快楽の踏み車を超えて:ウェルビーイングの適応理論の改訂
Beyond the hedonic treadmill: revising the adaptation theory of well-being.
E. Diener, Richard E. Lucas, C. Scollon(2006)American Psychologist, 61(4), 305–314
人は出来事にすぐ慣れて幸福が元に戻るという快楽の踏み車モデルに、5つの重要な改訂が必要であることを示した。
要旨根拠:抄録
良い出来事も悪い出来事も幸福に一時的な影響しか与えず、人はすぐに中立的な水準に戻るという「快楽の踏み車」モデルを見直した論文である。このモデルが正しければ、個人や社会が幸福を高めようとする努力は無駄になってしまう。著者らは最近の実証研究をもとに、5つの改訂が必要だと論じた。第一に、セットポイント(=人それぞれの幸福の基準水準)は中立ではなく多くの人でプラスである。第二に、セットポイントは気質により人によって異なる。第三に、快感情、不快感情、生活満足などの要素ごとに別々のセットポイントがありうる。第四に、条件によってはセットポイント自体が変わりうる。第五に、出来事への適応には個人差がある。幸福を高める取り組みに希望を与える改訂である。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤W0470 Brickman(1978)の宝くじ当選者研究に始まる快楽の踏み車モデルを、W0532 Lucas(2003)やW0535 Lucas(2004)の縦断研究(結婚や失業の後に元の水準へ戻らない人がいる)とW0775 Fujita(2005)をもとに改訂した
- W0449 Luhmann(2011)が出来事の種類によって適応の速さと程度が異なることを確認した
- 後続・発展W0873 Tella(2010)が所得への適応と地位への適応を分けて検証した
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 15本
- W0015 二つの感情調整プロセスの個人差:感情、対人関係、ウェルビーイングへの含意 Gross(2003) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 11,790
- W0039 頻繁なポジティブ感情の効用:幸福は成功をもたらすのか Lyubomirsky(2005) Psychological bulletin 主要400 被引用 7,237
- W0042 ポジティブ心理学の進展:介入の実証的検証 Seligman(2005) American Psychologist 主要400 被引用 5,621
- W0044 ポジティブ感情は何の役に立つのか Fredrickson(1998) Review of General Psychology 主要400 被引用 6,229
- W0095 恵みを数えるか重荷を数えるか:日常生活における感謝と主観的幸福感の実験的検討 Emmons(2003) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 3,378
- W0111 幸福の追求:持続的な変化の構造 Lyubomirsky(2005) Review of General Psychology 主要400 被引用 3,220
- W0220 ポジティブ感情とネガティブ感情の起源と機能:制御過程の視点 Carver(1990) Psychological Review 主要400 被引用 2,982
- W0416 ウェルビーイング指標の弁別的妥当性 Lucas(1996) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 1,907
- W0470 宝くじ当選者と事故の被害者——幸福は相対的か? Brickman(1978) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 2,198
- W0482 お金は主観的幸福感を高めるか Diener(2002) Social Indicators Research 主要400 被引用 1,464
- W0532 適応と幸福のセットポイントモデルの再検討――婚姻状態の変化への反応 Lucas(2003) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 1,314
- W0535 失業は生活満足度のセットポイントを変える Lucas(2004) Psychology Science 主要400 被引用 1,272
ほか 3 件
後続研究(この論文を引用している) 15本
- W0177 開かれた心が人生を築く:慈悲の瞑想によるポジティブ感情が重要な個人的資源を築く Fredrickson(2008) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 2,348
- W0444 主観的ウェルビーイング科学の進展と未解決の問い Diener(2018) Collabra: Psychology 主要400 被引用 946
- W0449 主観的ウェルビーイングと人生の出来事への適応:認知的・感情的ウェルビーイングの違いに関するメタ分析 Luhmann(2011) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 1,270
- W0493 自然とのつながりと幸福の関係:メタ分析 Capaldi(2014) Frontiers in Psychology 主要400 被引用 1,070
- W2337 適応と主観的幸福感のセットポイント・モデル Lucas(2007) Current Directions in Psychological Science 主要400 被引用 814
- W0149 人生満足尺度(SWLS)と生活満足という構成概念の展開 Pavot(2008) The Journal of Positive Psychology 被引用 2,399
- W0332 ソーシャルサポートの新しい見方:人間関係を通じた繁栄に関する理論的視点 Feeney(2014) Personality and Social Psychology Review 被引用 1,316
- W0377 幸福の中身を解き明かす:ポジティブ感情はレジリエンスを築くことで生活満足を高める Cohn(2009) Emotion 被引用 1,570
- W0475 主観的ウェルビーイング――全体的概観 Diener(2009) South African Journal of Psychology 被引用 1,296
- W0479 セルフ・コンパッションとウェルビーイングの関係:メタ分析 Zessin(2015) Applied Psychology: Health and Well-Being 被引用 1,134
- W0671 エウダイモニック・ウェルビーイング質問票:心理測定的特性、人口統計学的比較、妥当性の証拠 Waterman(2010) Journal of Positive Psychology 被引用 724
- W0677 主観的ウェルビーイング研究の新知見と今後の方向性 Diener(2012) American Psychologist 被引用 680
ほか 3 件
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文献表記(APA第7版)
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- FWCI
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- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 専門家判断(古典・定番)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
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