宗教的/スピリチュアルな葛藤(Religious Struggle)
神への怒り・見捨てられ感、信仰の疑い、道徳的葛藤など宗教・霊性をめぐる緊張
幸せへの効果の大きさ
(推定) 肯定的適応(WB・人生満足・成長)との関連は縦断で非有意(Zr=−.04、k=12、N=1,381)、横断でも弱く非有意(−.10)。人生満足を下げる証拠は弱い
NA増が主 否定的適応(抑うつ・不安・PTSD等)と横断r=.27(k=32、N=5,729)。縦断でベースラインを統制してもZr=.08で有意
- ほかの幸福度指標
- 抑うつ・不安・PTSD・自殺念慮。がん患者等でのQOL。宗教的コーピングの否定側面(negative religious coping)
- なぜ効くのか
- 究極的な意味・安全の源泉(信仰)が脅かされることで実存的不安と孤立感が生じる
- 幸せの4因子
- ありがとうを損なうなんとかなるを損なう ありがとう(逆)/なんとかなる(逆) →見捨てられ感・意味の揺らぎ
こうすると更に効く
宗教的・スピリチュアルな葛藤(神への怒り、信仰の疑い、道徳的葛藤など)は抑うつ・不安などと横断r=.27で関連し、縦断でも小さいながら有意に苦痛を予測します(Bockrath et al., 2022)。和らげるコツは、葛藤を「信仰が足りない証拠」と裁かずに、揺らぎ自体を自然なプロセスとして扱うこと。信頼できる宗教者や仲間に正直に話せる場があること、意味や安心の源を信仰以外にも複数持っておくこと(関係・自然・活動)が緩衝材になります。葛藤を経て信仰や人生観が深まる人もいます。
気をつけること
害は苦痛を増やす方向で、人生満足や幸福を下げる証拠は縦断・横断とも弱く非有意でした。縦断の効果は小さく(Zr=.08)、横断の関連には苦痛が葛藤を生む逆方向も含まれます。宗教性の高い米国の標本が中心で、日本への一般化は限定的です。葛藤が自殺念慮や強い抑うつを伴うときは、宗教的な問題として抱え込まず専門家に相談してください。
最初の一歩
信仰や人生観に揺らぎがある人は、それを異常と見ずに、信頼できる人に1回だけ正直に話してみてください。周囲は、答えを出そうとせず聞くだけで緩衝材になります。
主要な研究
- Religious and spiritual struggles and their links to psychological adjustment: A meta-analysis of longitudinal studies(Bockrath, Pargament, Wong, Harriott, Pomerleau, Homolka, Chaudhary & Exline, 2022, Psychol Relig Spiritual)
メモ:害は『苦痛を増やす』方向で、『幸福(人生満足)を減らす』証拠は弱い=非対称。縦断効果は小(Zr=.08)。宗教性が高い文化(米国)の標本中心で日本への一般化は限定的。既収載『宗教性・スピリチュアリティ』の負の側面
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
同じ「価値観・意味・スピリチュアリティ」の項目
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 発達マップ信仰の構造5つの発達段階で比べた表・思想・哲学・宗教との対応
- 発達マップ霊性の発達線5つの発達段階で比べた表・発達理論の系譜
- 名言集祈りとは求めることではない。それは魂の切望であるマハトマ・ガンジー
- 主要研究個人的努力目標間の葛藤:心理的・身体的ウェルビーイングへの短期的・長期的影響Emmons(1988)・自分の目標同士が葛藤したりそれへの気持ちが両価的だったりすると、ネガティブ感情や心身の不調が増えることを示した。
- 主要研究畏敬は宗教的・スピリチュアルな感情と行動意図を活性化するCappellen(2012)・実験的に畏敬を喚起すると、スピリチュアルな感情や宗教的・スピリチュアルな行動意図が高まることを示した。
- 思想マップ悩み相談:お金が不安で仕方がないお金・将来・まず読むなら ケイパビリティ・アプローチ/エピクロス派/ユダヤ教
- 禅語百選身心脱落身も心も脱け落ちる。自分という枠組みが抜け落ちて、自他の区別、身心の区別が消え去った境地。道元の悟りの体験。
- 調査・報告書Gallup 世界の感情レポート(Global Emotions Report/State of the World's Emotional Health)昨日、笑ったか・心配したかなどを世界の人に尋ね、日々の感情の明暗を国別に比べる年次報告書。
内容の近さをAIで自動計算して選んでいます。保存版コレクションの一覧 →