ボランティア・プログラム(制度的)
Experience Corps等、組織的に高齢者等をボランティアに配置する制度的プログラム
幸せへの効果の大きさ
(推定) コホート研究ではボランティアは抑うつ低・人生満足・WB高と関連するが、RCT・非RCTでは確認されず(Jenkinson 2013)。制度的プログラムの準実験で抑うつ症状減(Hong & Morrow-Howell 2010)
NA低減が主:Experience Corps 2年参加で抑うつ症状・機能制限が対照より少(準実験N=167)。短期(4回1時間)の促進RCTでは直接効果なし、ボランティア量が増えた人のみ抑うつ減(Jiang 2021)
- ほかの幸福度指標
- 世代継承性(generativity)の自己認識はRCTで用量反応的に上昇(Gruenewald 2016)、死亡率RR 0.78(コホート5件)、身体活動増(Varma 2016)
- なぜ効くのか
- 役割・目的の獲得と世代継承感、社会的接触と身体活動の増加
- 幸せの4因子
- やってみようありがとう ありがとう →やってみよう
こうすると更に効く
Experience Corpsのような制度的プログラム(組織が高齢者などを学校等に配置する仕組み)で、週15時間級の高いコミットメントで2年間参加した人は、抑うつ症状や身体の機能制限が対照より少なかったそうです(Hong & Morrow-Howell, 2010)。一方で4回1時間程度の短い促進プログラムでは直接の効果はなく、実際にボランティアの量が増えた人だけ抑うつが減っていました(Jiang et al., 2021)。つまり「量と継続」が条件で、役割や目的、世代継承感(次の世代に何かを残している感覚)、人との接触、身体を動かす機会がまとまって得られるプログラムが効きやすいんです。自分で「やらされている」と感じる形より、役割を任されて責任を持てる形のほうが続きやすいという感じでしょうか。
気をつけること
観察研究ではボランティアをする人の抑うつは低く人生満足は高いのですが、RCTや非RCTでは幸福への効果が確認されていません(Jenkinson et al., 2013)。元気で幸せな人のほうがボランティアを始めやすいという逆方向の可能性があるので、相関と因果は分けて考える必要があります。人生満足への効果は△で根拠はまだ弱く、主に抑うつの低減(嫌な気分が減る側)が示されている段階です。義務感や負担が大きくなりすぎると、かえって疲弊する可能性もあるので、無理のない量から始めるのが安全です。気分の落ち込みが続くときは、活動を増やすより先に専門家に相談してください。
最初の一歩
地域の社会福祉協議会やボランティアセンターで、「定期的に続けられる役割」があるものを探してみてください。まず1回だけ体験に行って、「この場所と人なら続けられそうか」を確かめるのが最初の一歩です。続けられそうなら、週1回でも曜日を固定して習慣にすると、量と継続の条件に近づいていきます。
主要な研究
- Is volunteering a public health intervention? A systematic review and meta-analysis of the health and survival of volunteers(Jenkinson et al., 2013, BMC Public Health)
- Health outcomes of Experience Corps: a high-commitment volunteer program(Hong & Morrow-Howell, 2010, Soc Sci Med)
- Benefits of volunteering on psychological well-being in older adulthood: evidence from a randomized controlled trial(Jiang et al., 2021, Aging Ment Health)
メモ:観察研究(ボランティア行動と幸福の相関:既収載『親切・利他行動』等)と、制度的プログラムの効果(本行)を区別。相関は強いが実験的証拠は弱く、高コミットメント(週15時間級)の長期参加でのみ抑うつ減。短期促進介入は効果なし→「量と継続」が条件
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
同じ「地域・福祉・まちづくり」の項目
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 主要研究ボランティア活動が高齢者のウェルビーイングに及ぼす効果Morrow-Howell(2003)・ボランティアをする高齢者、特に活動時間の長い人ほどウェルビーイングが高く、その効果は属性で差がないことを示した。
- 主要研究ライフコースにおけるボランティア活動の効果の違いWilligen(2000)・高齢のボランティアは若年成人より、活動時間に応じた生活満足度と主観的健康の向上が大きいことを示した。
- 発達マップコミュニティとの関わり5つの発達段階で比べた表・人生の歩み
- 発達マップ次の段階に上がるための取り組み(個人)5つの発達段階で比べた表・ねじれと処方(個人と組織のあいだ)
- 名言集他者への奉仕は、この地上に部屋を借りるために払う家賃であるモハメド・アリ
- 思想マップ悩み相談:定年後、何をしたらいいか分からない仕事・まず読むなら 儒教(原始)/ユング(分析心理学)/仏教(浄土)
- 禅語百選入鄽垂手街に入って、手を垂れる。悟りを得た人が、ふたたび俗世の雑踏に戻り、人々とともに生きる。修行の最終段階。
- 調査・報告書欧州健康・加齢・退職調査欧州の50歳以上を2年ごとに追い、健康・お金・家族と生活の質の変化をたどる大規模パネル。
内容の近さをAIで自動計算して選んでいます。保存版コレクションの一覧 →