4つの文化における基本的心理欲求の充足・欲求不満・欲求の強さ
Basic psychological need satisfaction, need frustration, and need strength across four cultures
Beiwen Chen, M. Vansteenkiste, W. Beyers et al.(2015)Motivation and Emotion, 39(2), 216–236
基本的心理欲求の充足はウェルビーイングと、欲求の妨害は不調と、文化や欲求の強さにかかわらず結びつくことを示した。
要旨根拠:抄録
自律性・関係性・有能感の欲求の充足と不満(妨げられること)が、文化や、欲求をどれだけ重視・希求するかの個人差にかかわらず、ウェルビーイングと不調に寄与するかを調べた研究である。研究1(ベルギーと中国の青年685人)では、自律性と有能感の充足がウェルビーイングと独自に関連し、欲求の重視度による違いはなかった。研究2(ベルギー、中国、アメリカ、ペルーの1,051人)では、3つの欲求の充足がそれぞれ独自にウェルビーイングを、3つの欲求の不満がそれぞれ独自に不調を予測した。効果は4か国で同等で、欲求の希求度による違いもなかった。欲求充足は文化を超えて欠かせない「栄養素」だという主張を支持した。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤W0003 Deci & Ryan(2000)の基本的心理欲求理論とW0166 Vansteenkiste & Ryan(2013)の欲求充足
- 欲求不満の区別を4文化で検証し、自律性の価値は文化によって異なるとする議論(W0502 Iyengar & Lepper(1999)など)に対して普遍性を支持した
- 後続・発展W0171 Vansteenkiste(2020)が基本的心理欲求理論の到達点を総括し、W0273 Van den Broeck(2016)が職場の欲求研究をレビューした
- 日本語版・翻訳一覧外:Nishimura & Suzuki (2016)が日本でBPNSFSの欲求充足・欲求不満とウェルビーイングの関連を検証した。
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 15本
- W0003 目標追求の「何を」と「なぜ」――人間の欲求と行動の自己決定 Deci(2000) Psychological Inquiry 主要400 被引用 31,269
- W0005 人生満足度尺度(Satisfaction With Life Scale) Diener(1985) Journal of Personality Assessment 主要400 被引用 31,990
- W0006 所属欲求:人間の根本的動機としての対人的愛着への欲求 Baumeister(1995) Psychological bulletin 主要400 被引用 22,538
- W0013 幸福がすべてか?――心理的幸福感の意味の探究 Ryff(1989) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 14,608
- W0017 幸福と人間の潜在力について:快楽主義的・エウダイモニア的ウェルビーイング研究のレビュー Ryan(2001) Annual Review of Psychology 主要400 被引用 11,279
- W0166 心理的成長と脆弱性について:統一原理としての基本的心理欲求の充足と不満 Vansteenkiste(2013) Journal of Psychotherapy Integration 主要400 被引用 2,011
- W0168 エネルギー、パーソナリティ、健康について:ウェルビーイングの動的な反映としての主観的活力 Ryan(1997) Journal of Personality 主要400 被引用 2,768
- W0266 肯定的な自己評価への欲求は普遍的か Heine(1999) Psychology Review 主要400 被引用 2,257
- W0350 満足な出来事の何が満足なのか:10の候補となる心理的欲求の検証 Sheldon(2001) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 1,757
- W0455 世界の欲求充足と主観的ウェルビーイング Tay(2011) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 1,250
- W0246 心理的欲求と統合過程の促進 Ryan(1995) Journal of Personality 被引用 2,388
- W0269 旧東側諸国の職場組織における欲求充足・動機づけ・ウェルビーイング――自己決定の比較文化研究 Deci(2001) Personality and Social Psychology Bulletin 被引用 2,080
ほか 3 件
後続研究(この論文を引用している) 9本
- W0171 基本的心理欲求理論:進展、重要テーマ、今後の方向性 Vansteenkiste(2020) Motivation and Emotion 主要400 被引用 1,562
- W0875 動機づけられた人間の科学を築く:人間の経験と行動調整に対する自己決定理論の実証的アプローチ Ryan(2021) Motivation Science 主要400 被引用 344
- W1259 時間ではなく瞬間:自然とウェルビーイングの関係 Richardson(2021) International Journal of Wellbeing 主要400 被引用 175
- W0273 職場における自己決定理論の基本的心理欲求のレビュー Broeck(2016) Journal of Management 被引用 1,415
- W0684 一つずつ積み上げる:自己決定理論の起源、発展、そして未来 Ryan(2019) Advances in Motivation Science 被引用 478
- W1049 善意の恩恵:基本的心理欲求、与える感覚、そして幸福感の向上 Martela(2016) Journal of Personality 被引用 378
- W1232 教師のウェルビーイングと離職意図:仕事の資源と仕事の要求の役割の検討 Collie(2023) British Journal of Educational Psychology 被引用 149
- W1436 基本的心理欲求の充足、自律的動機づけ、有意味な仕事——自己決定理論の視点から Autin(2021) Journal of Career Assessment 被引用 119
- W1443 ウェルビーイングのより地球規模の理解に向けて:より包摂的な測定の提案 Lambert(2020) International Journal of Wellbeing 被引用 126
読む・引用する
- 論文ページ
- https://doi.org/10.1007/S11031-014-9450-1
- 無料で読めるか
- ○ グリーン(リポジトリ等で公開) 無料本文 ↗
- DOI
- 10.1007/S11031-014-9450-1
文献表記(APA第7版)
影響力の指標
- 著名度スコア
- 91.1 / 100 スコアとは
- 被引用数
- Semantic Scholar 2,302(うち影響引用 197)・ OpenAlex 2,516
- 年あたり被引用
- 191.8
- FWCI
- 59.6(同年・同分野の平均の何倍引用されたか)
- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Psychological Well-being and Life Satisfaction
- 主要400の選定
- 著名度スコア上位(概念・年代枠内)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 名言集人には、自律性・有能感・関係性という、三つの基本的心理欲求があるエドワード・デシ&リチャード・ライアン
- 幸せに効くこと関係性欲求の充足(Relatedness, SDT)「誰かとつながっている」という実感は、幸せの基本栄養のひとつみたいです
- 幸せに効くこと自律性欲求の充足(Autonomy, SDT)「自分で選んでいる」という感覚は、幸せの土台のひとつです
- 名言集一身独立して一国独立す福澤諭吉
- 発達マップ欲求との関係(強さと距離)5つの発達段階で比べた表・根本の定義(段階とは何か)
- 調査・報告書英国国家統計局 国民のウェルビーイング測定(個人のウェルビーイング)英国政府の統計局が、4つの質問で国民の主観的ウェルビーイングを毎年測り、自治体別にも公表する仕組み。
- 思想マップ悩み相談:なんとなく満たされない。何が足りないのか分からない自分・まず読むなら 仏教(上座部)/道家(老荘)/ヒンドゥー(ヴェーダーンタ)
- 禅語百選吾唯足知私は、足りていることを知っている。欲望を追いかける前に、すでに満ちていることに気づく。
内容の近さをAIで自動計算して選んでいます。保存版コレクションの一覧 →