大学生の主体的な自己形成を支える自己感情の検討
Self-Feelings That Support Intentional Self-Development in University Students
伊藤 正哉、小玉 正博(2006)教育心理学研究, 54(2), 222–232
大学生の主体的な自己形成には自尊感情よりも本来感が正の影響を与え、自己価値の随伴性は自律性を損なうことを示した。
要旨根拠:抄録
本研究は、大学生の主体的な自己形成として自律性、可能性追求意識、現状改善意識を取り上げ、それを支える内的要因として本来感(=ありのままの自分でいられる感覚)、自己価値の随伴性(=自分の価値が成功や他者の評価次第だと感じる傾向)、自尊感情を検討した。大学生220名に質問紙調査を行い、邦訳した自己価値の随伴性尺度の信頼性と妥当性も確認した。多変量重回帰分析の結果、本来感は自律性・可能性追求意識・現状改善意識のすべてに正の影響を与えていた。自己価値の随伴性は自律性には負、現状改善意識には正の影響を与えていた。一方、自尊感情は自己形成に影響していなかった。自尊感情の高低だけでなく、本来感と随伴性に注目する有用性が示された。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤J012 伊藤(2005)の本来感研究とJ156 小塩(2001)の自尊感情の変動性研究に依拠
- 後続・発展J358 大谷(2010)が中学生用自己価値の随伴性尺度を作成し、J504 江田(2009)が大学生アスリートで、J555 富井(2025)が孤独感との関連で本来感と随伴的自己価値を検討した
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(日本 576本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。日本語論文は参照データが薄く、空欄でも引用していないとは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 2本
- J021 成人女性の多様なライフスタイルと心理的well-beingに関する研究 西田(2000) 教育心理学研究 主要100 被引用 53
- J156 自己愛傾向が自己像の不安定性, 自尊感情のレベルおよび変動性に及ぼす影響 小塩(2001) 性格心理学研究 被引用 15
後続研究(この論文を引用している) 3本
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- 論文ページ
- https://doi.org/10.5926/jjep1953.54.2_222
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- DOI
- 10.5926/jjep1953.54.2_222
文献表記(日本心理学会式)
影響力の指標
- 著名度スコア
- 82.4 / 100 スコアとは
- 被引用数
- J-STAGE 24 ・ Crossref 12 ・ Semantic Scholar 8 ・ OpenAlex 10
- 年あたり被引用
- 1.1(J-STAGE)
- 主要100の選定
- 専門家判断(定番・古典)
被引用数の取得日:J-STAGE・Crossref・Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 名言集本来感 ── 「自分自身である」という感覚は、自尊感情とは別に、人の幸福を支えている伊藤正哉・小玉正博
- 名言集本来性とは、自己疎外が少なく、自分の価値に沿って生き、外からの影響に呑み込まれていないことであるアレックス・ウッド
- 幸せに効くこと本来性(authenticity)「自分らしく生きている」感覚が、満足も意味も底上げする
- 幸せに効くこと随伴的自尊感情(Contingent Self-Worth)自分の価値を「成果」に預けると、気分が成果に振り回される
- 発達マップありのままに因子(独立と自分らしさ)5つの発達段階で比べた表・幸せの4因子(組織)
- 禅語百選主人公自分の中の、本当の主(あるじ)。外の状況や他人の評価に振り回されない、本来の自己。
- 思想マップ実存主義幸福ではなく、不安と無意味を引き受けて自ら意味を創り出す生の本来性(自分の生を自分で引き受けること)が問われる
- 調査・報告書はたらく人の幸せに関する調査(パーソル総合研究所×慶應義塾大学 前野隆司研究室)働くことを通じた幸せと不幸せを7因子ずつで測る尺度を作り、日本の就業者の実態を調べた調査。
内容の近さをAIで自動計算して選んでいます。保存版コレクションの一覧 →