シロシビン補助療法
心理的支援下でのシロシビン(幻覚剤)投与によるうつ治療
幸せへの効果の大きさ
(推定) 抑うつ変化のHedges g=0.66[0.46〜0.86](7試験、n=436、中等度確実性)からの推定。人生満足の統合なし
NA低減が主:抑うつg=0.66、二次性うつ(がん等)でg=0.88。PA・至高体験は個別研究のみ
- ほかの幸福度指標
- 自己報告尺度(BDI)で効果大。幻覚剤使用歴があると効果大→期待効果の混入懸念
- なぜ効くのか
- 5-HT2A受容体作動によるデフォルトモードネットワークの一時的解体・神経可塑性の窓・体験の意味づけ
- 幸せの4因子
- ありのままに ありのままに→自己超越的体験・視点の転換→人生の意味
こうすると更に効く
シロシビン補助療法は、心理的な支援のもとでシロシビンを投与するうつ治療で、メタ分析では抑うつ症状に中程度の効果が示され、がんなどに伴う二次性のうつでは効果がより大きい傾向でした(Metaxa & Clarke, 2024)。メカニズムとして想定されているのは、デフォルトモードネットワーク(自己に関する反すうに関わる脳の回路)の一時的な解体と神経可塑性の『窓』が開くこと、そしてその体験を支援者と一緒に意味づけることです。つまり薬だけでなく、準備セッション・投与中の見守り・後の統合セッションという心理的支援がセットで初めて効く設計になっています。効きやすいのは既存の治療で改善しにくかったうつや、終末期の実存的な苦しみを抱える人で、臨床試験の枠組みで受けるのが前提です。
気をつけること
試験数は7本、参加者は436人と少なく、幻覚剤は盲検が難しいため期待効果の混入が大きいと考えられています(確度B)。幻覚剤の使用歴がある人で効果が大きいという所見も、期待の影響を示唆します。幸福度や人生満足の統合値はなく、健康な人の幸福増進に使う根拠はありません。日本では研究目的以外での使用は法律で禁止されており、個人輸入や自己使用は違法かつ危険です。精神病の既往や家族歴がある人には禁忌とされています。うつが続くときは、通常の医療につながってください。
最初の一歩
日本で一般の人が受けられる段階ではなく、国内外の臨床試験の情報を追う、あるいは主治医に『今後の治療選択肢として研究が進んでいるか』を聞く程度が現実的な一歩です。今日できることは、現在の治療を続けながら、効かなかった治療の履歴を整理しておくこと。将来、治療抵抗性うつの新しい選択肢が出たときの判断材料になります。
主要な研究
- Efficacy of psilocybin for treating symptoms of depression: systematic review and meta-analysis(Metaxa & Clarke, 2024, BMJ)
メモ:試験数少(n=436)・盲検困難で期待効果の影響大。すべて中等度バイアス。心理療法的支援が前提。非臨床者の幸福増進エビデンスはない
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
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