従業員支援プログラム(EAP)
企業が外部提供する短期カウンセリング・相談窓口
幸せへの効果の大きさ
(推定) 人生満足未測定。心理的苦痛低減は前後比較(N=25マッチ)のみで、対照付きRCTは未確認
NA低減(心理的苦痛)は小規模前後研究のみ。PAは未検証
- ほかの幸福度指標
- 健康関連生産性(4週・6か月後に改善、準実験N=207)、ワーカビリティ。欠勤は変化なし。心理社会的安全風土が高い組織で効果大
- なぜ効くのか
- 早期の専門相談→問題の深刻化防止。組織風土が効果の条件
- 幸せの4因子
- ありがとうなんとかなる なんとかなる(相談先の確保) →ありがとう
こうすると更に効く
EAP(企業が外部に委託する短期カウンセリング・相談窓口)の狙いは、早めに専門家に相談することで問題の深刻化を防ぐことです。効きやすい条件として、心理社会的安全風土(組織がメンタルヘルスを大事にしているという雰囲気)が高い職場で効果が大きかったと報告されています(Bouzikos et al., 2022)。利用者の健康関連生産性やワーカビリティ(働ける力)は4週後・6か月後に改善していました(Zieringer & Zapf, 2024)。つまり「深刻になってから」ではなく「ちょっとモヤモヤ」の段階で短期的に使い、長引きそうなら医療や継続的な支援につなぐ、という使い方が向いているという感じでしょうか。
気をつけること
対照群のあるRCTは実質なく、前後比較や準実験が中心で、利用する人が自分で選ぶバイアスも大きいので、確度Cで根拠はまだ弱いです(Joseph, Walker & Fuller-Tyszkiewicz, 2018)。測られているのは生産性指標が中心で、幸福や人生満足はほとんど測られていません。多くのセッションを必要とした人は転帰が良くなかったので、EAPは短期向けで、長引く問題の受け皿としては不十分な可能性があります。つらさが続くときは、EAPから医療機関や専門家につないでもらってください。
最初の一歩
まず自社にEAPがあるか、連絡先はどこかを確認してみてください。あれば「深刻な悩みがないと使えない」と思わず、小さなモヤモヤで一度試してみるのが最初の一歩です。経営側なら、窓口の存在を周知するだけでなく、使うことが当たり前という雰囲気づくりが効果の条件になります。
主要な研究
- The effects of an employee assistance program on productivity at work, workability, absenteeism, and smartphone measures of heart rate and heart rate variability(Zieringer & Zapf, 2024, J Occup Health Psychol)
- Contextualising the Effectiveness of an Employee Assistance Program Intervention on Psychological Health: The Role of Corporate Climate(Bouzikos et al., 2022, Int J Environ Res Public Health)
- Evaluating the effectiveness of employee assistance programmes: a systematic review(Joseph, Walker & Fuller-Tyszkiewicz, 2018, Eur J Work Organ Psychol)
メモ:Joseph et al. 2018(EJWOP)のSRはPubMed未収載(未照合)。RCTは実質なく、利用者の自己選択バイアス大。生産性指標が中心で幸福指標は手薄。多くのセッションを要した者は転帰不良。v2.6.1:OpenAlexで1本を確認。Joseph et al. をOpenAlexで確認(OpenAlexの年は2017オンライン先行、冊子体2018)
原典と照合済み(3次)。効果の大きさは代表的な研究の値で、相関は因果を意味しません。
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