面としての心理的柔軟性 Kashdan(2010) Clinical Psychology Review 主要400 被引用 2,789
ほか 2 件
後続研究(この論文を引用している) 15本
- W2340 感謝を用いてポジティブな変化を促す――感謝介入の有効性を検討する一連のメタ分析 Dickens(2017) Basic and Applied Social Psychology 主要400 被引用 245
- W1253 感謝介入は有効なセルフヘルプか?:抑うつと不安の症状への影響に関するメタ分析 Cregg(2020) Journal of Happiness Studies 主要400 被引用 187
- W0629 見つけ、思い出させ、結びつける:日常の人間関係における感謝の機能 Algoe(2012) Social and Personality Psychology Compass 被引用 724
- W0669 自己超越的感情とその社会的機能:思いやり・感謝・畏敬は向社会性を通じて私たちを他者と結びつける Stellar(2017) Emotion Review 被引用 592
- W0876 個人的・心理的な強みを使うことは時間とともに幸福を高める:縦断研究と強み活用質問紙の開発 Wood(2011) Personality and Individual Differences 被引用 527
- W0886 小さなことに感謝する:感謝介入のメタ分析 Davis(2016) Journal of counseling and psychology 被引用 429
- W0985 ポジティブ介入:感情調整の視点から Quoidbach(2015) Psychological bulletin 被引用 437
- W1024 ポジティブ臨床心理学:研究と実践を統合する新たなビジョンと戦略 Wood(2010) Clinical Psychology Review 被引用 469
- W1037 ポジティブ感情治療(PAT)によるうつ・不安の治療:アンヘドニアの中核的特徴を対象とした無作為化臨床試験 Craske(2019) Journal of Consulting and Clinical Psychology 被引用 378
- W1054 感謝は向社会性を高めるか?:メタ分析的レビュー Ma(2017) Psychological bulletin 被引用 367
- W1120 レジリエンス・ポートフォリオ・モデル:暴力の被害者の健康的な適応を理解する Grych(2015) Psychology of Violence 被引用 283
- W1190 感謝とグリットは人生の意味を高めることで間接的に自殺念慮のリスクを下げる:媒介された調整モデルの証拠 Kleiman(2013) Journal of Research in Personality 被引用 377
ほか 3 件
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文献表記(APA第7版)
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- Semantic Scholar 1,979(うち影響引用 183)・ OpenAlex 2,137
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- 116.4
- FWCI
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- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 概念枠(B05 感謝の上位3)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
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