ハウジング・ファースト
ホームレスに断酒等の条件なしで恒久住宅を先に提供する政策
幸せへの効果の大きさ
(推定) 住居安定(居住日数SMD=1.24、18〜24か月後の居住RR=2.46)からの推定。QOL・精神健康への直接効果はRCT4本で推定が不正確・方向混在
(推定) 精神健康への短期効果は不正確で方向混在。NA低減の直接証拠は弱い
- ほかの幸福度指標
- 救急受診IRR=0.63・入院IRR=0.76の低減、物質使用は差なし、住居安定は確実(RCTメタ、k=4)
- なぜ効くのか
- 基本的安全(住居)の確保→慢性ストレス低減・サービス利用の正常化→回復資源へのアクセス
- 幸せの4因子
- なんとかなる なんとかなる(住居という基盤の安心)→幸福度
こうすると更に効く
この政策が効きやすいのは、断酒や治療を『先に』求めない点にあります。RCTのメタ分析では住居の安定への効果は大きく(居住日数のSMD=1.24)、救急受診や入院も減っていました(Baxter et al., 2019)。メカニズムは住まいという基本的安全の確保→慢性ストレスの低減→サービス利用の正常化→回復資源へのアクセスという順番です。受ける側・支援する側のコツは、住まいの提供を条件なしにしたうえで、訪問型の支援を並行させること。物質使用自体は差がなかったので、『住まいが先、行動変容は後からでいい』という割り切りが前提になります。
気をつけること
対象はホームレス状態の成人で、一般の人に当てはめる行ではありません。住居安定への効果は確度Aに近いですが、QOLや精神健康への直接効果はRCT4本のみ、すべてバイアスのリスクが高く、推定が不正確で方向も混在しています。つまり『幸せになる』部分はまだ推定の域です。短期の精神健康への効果も不確かで、住まいがあれば万事解決という話ではありません。
最初の一歩
関心があれば、自分の自治体にハウジング・ファースト型の支援団体や住宅支援の窓口があるか調べてみてください。困っている人を見かけたときに紹介できる窓口を1つ知っておくのが最初の一歩です。
主要な研究
- Effects of Housing First approaches on health and well-being of adults who are homeless or at risk of homelessness: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials(Baxter et al., 2019, J Epidemiol Community Health)
メモ:対象はホームレス成人(周辺化集団)で一般人口に外挿しない。住居安定への効果はA相当だが幸福・QOLへの直接効果はRCT4本・全て高バイアスで不確実。『住居の質』等の既収載行と弁別
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
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