職場組織における自己決定理論:研究の現状
Self-Determination Theory in Work Organizations: The State of a Science
E. Deci, A. Olafsen, Richard M. Ryan(2017)Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 4(1), 19–43
職場における自律的動機づけと基本的心理欲求の研究を整理し、幸福と業績を両立させる指針を示した。
要旨根拠:抄録
自己決定理論(SDT)は内発的・外発的動機づけの研究から発展し、職場を含む多様な領域に広がったマクロ理論である。本レビューは職場に関するSDT研究を整理し、自律的動機づけ(内発的動機づけと十分に内在化された外発的動機づけ)と統制的動機づけの区別、そしてすべての従業員が有能感・自律性・関係性の基本的心理欲求を持ち、その充足が自律的動機づけ、質の高い業績、健康を促すという前提に焦点を当てた。職場研究は従業員の幸福か所有者の利益かのどちらかに偏りがちだったが、SDTは両立させる方針や環境づくりの概念を提供する。変革型リーダーシップ、職務特性、公正、報酬制度との関係も検討された。
関係メモ——この研究のその後
- 先行・基盤W0269 Deci(2001)とW0245 Baard(2004)の職場での欲求充足研究、W0273 Van den Broeck(2016)の基本的心理欲求レビューを統合した
- W0207 Cerasoli(2014)が内発的動機づけは仕事の質、外的報酬は量をよく予測することを示し、W0756 Van den Broeck(2021)が自律的動機づけほどウェルビーイングと業績に結びつくことを確認した
- 後続・発展W0684 Ryan & Deci(2019)が理論全体の発展を総括した
反証・修正は確信があるものだけ書いています。書かれていない=否定されていない、ではありません。
研究のつながり
この一覧(世界 1,782本)の中での引用関係です。引用している=支持している、とは限りません。
先行研究(この論文が引用している) 15本
- W0001 自己決定理論と、内発的動機づけ・社会的発達・ウェルビーイングの促進 Ryan(2000) American Psychologist 主要400 被引用 41,852
- W0003 目標追求の「何を」と「なぜ」――人間の欲求と行動の自己決定 Deci(2000) Psychological Inquiry 主要400 被引用 31,269
- W0006 所属欲求:人間の根本的動機としての対人的愛着への欲求 Baumeister(1995) Psychological bulletin 主要400 被引用 22,538
- W0040 外的報酬が内発的動機づけに及ぼす効果を調べた実験のメタ分析的レビュー Deci(1999) Psychological bulletin 主要400 被引用 7,355
- W0159 外的に媒介された報酬が内発的動機づけに与える影響 Deci(1971) Journal of Personality and Social Psychology 主要400 被引用 4,445
- W0179 アメリカンドリームのさらなる検討:内発的目標と外発的目標の異なる相関 Kasser(1996) Personality and Social Psychology Bulletin 主要400 被引用 2,682
- W0207 内発的動機づけと外的インセンティブは共に業績を予測する:40年分のメタ分析 Cerasoli(2014) Psychological bulletin 主要400 被引用 1,810
- W0246 心理的欲求と統合過程の促進 Ryan(1995) Journal of Personality 被引用 2,388
- W0245 内発的欲求の充足:2つの職場における業績とウェルビーイングの動機づけ的基盤 Baard(2004) Journal of Applied Social Psychology 被引用 2,103
- W0269 旧東側諸国の職場組織における欲求充足・動機づけ・ウェルビーイング――自己決定の比較文化研究 Deci(2001) Personality and Social Psychology Bulletin 被引用 2,080
- W0273 職場における自己決定理論の基本的心理欲求のレビュー Broeck(2016) Journal of Management 被引用 1,415
- W0359 職場組織における自己決定 Deci(1989) Journal of Applied Psychology 被引用 2,244
ほか 3 件
後続研究(この論文を引用している) 7本
- W0684 一つずつ積み上げる:自己決定理論の起源、発展、そして未来 Ryan(2019) Advances in Motivation Science 被引用 478
- W0756 内発的・外発的動機づけを超えて:仕事への動機づけに関する自己決定理論の多次元的概念化のメタ分析 Broeck(2021) Organizational Psychology Review 被引用 420
- W1261 エンゲージング・リーダーシップと看護師のウェルビーイング:職場環境と仕事の動機づけの役割—横断研究 Kohnen(2024) Human Resources for Health 被引用 124
- W1390 CSR活動への参加が従業員の目的意識と有意味感に与える影響:自己決定理論の視点から Nazir(2021) Journal of Hospitality and Tourism Management 被引用 133
- W1436 基本的心理欲求の充足、自律的動機づけ、有意味な仕事——自己決定理論の視点から Autin(2021) Journal of Career Assessment 被引用 119
- W1463 自分自身の優しさに頼る:COVID-19流行期における職場の孤独感の個人内影響に対するセルフコンパッションの調整的役割 Andel(2021) Journal of Occupational Health Psychology 被引用 94
- W2206 職場における生きがい(人生の目的)の統合的な認知・動機づけモデル Sartore(2023) Europe's Journal of Psychology 被引用 22
読む・引用する
- 論文ページ
- https://doi.org/10.1146/ANNUREV-ORGPSYCH-032516-113108
- 無料で読めるか
- × 有料(非OA)
- DOI
- 10.1146/ANNUREV-ORGPSYCH-032516-113108
文献表記(APA第7版)
影響力の指標
- 著名度スコア
- 94.4 / 100 スコアとは
- 被引用数
- Semantic Scholar 2,873(うち影響引用 324)・ OpenAlex 3,167
- 年あたり被引用
- 287.3
- FWCI
- 17.9(同年・同分野の平均の何倍引用されたか)
- 同年同分野で
- 上位 0.1%未満
- 分野(OpenAlex)
- Motivation and Self-Concept in Sports
- 主要400の選定
- 著名度スコア上位(概念・年代枠内)
被引用数の取得日:Semantic Scholar 2026-10-01、OpenAlex 2026-10-02。Google Scholar より少なめに出るデータベースの値なので、順位の目安としてお使いください。
つながり ほかの保存版コレクションから、内容の近いもの
- 幸せに効くこと職場の裁量・自律性日本では、所得より「自分で決められること」のほうが幸せを説明するみたいです
- 幸せに効くこと自律性欲求の充足(Autonomy, SDT)「自分で選んでいる」という感覚は、幸せの土台のひとつです
- 発達マップニーズ①:自律性(オートノミー)5つの発達段階で比べた表・心理学の理論(性格・臨床・動機)
- 名言集一身独立して一国独立す福澤諭吉
- 名言集学習する組織とは、人々が絶えず能力を拡張し、本当に望む結果を生み出し続けられる組織であるピーター・センゲ
- 禅語百選随処作主 立処皆真どんな場所、どんな状況でも自分が主体となって生きれば、その立っている場所がすべて真実の場となる。
- 思想マップ悩み相談:転職すべきか、ずっと迷っている仕事・まず読むなら ストア派/実存主義/ヒンドゥー(ギーター)
- 調査・報告書仕事と幸福(世界幸福度報告2017 第6章)仕事があること、仕事の種類、職場の特徴が幸福とどう関係するかを世界のデータで調べた章。
内容の近さをAIで自動計算して選んでいます。保存版コレクションの一覧 →