幼少期の自然接触
子ども期(0〜10歳)に居住地周辺の緑地・自然に接していたこと
幸せへの効果の大きさ
(推定) 子ども期の居住地緑被率が最低の群は最高群より後年の精神障害リスクが最大55%高い(デンマーク約100万人、都市化・SES・親の精神疾患を統制)。子ども期の自然接触が少ない成人は精神的健康が低い(欧州4都市N=3585、係数−4.13)。人生満足の直接測定は未確認
(推定) 精神障害・精神的健康(SF-36MH等)からの推定。活力(vitality)との関連はなし
- ほかの幸福度指標
- 統合失調症・ADHD・物質使用障害など幅広い精神障害のリスク低減(登録コホート)。成人期の自然の重要性認識・利用を媒介
- なぜ効くのか
- 注意回復・ストレス低減、外遊びによる身体活動と社会的遊び、微生物叢の多様化(仮説)、自然とのつながりの形成
- 幸せの4因子
- やってみようありのままに ありのままに/やってみよう(自然での遊びと探索)→幸福度
こうすると更に効く
子ども期に住んでいた場所の緑被率(土地に占める緑の割合)が最も低い群は最も高い群より、後年の精神障害リスクが最大55%高いという約100万人のデンマークの研究があります(Engemann et al., 2019)。欧州4都市でも、子ども期の自然接触が少ない成人は精神的健康が低いという結果です(Preuß et al., 2019)。メカニズムは注意回復とストレス低減、外遊びによる身体活動と社会的な遊び、微生物叢(体にすむ細菌の集まり)の多様化(仮説)、そして自然とのつながりの形成です。成人期に自然の重要性を認識して利用することが媒介するとされているので、コツは「子どものうちに自然を好きになる経験を持つ」ことでしょうか。遠出でなくても、近所の公園や川、庭でも、繰り返しの接触が効きそうです。「ありのままに」と「やってみよう」(自然での遊びと探索)の経路で効くとされています。
気をつけること
観察研究(登録コホートと横断的な回顧)で因果は未確定ですが、都市化・SES・親の精神疾患を統制しても残る用量反応関係があります。衛星で測った緑被率と、回顧で答えた自然体験では測り方が違い、両者を同じものとして読まないでください。活力(vitality)との関連はなしとされ、効果は精神障害リスクの側に偏っています。既収載の「現在の緑地」とは別で、本行は発達期の曝露が後年に残るという話です。確度はBです。
最初の一歩
周囲(親)ができることは、今週末に近所の公園や緑のある場所に子どもと30分行くことです。大人が自分でできることは、子ども時代に好きだった自然の場所を1つ思い出して、今も行ける場所を探してみることでしょうか。
主要な研究
- Residential green space in childhood is associated with lower risk of psychiatric disorders from adolescence into adulthood(Engemann, Pedersen, Arge et al., 2019, Proc Natl Acad Sci U S A)
- Low Childhood Nature Exposure is Associated with Worse Mental Health in Adulthood(Preuß, Nieuwenhuijsen, Marquez et al., 2019, Int J Environ Res Public Health)
メモ:観察研究(登録・横断回顧)で因果は未確定だが、交絡統制後も残る用量反応関係。『現在の緑地』(既収載)ではなく発達期の曝露が後年に残る点が本行の趣旨。緑被率(衛星)と自然体験(回顧質問)は測り方が異なる
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
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