幸福と健康
Happiness and Health.
A. Steptoe(2019)Annual Review of Public Health, 40(1), 339–359
幸福は死亡率の低さと概ね関連し、生活習慣や生物学的経路を介して健康に影響しうるが、因果や介入効果は未確立であることを示した。
要旨根拠:抄録
幸福の低下は病気の結果であるだけでなく、病気のリスクを高める要因でもあるのではないかという観点から、幸福と健康の関係を整理したレビューである。著者は幸福を、感情的幸福(喜びや快の感情)、エウダイモニア的幸福(=人生の意味や目的の感覚)、評価的幸福(生活満足度)の3つに分けて先行研究を検討した。前向き観察研究では幸福は概ね死亡率の低さと関連していたが、一致しない結果もあり、交絡(=第三の要因による見かけの関連)や逆因果が大きな懸念とされた。幸福と健康をつなぐ経路として、身体活動や食事などの生活習慣と、神経内分泌・炎症・代謝などの生物学的過程が挙げられた。一方、介入研究は主観的幸福の大きく持続的な向上や身体的健康への直接効果をまだ示していない。著者は、この分野が集団の健康に好影響をもたらす大きな可能性を持つと結論づけた。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤W0435 Chida & Steptoe(2008)のメタ分析(ポジティブな心理的ウェルビーイングが健常者・患者の双方で死亡率の低さと関連)や、W0226 Pressman & Cohen(2005)、W0613 Boehm & Kubzansky(2012)の心血管系疾患との関連レビューを土台に、生活習慣・生物学的経路を含めて総括した
- 論争W0181 Diener & Chan(2011)が幸福は健康と長寿に寄与すると強く主張した一方、一覧外:Liu et al. (2016) のMillion Women Studyは健康状態を調整すると幸福と死亡率の関連が消えると報告しており、本論文は因果は未確立という慎重な立場をとった
- 介入面ではW0098 Sin & Lyubomirsky(2009)やW0185 Bolier(2013)のポジティブ心理学介入メタ分析を参照しつつ、幸福を高める介入が健康アウトカムを改善するかは未検証とした
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
この論文が出てくる研究の系譜
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 15本
- W0005 人生満足度尺度(Satisfaction With Life Scale) Diener(1985) Journal of Personality Assessment 主要400 被引用 31,990
- W0017 幸福と人間の潜在力について:快楽主義的・エウダイモニア的ウェルビーイング研究のレビュー Ryan(2001) Annual Review of Psychology 主要400 被引用 11,279
- W0098 ポジティブ心理学介入によるウェルビーイング向上と抑うつ症状の軽減:実践に役立つメタ分析 Sin(2009) Journal of Clinical Psychology 主要400 被引用 2,881
- W0108 高所得は人生評価を高めるが感情的ウェルビーイングは高めない Kahneman(2010) Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 主要400 被引用 3,013
- W0185 ポジティブ心理学介入:無作為化比較試験のメタ分析 Bolier(2013) BMC Public Health 主要400 被引用 1,877
- W0200 心理的ウェルビーイング、健康、加齢 Steptoe(2014) The Lancet 主要400 被引用 2,006
- W0226 ポジティブ感情は健康に影響するか Pressman(2005) Psychological bulletin 主要400 被引用 2,157
- W0435 ポジティブな心理的ウェルビーイングと死亡率:前向き観察研究の定量的レビュー Chida(2008) Psychosomatic Medicine 主要400 被引用 1,498
- W0456 世界幸福度報告書(2012年) Helliwell(2012) The Earth Institute, Columbia University(報告書) 主要400 被引用 1,150
- W0198 ポジティブ感情は感情的ウェルビーイングへの上昇スパイラルを引き起こす Fredrickson(2002) Psychology Science 被引用 2,714
- W0591 お金持ちになれば幸せになれるか:焦点化の錯覚 Kahneman(2006) Science 被引用 1,189
- W0613 心の満ち足り:ポジティブな心理的ウェルビーイングと心血管の健康との関連 Boehm(2012) Psychological bulletin 被引用 874
ほか 3 件
後続研究(この論文を引用している) 5本
- W0983 若年・中年・高齢成人における身体活動と生活満足度・幸福感の関係 An(2020) International Journal of Environmental Research and Public Health 主要400 被引用 348
- W0894 青年のメンタルヘルスにおける男女差——73か国56万6829人の国際比較研究 Campbell(2020) medRxiv 被引用 445
- W1332 レジリエントな加齢:健康な加齢促進の標的としての心理的ウェルビーイングと社会的ウェルビーイング Kim(2021) Gerontology and Geriatric Medicine 被引用 146
- W2236 農村生活における身体活動と幸福感・生きがいの関連:横断研究 Kabasawa(2021) Humanities and Social Sciences Communications 被引用 14
- W2242 人生の目的(生きがい)と就業状況と循環器疾患死亡の関連:JACC研究 Miyazaki(2022) BMJ Open 被引用 11
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- 論文ページ
- https://doi.org/10.1146/annurev-publhealth-040218-044150
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文献表記(APA第7版)
影響力の指標
- 著名度スコア
- 38 / 100 スコアとは
- 被引用数
- Semantic Scholar 318(うち影響引用 12)・ OpenAlex 470
- 年あたり被引用
- 39.8
- FWCI
- 8.9(同年・同分野の平均の何倍引用されたか)
- 同年同分野で
- 上位 0.5%
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 専門家判断(古典・定番)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
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- 調査・報告書仕事と幸福(世界幸福度報告2017 第6章)仕事があること、仕事の種類、職場の特徴が幸福とどう関係するかを世界のデータで調べた章。
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- 思想マップニーチェ幸福とは力が増大している感覚(力への意志)であり、自分の運命を「然り」と肯定しうる強さ(運命愛)
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