研究の系譜と論争 ・ 日本 ・ 系譜17
本来感(自分らしくある感覚)の系譜
伊藤・小玉(2005)が本来感尺度を作成し、自尊感情とは独立にwell-beingを予測することを示した。伊藤・小玉(2006)が随伴性自尊感情との組み合わせで自己形成を論じ、同年に本来感と生活習慣・対人関係の関連を報告した。その後、折笠(2012, 2019)が中学生の学級適応、光岡(2019)が看護師の感情労働、富井ら(2025)が孤独感との関連へ展開した。
海外のAuthenticity Scale(Wood et al., 2008)やSutton(2020)のメタ分析(r=.40)と並行する系列で、日本発の概念として英語論文での発信余地が大きい。
解説に出てくるが一覧の外にあるもの:Wood et al.(2008)→もう一方の一覧 W0427 Wood(2008)、Sutton(2020)→もう一方の一覧 W1219 Sutton(2020)
この系譜の論文(年順・6本)
- 2005J012 自分らしくある感覚 (本来感) と自尊感情がwell-beingに及ぼす影響の検討 伊藤(2005) 教育心理学研究 主要100 被引用 66 本来感尺度を作成し、本来感と自尊感情がそれぞれ同程度に主観的・心理的ウェルビーイングを高めることを示した。
- 2006J068 大学生の主体的な自己形成を支える自己感情の検討 伊藤(2006) 教育心理学研究 主要100 被引用 24 大学生の主体的な自己形成には自尊感情よりも本来感が正の影響を与え、自己価値の随伴性は自律性を損なうことを示した。
- 2012J546 中学生の本来感が学級適応に与える影響 折笠国康(2012) 教育カウンセリング研究 被引用 2 中学生では自尊感情などの類似概念と比べ、本来感だけが男女共通で学級適応に肯定的な影響を与えることを示した。
- 2019J525 中学生の本来感と優越感および学校適応感との関連の検討:本来感と随伴性自尊感情の組み合わせの視点から 折笠(2019) 発達心理学研究 被引用 3 中学生の学校適応感には優越感より本来感が強く影響し、本来感と優越感がともに高い群で社会的スキルと学校適応感が最も高いことを示した。
- 2019J552 看護師における本来感と感情労働と職業的アイデンティティとの関連 光岡(2019) 日本看護研究学会雑誌 被引用 0 看護師の本来感が職業的アイデンティティに直接、また深層演技の感情労働を介して間接的に影響することを示した。
- 2025J555 自尊感情の2形態と孤独感の関連――随伴性自尊感情と本来感に注目して 富井(2025) パーソナリティ研究 被引用 0 自尊感情と本来感は孤独感と負の相関を示す一方、随伴性自尊感情は孤独感と関連しないことを中高年を含む成人で示した。
系譜図でこの流れの論文だけが浮かび上がり、左から右へ年代順に並びます。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 名言集本来感 ── 「自分自身である」という感覚は、自尊感情とは別に、人の幸福を支えている伊藤正哉・小玉正博
- 名言集本来性とは、自己疎外が少なく、自分の価値に沿って生き、外からの影響に呑み込まれていないことであるアレックス・ウッド
- 禅語百選本来面目生まれる前から持っている、ありのままの本当の自分。社会的な役割や思い込みを剥がしたあとに残る、素顔。
- 幸せに効くこと本来性(authenticity)「自分らしく生きている」感覚が、満足も意味も底上げする
- 幸せに効くこと目標進捗・自己一致目標幸福度に強く効くのは『目標の達成』より『進んでいる実感』
- 発達マップありのままに因子(独立と自分らしさ)5つの発達段階で比べた表・幸せの4因子(組織)
- 調査・報告書幸福度に関する研究会報告――幸福度指標試案(内閣府 経済社会総合研究所 幸福度に関する研究会, 2011)主観的幸福感を中心に、経済・健康・関係性の3本柱で日本の幸福度指標を試作した政府の報告。
- 思想マップ悩み相談:人と比べて落ち込む自分・まず読むなら アドラー(個人心理学)/ストア派/仏教(上座部)
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