感情明瞭性(Emotional Clarity)
自分が今どんな感情を感じているかをはっきり理解できる程度(TMMS明瞭性等)
幸せへの効果の大きさ
(推定) 人生満足直接の統合値なし。抑うつ症状と負(r=−.24〜−.38)・主観的WBと正の報告からの推定
NA低減が主 低明瞭性は抑うつ・不安・摂食等の超診断的要因。PAとの正は小〜中。マインドフルネス系介入で明瞭性はg=.42(前後)〜.52(群間)上昇(メタ分析k=17)
- ほかの幸福度指標
- 抑うつ・不安・反すう・経験回避と負。アレキシサイミア(感情同定困難)の逆側面
- なぜ効くのか
- 感情のラベリングが扁桃体反応を鎮め、反すうでなく再評価・受容など適応的方略の選択を可能にする
- 幸せの4因子
- ありのままに ありのままに →感情の自己理解 →適切な調整
こうすると更に効く
感情に名前をつける(ラベリング)と扁桃体の反応が鎮まり、反すうではなく再評価や受容といった適応的な方略を選びやすくなる、というのが仕組みです。マインドフルネス系の介入で感情明瞭性は中程度上がる(Cooper, Yap & Batalha, 2018)ので、呼吸や体の感覚に注意を向ける練習と相性がいいようです。感情の振れ幅が大きい人ほど、明瞭性の保護効果が大きい(Vine & Marroquín, 2018)とされているので、『感情が強すぎて困る』タイプの人にこそ効きやすいです。日常では『今の気持ちを一語で言うと?』と自分に聞く習慣が、いちばん手軽な練習になります。
気をつけること
明瞭性そのものが幸福度を上げるという統合的な効果量はまだ確認されておらず、メタ分析は介入で明瞭性が上がることまでしか示していません。横断研究が中心なので、抑うつが明瞭性を下げるという逆方向も考えられます。感情知能やアレキシサイミア(感情を言葉にしにくい傾向)とかなり重なる概念です。名前をつける作業が『分析しすぎ』『考え込み』に変わると反すうになってしまうので、名づけたら一旦そこで止めるのがコツです。感情が分からない状態や落ち込みが長く続くときは、専門家に相談してください。
最初の一歩
1日1回、できれば夕方に『今の気持ちは何?』と自分に聞いて、一語で答えてみてください。合っているかどうかは気にせず、まず言葉にすることが最初の一歩です。
主要な研究
- Mindfulness-based interventions and their effects on emotional clarity: A systematic review and meta-analysis(Cooper, Yap & Batalha, 2018, J Affect Disord)
- Affect intensity moderates the association of emotional clarity with emotion regulation and depressive symptoms in unselected and treatment-seeking samples(Vine & Marroquín, 2018, Cogn Ther Res)
- Impaired emotional clarity and psychopathology: A transdiagnostic deficit with symptom-specific pathways through emotion regulation(Vine & Aldao, 2014, J Soc Clin Psychol)
メモ:明瞭性→幸福の統合効果量は未確認(メタ分析は介入による明瞭性の変化のみ)。感情強度が高い人ほど明瞭性の保護効果が大きい。既収載『感情知能(TMMS)』『アレキシサイミア』と重なる
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
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